ラグビー日本代表がNZに勝つ方法=“世界最強”オールブラックスに挑む

斉藤健仁

ラグビー界の絶対王者と5度目の対戦

2011年W杯で日本はNZに7−83と大敗した 【Getty Images】

 ついに漆黒の軍団が襲来する! 11月2日、東京・秩父宮ラグビー場で、「オールブラックス」と称されるラグビーのニュージーランド(NZ)代表が、「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)」こと日本代表と対戦する。日本でのマッチアップは実に26年ぶりだ。

 日本代表は過去、NZ代表にテストマッチ(国際試合)で4戦全敗。1987年、ホームで0−74、4−106と連敗、2011年のラグビーワールドカップ(W杯)でも7−83と大敗。ただ、やはり思い出すのは1995年W杯の予選プールの「145失点の悪夢」だ。両チームにとって消化試合だったが、縦横無尽にオールブラックスに走られ17−145と大惨敗した。高校時代にこの試合を目の当たりにし、「しばらくラグビーを見たくなくなった」ことをハッキリと覚えている。

 2011年、自国開催のW杯で2度目の優勝を成し遂げたNZ代表は、まさしく「世界最強」の名にふさわしい。世界のどのチームにも勝ち越している唯一のチームであり、2009年の11月16日から世界ランキング1位をキープ(日本は現在15位)。昨年、新しい指揮官が就任した後は21勝1敗1分と勝率は90%を超え、今年はオーストラリア代表や南アフリカ代表などと対戦しても一度も負けていない。

SH田中「ラグビーに対する理解力が高い」

 その強さを、オーストラリア代表を率いて何度も対戦してきた、日本代表エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)曰く「個々のアスリート能力が高い」。また、昨シーズン、南半球3カ国の世界最高峰のプロリーグ「スーパーラグビー」で日本人として初めてプレーした日本代表SH田中史朗は、「(NZの選手は)PRであっても、ラグビーに対する理解力が高い」と感じている。

 NZ代表は個々のスキル、身体能力、そして判断力が優れているため、100m×70mのピッチに30人がプレーしていても、スペースを見つければ、一気にチーム一体となって、そこを攻めてトライを取り切る。特にターンオーバーやカウンターといったアンストラクチャー(崩れた局面)からの攻撃を得意として「(NZ代表はトライ全体の)72%はその形からトライを挙げている」(ジョーンズHC)という。

 当然、NZ代表はスクラムやラインアウトといったセットプレーからの攻撃も揺るがない。スクラムでは、No.8がスクラムから持ち出してSHにボールを渡す「8−9」のプレーを使用し、いとも簡単に数的有利をつくってゲインラインを超える。また長身選手がそろうラインアウトでは、サインプレーはもちろんのこと、モールから崩したり、ゴール前ではドライビングモールを押し込んだりと多種多様だ。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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