元陸上エリートが目指す“最速芸人”の座=げんき〜ず・宇野けんたろうインタビュー
大阪マラソンで芸能人最速記録更新を目指すげんき〜ずの宇野さんが、マラソンへの思いなどを語った 【スポーツナビ】
マラソンを始めるまで陸上経験のなかった猫さんと違い、宇野さんは、高校時代に全国大会出場の経歴を持つ元エリートランナー。芸人になるべく一度は陸上と距離を置き、吉本興業へ入った。それが今、再び本気で走ることに向かい合うのには、芸人としての意地と元陸上選手としてのプライドがあった。
思い出の地・大阪で再び記録更新なるか。大会直前の宇野さんに今の思いを聞いた。
箱根駅伝よりも憧れたお笑いの道
中学1年生の時に校内マラソン大会で優勝したんです。僕、バスケット部だったんですけど、陸上部のコーチが「バスケよりも、陸上の方が芽が出るんじゃないか」と言われて、そこから始めました。小中学校の時くらいって、頭が悪くても、足が速いってだけでモテるんです。今までチヤホヤされたことがなかったのですが、優勝して陸上部のコーチにも女子からもチヤホヤされて、『これはもう走り続けるしかないな』と。
――正則学園高(東京)に進学後も陸上を続けられて、3年生の時には全国高校駅伝にも出場しました。大学や実業団で陸上を続けるという選択肢もあったと思います。
高3くらいの時にテレビ見ていたら芸人さんが出ていて、ナインティナインさんやダウンタウンさんを見て、『めっちゃくちゃ面白いなこの人たちは!』と。そこからお笑いの道に進みたいなって、ふと思ったんです。ただ、陸上の強い大学から推薦ももらっていました。監督からは「お前は箱根駅伝も走れるんだから、お笑いなんてやっちゃダメだ」と言われましたが、やっぱりお笑いの方に行きたい、って。でも、友達はほとんど箱根駅伝走ったんですよ。『マジで道を間違えた!』と思いました。
――それは今も?
今、思ってます。31歳ですが、『やっておけば良かったな』と。
――ちなみに、何校くらいの大学から声がかかっていたのですか?
5校くらいですね。それを蹴って、吉本のいばらの道に来て、泣かず飛ばずの10年ですから。でも、ずっとお笑いをやりたいというのがあったので、陸上は続けませんでした。
初マラソンで驚きの好記録「お笑いやってる場合じゃない」
健康のためにちょこちょこ走ったりはしましたが、大会は誘われたら出るくらい。その時は太りましたね。陸上で厳しい環境にずっといたから、その反動がすごくて。お笑いにいったら面白くてしょうがないから、夜遅くにラーメンを食べに行ったりとか、お酒を飲んだりとか。ダメな生活を送っていましたね。
――再び本格的に走ろうと思われたきっかけは?
2009年に走ったホノルルマラソンですね。お仕事で行ったのですが、2時間48分で走ったんですよ。
――それが初マラソンですか?
そうなんですよ! ホノルルマラソンって、結構コースがキツイみたいで、持ちタイムがそんなに速くなくても、それなりに上位にいけるんです。年代別で6位に入賞して、吉本が「お前、ちょっといけるんじゃないか」と。「お笑いやってる場合じゃないよ」と言われて、それからですね。
――それはすごいですね。
そこからスポーツの仕事が来るようになりました。ライブとか劇場でバンバン、「ホノルルでこのタイムで走った」っていろんな人に言っていたら、先輩が「宇野、すごいな」って言ってくださって、どんどんつながっていきました。吉本の上の人まで話がいって、『じゃあ、頑張ってみるか』という感じです。それに、単純に走るのが好きっていうのもありましたね。