巨人か楽天か 日本一の鍵は則本が握る=橋本氏、山村氏が解説する日本S展望

構成:スポーツナビ

山村氏「バントを使えるか、常にプレッシャーをかけて」

 CSを振り返ると、楽天の攻撃陣がなかなか機能しなかったですね。選手個々の調子は決して悪くないと思いますが、「ここぞ」というところでタイムリーがでなかった。打“線”になっていませんでしたね。楽天はシーズン中、バントをするのではなく、連打で大量得点を奪って勝ってきました。しかし、短期決戦になると、どうしても先取点がほしいわけですから、バント、足を使ったエンドランが必要になると思います。
 CSでは枡田慎太郎選手、岡島豪郎選手がバントを失敗して相手に流れがいってしまったケースがありました。私は投手出身ですので、スコアリングポジションにランナーがいる嫌さは実感してきました。短期決戦では投手にプレッシャーをかけ続けていくことが大事だと思います。先手先手で仕掛け、ランナーをスコアリングポジションに送ることが絶対必要です。
 さらに、相手は巨人です。普段通りの野球をしようと思ってもなかなかできないと思いますし、やろうと思っているうちにシリーズが終わってしまう可能性もあります。トーナメントのつもりで、積極的にバントも使ってほしいです。

日本一の条件は「5戦目までに3勝」

楽天は田中がフル回転できる展開を作りたい 【写真は共同】

 投手陣ではエース・田中将大投手の試合は絶対に落とせません。CS初戦で完投し中3日でリリーフ、そして中4日で、日本シリーズの初戦の先発マウンドに上ると思います。このリスクは高いですが、第1戦、2戦を仙台で行えるアドバンテージは大きいです。シーズン中、開幕24連勝という大記録を打ちたてて肉体的な疲労はピークだと思います。しかし、地元の大声援を背に受けて投げられるということは、気持ちのハリを維持できますし、精神的に大変心強いと思います。
 また、Kスタ宮城は東京ドームに比べ大きいので、田中投手の幅広い投球が生かせると思います。田中投手に関してはまったく心配はいらないでしょう。

 私は今回の日本シリーズ、楽天が優勝するための条件は、5戦までに田中投手と則本昂大投手の2人で3勝できるかにかかっていると思います。楽天は第7戦まであると見据えて試合を行う必要があると思います。ですので、田中投手は初戦、5戦目での先発は間違いないと思いますが、則本投手を2戦目に使うのか、3戦目に使うのか、天候も関係しますが、非常に戦略が問われると思います。
 日本シリーズは7戦目までを見据えて、1勝1敗のペースで6戦目、7戦目を迎えたいところだと思います。1戦目、5戦目の田中投手で確実に勝ち、則本選手を2戦目か3戦目どちらに使うにしろ、余裕を持った状態で6戦目、7戦目に則本投手を使いたいです。また、6戦目、7戦目に持ち込めれば、田中投手をリリーフ待機させることができ、田中投手と則本選手をフル回転で起用できる利点もあります。ですから、日本一は「則本」が鍵を握ると考えます。

<了>

橋本清/Kiyoshi Hashimoto

1969年5月22日生まれ。大阪府出身。PL学園高では立浪和義(元中日)、片岡篤史(元日本ハム、阪神)、野村弘樹(元横浜)らと甲子園春・夏連覇に貢献、その年にドラフト1位で巨人に入団。中継ぎのエースとして活躍し、当時の長嶋茂雄監督から「勝利の方程式」と呼ばれ、94年の日本一に貢献した。2001年に引退後はスポーツライターや野球解説者として活躍している。

山村宏樹/Hiroki Yamamura

1976年5月2日、山梨県出身。甲府工高から95年ドラフト1位で阪神入団。2000年に大阪近鉄に移籍し、先発ローテとして01年のチームのリーグ優勝に貢献する。04年オフに分配ドラフトで東北楽天に移籍し12年に引退後は、野球解説やコラム執筆を中心に活動している。

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