元ラジャダムナン王者・石井がKO復帰! 「あと2試合」と引退も明言=新日本キック

長谷川亮

1RKO勝利で7カ月ぶり復帰戦飾るも…

1RKO勝利で7カ月ぶり復帰戦を飾った元ラジャダムナン王者・石井 【t.SAKUMA】

 新日本キックボクシング「MAGNUM33」が13日、東京・後楽園ホールで行われた。
 第14試合、大会最終試合となる一戦には元ラジャダムナンスタジアム・スーパーライト級王者・石井宏樹が登場。タイ人以外の外国人として初めて同スタジアムの王座防衛を成し遂げた石井だが、3月にKO負けを喫し3度目の防衛に失敗。去就が注目されたが、7カ月を経て再びリングに戻ってきた。

 石井の相手は79戦56勝(4KO)23敗というタイの26歳、ティーラポン・ギャットチャイヨン。1R、石井は左右ローからジャブ、左ミドルと試運転し、得意の左ボディーを打ち込むと、ティーラポンをコーナーに詰め右アッパー、左フック、右ローとコンビネーションを回転させる。そしてティーラポンにロープを背負わせると左ハイで頭を刈り取り、これで大の字に倒してノックアウト(1R2分24秒)。

「恩返しがテーマ」残り2戦で現役引退へ

試合後に残り2戦で引退することを発表した石井 【t.SAKUMA】

 鮮やかに再起を飾った石井はマイクを取り、ファンに感謝を伝えると「12月8日も試合をさせていただきますので、また応援よろしくお願いします」とあいさつ。新たな気持ちで現役続行かと思われたが、控室へ戻ると「あと2回で終わりです」と、引退が近づいていることを明言。王座を失い「このままフェードアウトしようかとも思いましたが、それではお客さんにあまりに失礼だと思ったので」と話し、「恩返しがテーマです」とリングに戻った理由を明かした。

 石井に残された試合は12月と、来年行われるであろうラストマッチの計2試合。完全燃焼へのラストスパートが始まった。

■石井試合後のコメント
「(復帰したのは)このままフェードアウトしようかとも思いましたが、それではお客さんにあまりに失礼だと思ったので。優しい人たちに支えられていることをベルトを獲った時以上に感じた7カ月でした。(自分の気持ちを)こういう形で出せてよかった。
 あと2回で終わりです。あと3回、集中して3回で終わりにしようと決めました。今回はどれだけ動けるか、あれだけ落ち込んだところから復帰するのは初めてだったので、それを確かめるための試合でした。
 どういう形で締めくくるかは分かりませんが、自分の中ではストーリーができつつあります。恩返しがテーマです。石井宏樹の集大成として最後の試合をやりたいので、そこへ向けてまた自分を作り上げていきたいです」

 また、今大会では日本ウェルター級王者の緑川創がタイ人をヒジで切り裂き好調7連勝目を上げ(3RTKO)、日本ミドル級王者の喜多村誠も同じく2R終了TKOでタイ人に勝利。また第11試合では9戦7勝(4KO)2分と無敗の18歳、重森陽太が無敗のままハイキックによる2RKOで日本バンタム級王者となり、江幡兄弟に次ぐ若い才能が育っていることを感じさせた。

 その他、大会の全試合結果は以下の通り。

■新日本キックボクシング「MAGNUM33」
10月13日(日)東京・後楽園ホール

<第14試合 日タイ国際戦 64kg契約 3分3R>
○石井宏樹(藤本/元ラジャダムナンスーパーライト級チャンピオン)
(1R2分24秒 KO)
●ティーラポン・ギャットチャイヨン(タイ)

<第13試合 日タイ国際戦 69kg契約 3分3R>
○緑川創(藤本/日本ウェルター級王者)
(3R1分39秒 TKO)
●プーパンレック・エスジム(タイ)

<第12試合 日タイ国際戦 73kg契約 3分3R>
○喜多村誠(伊原新潟/日本ミドル級王者)
(2R終了 TKO)
●カジョンサック・シットサイトーン(タイ)

<第11試合 日本バンタム級王座決定戦 3分5R>
○重森陽太(伊原道場稲城/日本バンタム級1)
(2R0分25秒 KO)
●越川大樹(市原/日本バンタム級2位)
※重森が新王者に輝く

<第10試合 次期ウェルター級王座挑戦者決定戦 3分3R延長1R>
○渡辺健司(伊原道場稲城/日本ウェルター級2位)
(延長判定2−1)
●大塚隼人(ビクトリー/日本ウェルター級1位)
※10−9(渡辺)、10−9(大塚)、10−9(渡辺)
※本戦判定はドロー

<第9試合 日タイ国際戦 ミドル級 3分3R>
○斗吾(伊原道場/日本ミドル級2位)
(1R2分22秒 KO)
●ゲンナロン・ブリザードジム(ブリザードジム/元M−1ウェルター級王者)

<第8試合 日本ヘビー級 3分3R ※ヒジなし>
○嚴士鎔(伊原道場/日本ヘビー級2)
(判定3−0)
●木村秀和(HALEO TOP TEAM/2008年全日本全日本新空手重量級王者 )
※29−28、30−29、30−29

<第7試合 日本ライト級 3分3R>
○翔栄(治政館/日本ライト級3位)
(判定3−0)
●千久(伊原道場/日本ライト級8位)
※30−29、30−28、30−29

<第6試合 日本ウェルター級 3分3R>
○大槻翔太(伊原道場/日本ウェルター級4位)
(判定3−0)
●継之助(武州館)
※30−29、30−29、30−28

<第5試合 日本フライ級 3分3R>
○HIROYUKI(藤本)
(3R1分42秒 TKO)
●泰史(伊原道場/日本フライ級1位)

<第4試合 63kg契約 3分3R>
○石垣耕平(トーエル)
(3R0分39秒 KO)
●高平大需(藤本)

<第3試合 55kg契約 3分3R>
△阿部泰彦(JMN)
(ドロー)
△吉田健一郎(トーエル)
※29−28(阿部)、30−30、29−29

<第2試合 日本ライト級 3分2R>
○永澤サムエル(ビクトリー)
(判定3−0)
●エージェント木村(野本塾)
※3者20−18

<第1試合 日本ミドル級 3分2R>
○徳王(伊原道場)
(1R0分13秒 KO)
●新美喜信(BFM)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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