ファンのリスペクトに感謝するベッテル=2位に90点差つけインドで王座確定か?

川喜田研

鈴鹿で今季9度目の優勝を決めたベッテル。4年連続の年間王者へまっしぐらだ 【川喜田研】

 10月13日、2013年F1世界選手権第15戦、日本GPが三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで行われ、レッドブルのセバスチャン・ベッテルが今季9勝目をマーク。2位には同じレッドブルのチームメイトで、今シーズンいっぱいでF1からの引退を表明しているマーク・ウェバーが入り、レース前半をリードしたロータスのロマン・グロージャンが3位入賞と健闘。今季、圧倒的な速さを見せるレッドブル勢を相手に、堂々たる戦いを演じてみせた。

グロージャンがスタートでトップに躍り出る

 雲ひとつない快晴に恵まれた日曜日の鈴鹿サーキット。8万6千人の大観衆が見守る中、目の覚めるようなスタートでトップへと躍り出たのは予選4番手のグロージャン(ロータス)。以下、ポールポジションのウェバー(レッドブル)がこれに続き、ベッテル(レッドブル)、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)、フェリペ・マッサ(フェラーリ)、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)というオーダーで1周目が終了。スタートで出遅れた、ロータスのキミ・ライコネンは11番手、ベッテルとの接触で右リアタイヤを痛めたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)も予定外のピットインを強いられ、大きく順位を落としてしまう。

 11周目、まずは上位陣のトップを切って、2位を走るウェバーが1回目のピットイン。マッサ、ライコネンが同ラップに、翌12周目にはグロージャン、ロズベルグ、さらに14周目にはベッテルが、それぞれピットストップで硬いオプションタイヤに履き替え、コースへと復帰するも、タイヤ交換を終えた時点で、上位3台の順位はそのまま。トップを快走するグロージャンはここから2位、ウェバー以下との差をジワジワと広げてゆく。
「最高のスタートでトップに立って、その後もレッドブル勢を引き離すことができた。一瞬、このままF1初優勝が飾れるかもしれないって思ったよ」とグロージャン。

猛チャージでトップに立ったベッテル

猛チャージを見せたベッテル(中央)とウェバー(右)のレッドブル勢。ロータスのグロージャン(左)も健闘 【川喜田研】

 だが、タイヤの摩耗に注意しながら3位を走るベッテルは、虎視眈々(たんたん)と逆転のチャンスを狙っていた。25周目、ウェバーが2度目のタイヤ交換のためにピットイン。29周目にはグロージャンが2度目のピットストップ行うと、ウェバーが2番手に浮上。だが、この時点でトップに立ったベッテルは2セット目のタイヤでそのまま37周目までコースに留まり続ける作戦で、レース後半に勝負を掛ける。

 38周目、2度目のピットストップを終えたベッテルがウェバー、グロージャンに次ぐ3位でコースに戻ると、そこから前を走るグロージャンに猛チャージを仕掛け、41周目のメインストレートでロータスを抜いて、まずは2位に浮上。そして42周目、ウェバーが3回目のタイヤ交換でピットインすると、この時点でベッテルが再びトップに立ち、そのまま危なげない走りでフィニッシュ!
 一方、最後のピットストップで3位にポジションを落としたウェバーも、レース終盤、2位を走るグローシャンを猛追し、51周目のシケインでついにロータスを逆転。僚友、ベッテルに次ぐ2位でチェッカーフラッグを受けた。

 以下、3位にグロージャン、4位アロンソ、5位にライコネンが続き、ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグとエステバン・グティエレスが強豪チームを相手に6位、7位につけるる大健闘。8位、ロズベルグ、9位、ジェンソン・バトン(マクラーレン)、10位のマッサまでがポイント圏内でレースを終えている。

ファンのリスペクトに感謝するベッテル

「ファンのみんなに、心からありがとうと言いたい」と声援に応えるベッテル 【川喜田研】

「今日は何よりもまず、ファンの皆さんに心から感謝したい。毎年、この鈴鹿に来るたびに多くのファンが、僕たちドライバーに対するリスペクトを示してくれるのが本当にうれしいんだ。今日は最悪のスタートになってしまったけれど、レース後半、素晴らしいペースで走れたおかげでグロージャンを追い抜き、マーク(ウェバー)と違う作戦を選ぶことで、こうして勝つことができたので、本当にファンタスティックなレースだった。いつも熱い声援を送ってくれるファンのみんなに、心からありがとうと言いたいよ!」とベッテル。

 ちなみに、ドライバーズ選手権2位のアロンソが4位入賞を果たしたため、鈴鹿でのチャンピオン決定はならなかったが、ベッテルはこの優勝でドライバーズポイントを297点に伸ばし、2位アロンソとの差は実に90点。2週間後に行われる第16戦、インドGPでベッテルが5位以上で完走、あるいはアロンソが3位以下に終われば、その時点で自動的に4年連続の王座が確定する。

<了>
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