「マー君ではなく、藤田一也がMVP」=山村宏樹が推す楽天初V陰の立役者

構成:スポーツナビ

楽天初Vを支えた陰のMVPは藤田一也だ! 【写真は共同】

 東北楽天が26日、球団創設9年目にして悲願のリーグ初優勝を飾った。投手ではエース・田中将大が開幕22連勝、昨季からの連勝も26に伸ばす歴史的活躍を見せ、打線ではメジャーで実績のあるジョーンズとマギーの活躍が光った。初優勝の原動力として、真っ先に名前が挙がるのは、彼らになるだろう。

 それでは、今季ずっと楽天を取材しつづけた同球団OBの山村宏樹氏の目には楽天優勝の立役者は誰に映ったのだろうか――話を聞いた。

楽天、初Vのキーマンは藤田!?

――初優勝をエースとして引っ張った田中投手が一番の立役者でしょうか?

 チームに勢いを与えたのは、やはり田中投手だとは思います。調子は決して今季良いようには見えないのですが、序盤戦で打線の援護もあって、勝ち星が続いたのが良かったのではないかと、佐藤義則投手コーチも言っていましたし、私もそう思います。

 田中投手が勝ち続けたことで、チームに「負けられない」という想いを強くさせたということもあると思います。

 ただ、田中投手だけでなく、震災以降、選手会長などでさまざま困難に立ち向かった嶋基宏捕手の存在も大きいと思いますし、松井稼頭央選手が1年間、1軍で過ごすことができたのも非常に大きいと思います。

――それでは山村さんが考える、楽天の勝因・キーマンは誰だったのでしょうか?

 藤田一也選手だと思います。彼はチーム、ピッチャーを助ける守備で貢献していましたね。

 藤田選手は、センターに抜けそうな当たりでも追いつきますし、捕球してからの送球も非常に速い、球際にも強いです。本当にすべての打球に追いつきます。それも横っ跳びで捕球するのではなく、しっかりと追いつけるのが藤田選手のすごさではないでしょうか。ポジショニングの良さが光っていました。

 今季の勝ち星で10〜15は藤田選手の守備がもたらしたと言えるのではないでしょうか。楽天にとって藤田選手の存在は非常に大きかったと思います。

マー君の連勝記録を支える守備

――藤田選手の守備が勝利につながった印象的な試合はありますか?

 田中将大投手が昨季からの連勝を「21」に伸ばした8月16日の埼玉西武戦です。初回、ヘルマン選手と渡辺直人選手に連打を許し2死二、三塁としましたが、秋山翔吾選手の打球を藤田選手が捕球してアウトにした場面。あまり目立つシーンではないと思いますが、抜けていたら一挙に2点が入る場面でしたし、あの時、藤田選手が捕れなかったら、西武に先制点を与え、そのままズルズルといっていた可能があり、田中投手の連勝記録が止まっていたかもしれません。非常に大きい1プレーだったと思います。

 田中投手が投げている際に、藤田選手の良い守備というのが今季はよく見られました。余分なヒットを与えない藤田選手の守備で、田中投手を救った場面は多々ありました。目に見えない部分かもしれません。しかし、地味ですがもっと評価されて良いと思います。田中投手の連勝記録を支えているのも藤田選手の守備と言っても過言ではないと思います。

――なぜ田中投手の時は良い守備が見られるのでしょうか?

 田中投手は「守備の準備がしやすい投手」と、藤田選手本人が言っていました。コントロールが良いので、球種とコースを見て「このコースに投げれば、ここら辺に飛んでくるだろう」という予測がつきやすく、リズム良く守っていられるようです。そこが田中投手が投げている時の最後の一歩、球際の強さにつながっているようです。

――優勝決定のヒーローインタビューで星野監督も今年は守り勝ったというような発言がありましたが、その象徴が藤田選手ということですね。

 そうだと思います。藤田選手の守備力の高さにもっと注目してほしいところです。MVPを与えてもいいのではないかと思います。

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