駒澤大、独走Vの鍵は苦手1区の攻略=金哲彦さんが出雲駅伝を解説

構成:スポーツナビ

「東洋大はこのままじゃ終わらない感じがする」

東洋大は2位に終わったが、金さんは東洋大の安定した走力を高く評価する 【写真は共同】

――今後、全日本大学駅伝(11月)、箱根駅伝(2014年1月)とコースの距離が延びますが、それに応じて学生駅伝の勢力図も変わるのでしょうか?

 それはありますね。8月〜9月の半ばまでは合宿で結構走り込むのですが、疲れがちょっと残って、スピードを出し切れない状態で迎える大学が結構あるんです。出雲は“スピード駅伝”ですから。逆に言うと、今後は距離が延びてくるので、「今回のスピードには対応できなかったけれど、スタミナだったら負けない」というチームは結構ありますね。

――具体的にはどの大学でしょうか?

 東洋大ですね。このままじゃ終わらないかなという感じがします。どんどん距離が延びて、最終的には(箱根駅伝の)210キロ以上とものすごく長い距離になるので、ますますスタミナが大事になります。
 スタミナという意味では、今回は日本体育大も、今年の箱根駅伝で勝ったという力は感じましたね。スピードやキレがあるというわけではないですが、夏にしっかり走り込んで安定した走りをみんながしていました。

――そのほかの大学はいかがでしょうか?

 青山学院大は去年の出雲駅伝で優勝しました。出岐雄大(現中国電力)というエースは卒業しましたが、良い新人選手も入っているし、(チームとして)だいぶ力をつけたなという感じはします。1年生の一色恭志選手や、今回は出ませんでしたが久保田和真選手(2年)もいます。これまでは「下から這い上がってきた」という印象がありましたが、もう十分に優勝を狙える圏内にいるチームになりましたね。

今季は東洋大、駒澤大、日本体育大の“3強”

――駒澤大が出雲を制したことで、学生3大駅伝の3冠を期待する声もありますが?

 そう簡単にはいかないですね。全日本まではこのままの勢いで勝つ可能性が十分にありますが、箱根はちょっと特殊な上り下りの区間がある。特に5区の山上りが優勝にすごく影響する区間になってしまったので、(東洋大の3度の優勝に貢献した)柏原竜二選手(現富士通)もそうだし、今年優勝の日本体育大にも服部翔大選手(4年)がいました。服部選手はまだ(チームに)残っていますが、駒澤大にはそういう選手がいませんから。

――箱根駅伝に向けて、選手は今後どのような調整をしていくのでしょうか?

 1000キロ以上を超えるすごい走り込みというのは夏の間にやっています。今後は、トラックのレースを少しずつやり、ロードレースもこなしながら、駅伝に向けて自分の気持ちと体を仕上げていきます。これからはレースをこなしながら最終目標に向かっていくという感じです。

――最後に、全日本大学駅伝、箱根駅伝の展望を教えてください。

 今回は駒澤大が、去年までの1区の失敗を挽回して優勝しました。一方で、力がある東洋大も1区で出遅れたにも関わらずちゃんと2番まできた。箱根では日本体育大と合せて、この3校が“3強”でしょうね。それに続くのが早稲田大、青山学院大、明治大といったあたりになります。今回は中央学院大も光るものがあったので、台風の目かもしれないですね。

<了>

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