田中、則本が見せた巨人攻略の鍵は?=橋本氏、山村氏の日本シリーズ解説

構成:スポーツナビ

第2戦で1失点完投勝利した楽天・田中。勝敗をタイにして舞台は東京ドームに移る 【写真は共同】

 プロ野球・日本シリーズは第2戦まで終え、1勝1敗のタイで舞台を東京ドームに移すことになった。東北楽天は大方の予想を覆し、初戦にルーキーの則本昂大を先発に送ったものの敗れ、第2戦に満を持してシーズン無敗の絶対エース・田中将大で勝利した。

 スポーツナビでは、元巨人の橋本清氏、元楽天の山村宏樹氏に、両チームの戦いを、それぞれのチームの立場から特別解説してもらった。第2戦までの戦いをどう見たのか?

橋本氏「連勝のチャンスもあり、1勝1敗はイメージ通り」

 巨人はまずは則本投手、田中投手の楽天2本柱で連敗しなかった点が良かったです。さらに、連勝のチャンスもあった中で1勝1敗とした、ここまではイメージ通りと言えると思います。
 則本投手が初戦の先発でびっくりしましたが、予告先発ということで奇襲にならなかった点も巨人としては良かったのではないでしょうか。巨人としては1戦目、2戦目とレギュラーシーズン通りに落ち着いて試合ができていたと思います。

 巨人打線についてですが、ここまでの2戦、質の高いボールを投げる2人が先発していたので、力が落ちると言われる楽天の3番手、4番手であれば、十分爆発してくれると思います。田中投手の敗戦は引きずるものではないくらい完璧な投球でしたので、問題はないでしょう。逆に、6回に2死満塁と攻めた点や、8回の寺内崇幸選手の本塁打など、田中投手を慌てさせた点から見ても、巨人打線にはまだまだ余裕を感じられます。阿部慎之助選手にヒットは出ていませんが、どちらかと言うと打てる球は来ていませんでした。ここまでは投げた則本投手と田中投手を褒めるべきでしょうね。

 この2戦、両チームとも紙一重の試合を制していて、非常に質の高い試合となりました。ただ、巨人は、巨人の野球ができているので、打線・投手陣とも何も心配はないと思います。

打線のポイントは「ロペス、高橋由」

ここまで無安打のロペス。橋本氏が第3戦以降のポイントの一人に挙げる 【写真は共同】

 ここまではある意味、大方の予想通りの展開と言えます。ですので、東京ドームに戻った3戦目からが本当の意味でのスタートとなりそうです。特に楽天は弱点と言われる3番手、4番手が先発しますから、ここを巨人としては確実に勝利することが重要となります。

 3戦目以降のポイントは楽天の3番手、4番手を序盤で打ち、降板させられるか、になると思います。
 球場が狭く、ピッチャーはプレッシャーを感じると思いますし、1戦目、2戦目とは違い、点の取り合い、動く試合が増えるのではないでしょうか。DH制もなくなり、継投も重要となります。ピッチャー、バッターの心理がこれまでとは変わると思います。

 一方で、巨人も決して3番手、4番手に不安がないわけではありません。3戦目での先発が予想される杉内俊哉投手もCSは良かったものの、シーズン終盤は打ち込まれるケースが多く見られました。ですので、投手陣を打線がどこまでカバーできるかに掛かってくると思います。
 具体的には、ここまでヒットのないロペス選手と高橋由伸選手がポイントになると思います。阿部選手もヒットが出ていないのですが、2戦まで四球を選べていますし(4四死球)、内容としては決して悪くないです。むしろ、楽天投手陣が意識過剰になっているように思います。それでもロースコアになっているのは阿部選手の後ろ、ヒットの出ている村田選手の後ろ、ロペス選手、高橋選手に当たりが出ていない点にあると思います。ポイントゲッターの2人ですから、早く1本ヒットが出てほしいですね。2人にヒットが出ることで、巨人打線の厚み・楽天投手陣へのプレッシャーが変わってくると思います。

 巨人は東京ドームで3連勝すれば、田中投手と再戦しない可能性もあります。ただ、星野仙一監督の中で東京ドーム3連敗はないという計算があるはずですし、もし第5戦で巨人が王手をかけていたなら、田中投手を先発させる可能性もあると思います。そういった意味で、東京ドームの3戦目以降、見どころは多いですね。

※次ページは山村氏による楽天の解説

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