駒澤大、独走Vの鍵は苦手1区の攻略=金哲彦さんが出雲駅伝を解説

構成:スポーツナビ

出雲駅伝では駒澤大が優勝。苦手の1区でスタートダッシュに成功したことで15年ぶりの栄冠を手繰り寄せた 【写真は共同】

 学生駅伝シーズンの始まりを告げる第25回出雲全日本大学選抜駅伝競走が14日、島根・出雲大社から出雲ドーム前までのコースで行われ、駒澤大が2時間9分11秒の大会新記録で15年ぶり3回目となる優勝を果たした。2位は東洋大で2時間10分17秒、3位は、今年の箱根駅伝で30年ぶりの総合優勝を果たした日本体育大で2時間10分59秒だった。

 駒澤大は、1区の中村匠吾(3年)が2度のスパートで後続を引き離しトップに立つと、磐石のたすきリレーで終始独走した。最後はエースで主将の窪田忍(4年)が歓喜のフィニッシュを飾った。
 2年ぶりの王座奪還を狙った東洋大だが、チームの主力・田口雅也(3年)が1区で6位の誤算。後半に追い上げて順位を2位まで押し上げるも、序盤の出遅れを取り戻すことはできなかった。

 スポーツナビでは、NPO法人ニッポンランナーズ理事長であり陸上競技・駅伝解説者の金哲彦さんに、レースの解説と、今後の学生駅伝シーズンの展望を語ってもらった。

前評判では東洋大が優勢も……

――駒澤大が優勝しましたが、まず率直な感想を教えてください。

 前評判では、東洋大、前回優勝の青山学院大、今年の箱根駅伝を制した日本体育大、最近5000メートルで記録を上げた明治大、早稲田大や駒澤大など、ものすごく混戦でした。どこが優勝するか本当に分からないな、と。その中で1番安定的に走るのが東洋だったので、やっぱり東洋が強いのかなと予想していました。
 一方、駒澤大は、これまでの出雲駅伝では1区でいつも失敗していました。それが中村選手という、窪田選手に次ぐくらいのエースがしっかり仕事を果たして、1区から後続を離しましたよね。出雲駅伝はコースの距離が少し短いので、駒澤大が勝ちパターンを最初からやってきました。結果的に1区の勢いがあったので、独走できたということですね。

――駒澤大以外のチームの結果については、実力通りと言えそうでしょうか?

 いいえ、東洋大にしても早稲田大にしても明治大にしても、今回は完全に1区の出遅れが響きました。出雲駅伝は距離が短く、流れを前半に作れないと難しいので、1区であれだけ離されてしまうとキツイですね。

――気温がかなり高かったようですが?
 
 気温はかなり暑かったです。25度くらいでしょうか。風は、前半区間が向かい風で後半が追い風というのは去年と同じですが、去年のような(強い)向かい風ではなかったですね。それより、気温が高かったことの影響の方が大きかったと思います。

――暑さがレースに与えた影響は?

 あるとしたら、エースと言われる選手たちが若干、予想された記録より良くなかったこと。力からすると、区間賞を取って当然の選手が取れなかったのは暑さだと思います。

――早稲田大のアンカー・大迫傑選手(4年)は、モスクワ世界選手権もあり、トラックの練習をメインにしていたようですが?

 出雲駅伝の距離は、トラックの練習だけやっていてもそんなに走り切れない距離ではありません。ただ、たすきをもらった順位が7位ですよね。最後は4位まで上がりましたが、その前の3位の日本体育大が離れ過ぎていたので、そこに追いつこうというモチベーションみたいなものがやはり起きなかったのでしょう。だから、大迫選手としては、持っている力を出し切ったかといえば出し切れなかったレースになりました。

――大迫選手らに続く、次世代エースを期待する声もあります。

 今日レースを見て「この子はすごいな」と思ったのは、5区を走った東洋大の服部勇馬選手(2年)。彼はすごいですね。走りそのものがすごい。フォームがきれいで洗練されていて、すごく将来性を感じました。ああいう安定していて軸がしっかりしたフォームで走る選手には、マラソンを走らせてみたいという感じですね。

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