鈴鹿サーキットで行われる“特別な一戦”=F1日本GP前日レポート

川喜田研
 10月11日から開幕するF1日本GPを翌日に控え、木曜日から熱気に包まれる鈴鹿サーキット。この日、行われたピットウォークとドライバーのサイン会には、まだ開幕前だというのに約7000人近いファンが詰めかけ、ドライバーたちに熱い声援を送った。

鈴鹿は世界最高のコース

会見に臨んだ選手たちは一様に鈴鹿サーキットの素晴らしさを語っていた 【川喜田研】

 毎年、多くのドライバーが「世界最高のコース」と絶賛する鈴鹿サーキットだが、恒例の国際自動車連盟(FIA)の木曜記者会見でも、最初に取り上げられたのはその話題。 会見の口火を切ったセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が「鈴鹿の第1セクタはファンタスティックの一言! 高速コーナーをマシンの限界で走り抜ける感覚は、まさに自分自身への挑戦だし、スプーンも大好きなコーナーだね!」とコメントすれば、「鈴鹿はファンも本当に素晴らしい、水曜日からサーキットに来ている人もいるし、みんな心からモータースポーツのことを愛しているのが分かるんだ。そういう意味でも鈴鹿の日本GPは特別なレースだよ」と話したのはマクラーレンのジェンソン・バトンだ。

 その後も、ジャン・エリック・ベルニュ(トロロッソ)、パストール・マルドナド(ウィリアムズ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)と、この日の会見に参加したドライバー全員が鈴鹿サーキットの素晴らしさと、ファンの雰囲気の良さを口々に語り、ベッテルは2008年の日本GPの際、富士山に登ったエピソードを披露。やはり、日本GPは多くのドライバーにとって掛け値なしに「特別な一戦」となっているようだ。

 会見ではこの他、第11戦のベルギーGP以来、ここまで4連勝を飾り、選手権ポイント2位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)に77点もの大差をつけて鈴鹿に乗り込んできたベッテルに対し「この独走状態をどう思うか?」という質問も出た。これに対して「独走と言っても、楽なレースなんてひとつもない。確かに僕たちのマシンは速いけれど、その性能を限界まで引き出すのはいつだってギリギリのチャレンジなんだ」とベッテル。

「確かにシンガポールでは他のマシンより1周2秒も速いという状況もあったけど、先週の韓国GPでは、レース中の2位との差は常に3秒〜6秒の範囲内。ちょっとしたミスで、あっという間に失いかねない程度のリードでしかない。かつてのシューマッハーが見せた、2位以下を30秒とか60秒も引き離してしまうような“独走状態”とは比べ物にならないよ」と、今季のレッドブルが見せる圧倒的な強さが、チーム全体の絶え間ない努力と、予選、決勝を通じ、全力を注ぎこんだ厳しい戦いの成果であることを改めて強調した。

小林可夢偉、フェラーリの一員として登場

浜島氏(左)とともに会見に臨んだ可夢偉(右)は、来季のF1カムバックに向け、さまざまな動きがあることを示唆した 【川喜田研】

 また、この日のパドックには、1年前の日本GPで3位表彰台を獲得した小林可夢偉もフェラーリの一員として姿を見せた。昨年、ザウバーで素晴らしい成績を挙げながら、今季のF1シートを確保できず、今シーズンはフェラーリの契約ドライバーとしてWEC(世界耐久選手権)を戦っている可夢偉だが、同じくフェラーリの一員として働く、元ブリヂストンの浜島裕英氏とともに臨んだ会見で、「今季のWECではあえてセッティングについて自分の注文を出さず、チームメートの好みに合わせたセッティングのマシンから、いかに自分のドライビングで速さを引き出せるかという課題に挑戦してきた。そこで学んだことはF1にも生かせると思う」とコメント。

 気になる来季の去就については「自分は何も言わないことにしています、存在をアピールしなくても、F1チームの人たちはちゃんと自分の存在を気にしてくれているのを知っているから」と、具体的な可能性については言及しなかったものの、来季のF1カムバックに向けて、水面下ではさまざまな動きがあることを感じさせた。

 好天に恵まれ、木曜日は10月とは思えないほどの暑さとなった鈴鹿だが、2回のフリー走行が行われる金曜日は雨の可能性も……。世界最高の「ドライバーズサーキット」鈴鹿でベッテルがタイトル獲得に王手をかけるのか? それとも、ライバルたちの反撃があるのか? 注目のF1日本GPは明日、その幕を開ける!

<了>
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