船木&初代タイガー初タッグに潜む“運命”とは?=リアルジャパン
船木&タイガーの連携攻撃は飛び出すか!?
初タッグを結成する初代タイガーマスクと船木 【t.SAKUMA/佐藤崇】
まず目を引くのが、メーンイベントで行われる初代タイガーマスク&船木誠勝vs.長井満也&AKIRAの一戦だろう。船木にとって今回がリアルジャパン初参戦となる。
船木とリアルジャパンの間には不思議な縁がある。船木は2004年公開の映画『真説タイガーマスク』にタイガーマスク役で出演した際、初代タイガーから技術指導を受けている。その縁があって、2005年3月のリアルジャパン旗揚げ会見に出席していたのだ。
あれから8年……このタイミングで初参戦するのは何かの“運命”なのかもしれない。そのぐらい船木と初代タイガーの初タッグ結成には大きな意味がある。
船木にとって初代タイガーは憧れの存在であり、プロレスラーを志すキッカケになった選手だ。中学生時代、地元・青森で雪が積もると、校舎の2階から外の雪目掛けて空中殺法の練習をしていた経験があるという。
新日本プロレスに入門した時点で初代タイガーは離脱していたが、「自分が2代目になりたい」と思うほどタイガーマスクという存在に心酔していた。それだけに、今回のタッグ結成は「同じ空間にいること自体が夢みたいな感じ」と実感が湧かない様子。「プロレスに復帰して良かった」とまで語っていた。
今年の5月29日、ドラディション後楽園ホール大会でタッグながら初対決が実現(対戦カードは藤波辰爾&初代タイガーvs.船木&AKIRA)。 本来であれば「次はシングルで」という見方がされるが、船木は「正直、触れられないんですよ。自分もキャリアが長い方なんですけど、それでも初心に戻っちゃうというか。向かい合った瞬間、動けないんですよね」と今後の対戦について否定している。
記者会見の席で何度も「別格」という言葉で初代タイガーを称えていたが、改めて試合で肌を合わせたことで憧れの気持ちを強くしたようだ。初参戦の船木が主役になってもおかしくないところだが、船木は「サポートに徹する」と明言している。憧れと思い入れの気持ちが強い分、タッグでサポートするというスタンスが一番しっくり来るようだ。
8月は体のオーバーホールに徹し、しっかりと体調を整えてきた。そして、新団体・WRESTLE−1の9月旗揚げシリーズも乗り越え、試合勘も戻った。まさに万全の状態で、船木は初代タイガーとのタッグという「夢」に臨む。新団体が始動した直後の、一番いいタイミングでタッグ結成が実現するのは“運命的”だ。果たしてどんなチームワークを見せるのか? 連係攻撃は飛び出すのか? 船木の表情などにも注目しながら、2人のタッグを見守ってもらいたい。
新日本時代の同期、船木とAKIRAが激突
新日本同期の船木とAKIRAがタッグで激突 【t.SAKUMA/佐藤崇】
初代タイガーとも対戦経験があるだけに、当然何らかの作戦を立ててくるのは確実。初代タイガーが「ダイナマイト・キッドと戦っている時のような気持ちよさを感じる」とかつてのライバルの名を出してまで絶賛するAKIRAが、この試合の鍵を握ることになるだろう。
そのAKIRAにとって長井はとても心強いパートナーだろう。長井は元レジェンドチャンピオンシップ王者で、リアルジャパンの常連選手。その確かな技術と実力は初代タイガーも「ストロングスタイルができる選手で、一番の注目株」と高く評価している。
その長井と船木はかつて“同じ釜の飯を食っていた仲間”だった時期がある。新生UWFの末期に長井が同団体に入門した時、次代のスター候補として注目を集め始めていた船木がガッチリと握手してくれたことを今でも覚えているという。プロレスから格闘技のリングに活路を求め、再びプロレスに戻ってきた2人の歩みには共通点が多い。そんな長井と船木が初対面から24年の時を経て初対決を果たすのも「運命的」だ。2人の蹴撃戦を期待したい。
そして、一番強調しておきたいのは、船木、AKIRA、長井という実力者とともにリングに上がる初代タイガーが「どんなファイトを見せてくれるか?」という点だ。『ストロングスタイルの復興』を旗印に激しい戦いを繰り広げてきた初代タイガーだが、近年の試合の中で、特に今回のタッグマッチは本人が想い描く『ストロングスタイル』が体現できる試合になるはず。もしかすると、ここまで説明してきた選手たちの因縁や関係が一切吹き飛ぶような『超ストロングスタイル』な戦いになるかもしれない。