元陸上エリートが目指す“最速芸人”の座=げんき〜ず・宇野けんたろうインタビュー

構成:スポーツナビ

大阪マラソンで芸能人最速記録更新を目指すげんき〜ずの宇野さんが、マラソンへの思いなどを語った 【スポーツナビ】

“芸能人最速”奪還へ――。ある一人のお笑い芸人が27日、大阪マラソンのスタートラインに立つ。その名は、お笑いコンビ「げんき〜ず」の宇野けんたろう。現在の記録保持者は、2時間30分26秒の自己ベストを持つお笑い芸人の猫ひろしさんだが、それ以前は、2年前の大阪マラソンで2時間37分05秒をたたき出した宇野さんだった。

 マラソンを始めるまで陸上経験のなかった猫さんと違い、宇野さんは、高校時代に全国大会出場の経歴を持つ元エリートランナー。芸人になるべく一度は陸上と距離を置き、吉本興業へ入った。それが今、再び本気で走ることに向かい合うのには、芸人としての意地と元陸上選手としてのプライドがあった。

 思い出の地・大阪で再び記録更新なるか。大会直前の宇野さんに今の思いを聞いた。

箱根駅伝よりも憧れたお笑いの道

――陸上を始めたのはいつですか?

 中学1年生の時に校内マラソン大会で優勝したんです。僕、バスケット部だったんですけど、陸上部のコーチが「バスケよりも、陸上の方が芽が出るんじゃないか」と言われて、そこから始めました。小中学校の時くらいって、頭が悪くても、足が速いってだけでモテるんです。今までチヤホヤされたことがなかったのですが、優勝して陸上部のコーチにも女子からもチヤホヤされて、『これはもう走り続けるしかないな』と。

――正則学園高(東京)に進学後も陸上を続けられて、3年生の時には全国高校駅伝にも出場しました。大学や実業団で陸上を続けるという選択肢もあったと思います。

 高3くらいの時にテレビ見ていたら芸人さんが出ていて、ナインティナインさんやダウンタウンさんを見て、『めっちゃくちゃ面白いなこの人たちは!』と。そこからお笑いの道に進みたいなって、ふと思ったんです。ただ、陸上の強い大学から推薦ももらっていました。監督からは「お前は箱根駅伝も走れるんだから、お笑いなんてやっちゃダメだ」と言われましたが、やっぱりお笑いの方に行きたい、って。でも、友達はほとんど箱根駅伝走ったんですよ。『マジで道を間違えた!』と思いました。

――それは今も?

 今、思ってます。31歳ですが、『やっておけば良かったな』と。

――ちなみに、何校くらいの大学から声がかかっていたのですか?

 5校くらいですね。それを蹴って、吉本のいばらの道に来て、泣かず飛ばずの10年ですから。でも、ずっとお笑いをやりたいというのがあったので、陸上は続けませんでした。

初マラソンで驚きの好記録「お笑いやってる場合じゃない」

――高校卒業後に吉本の養成所の入られますが、下積み時代に走ることは?

 健康のためにちょこちょこ走ったりはしましたが、大会は誘われたら出るくらい。その時は太りましたね。陸上で厳しい環境にずっといたから、その反動がすごくて。お笑いにいったら面白くてしょうがないから、夜遅くにラーメンを食べに行ったりとか、お酒を飲んだりとか。ダメな生活を送っていましたね。

――再び本格的に走ろうと思われたきっかけは?

 2009年に走ったホノルルマラソンですね。お仕事で行ったのですが、2時間48分で走ったんですよ。

――それが初マラソンですか?

 そうなんですよ! ホノルルマラソンって、結構コースがキツイみたいで、持ちタイムがそんなに速くなくても、それなりに上位にいけるんです。年代別で6位に入賞して、吉本が「お前、ちょっといけるんじゃないか」と。「お笑いやってる場合じゃないよ」と言われて、それからですね。

――それはすごいですね。

 そこからスポーツの仕事が来るようになりました。ライブとか劇場でバンバン、「ホノルルでこのタイムで走った」っていろんな人に言っていたら、先輩が「宇野、すごいな」って言ってくださって、どんどんつながっていきました。吉本の上の人まで話がいって、『じゃあ、頑張ってみるか』という感じです。それに、単純に走るのが好きっていうのもありましたね。

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