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五輪競技に復活へ野球界にいま必要なこと
「ミスターアマ野球」杉浦正則が示す道

「お父さんも昔、オリンピックに出たことあるんだぞ」

野球の五輪競技復活に向けて、故・山本日本野球連盟会長のような情熱が必要だと説く杉浦正則さん
野球の五輪競技復活に向けて、故・山本日本野球連盟会長のような情熱が必要だと説く杉浦正則さん【スポーツナビ】

 9月8日の早朝、歓喜の報道が日本国内を駆け巡った。

「私の子供2人が中学生、高校生になる頃なんですよね。お父さんも昔、オリンピックに出たことがあるんだぞって。東京開催に決まったので一緒に足を運ぶことができるかもしれないな。そういううれしい気持ちになった」


 本当に個人的な想いで申し訳ないと、前置きしながらも野球で五輪に3回(バルセロナ、アトランタ、シドニー)出場した杉浦正則は最初にそう語った。元来、柔和な表情ではあるけれども、さらに優しい目元になったのがとても印象的だった。


 アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれていたIOC(国際オリンピック委員会)の総会(現地時間7日)にて2020年の夏季大会開催が東京に正式決定。単純に世紀のスポーツの祭典という枠に収まらず、政治・経済・外交などにも大きく波及した。これらはメリットだけではないかも知れないが、1964年以来56年ぶり2回目となる自国開催(冬季五輪は除く)はとてつもないビッグニュースであることに間違いはない。

 そして、翌日、競技種目に関する報道にも注目が集まり、レスリングは投票により正式競技として残留。しかし、野球・ソフトボールは次点となった。ただ、競技復活の可能性が残っているという状況。この保留という現況はIOC新会長に就任したトーマス・バッハ氏が競技復活に理解を示しているからだ。東京開催であるならば、施設環境も充実しているし、日本国内での野球・ソフトボール人気を考えると商業的収益も大きいと見込まれるからだ。

今こそ情熱を持った積極的なアピールが必要

「各競技ごとに国際大会はあるけれども、1つの大会に全ての競技が集まり、4年に1度、全世界の注目を集めるのがオリンピックという舞台。競技活動を支えてくれるたくさんの人間の想いや、自分自身も結果や苦しさの4年間を背負って臨む。そこに立てるのはスポーツマンとして幸せなことですし、そういう場面で力を発揮できた時の達成感や満足感は格別なもの。また、思うような結果を残せなかった時の悔しさも生半可なものじゃない。だけど、そんな経験も次の成長につながるはず。それがオリンピックの魅力だと思いますよ」


 ただ、前述したように野球・ソフトボールは現時点において競技復活となるかは分からない。杉浦は「公開競技でも復活してほしいと、強く願っています」と語り、「オリンピアン(オリンピック出場経験者)の一人としてご協力できることがあれば、裏方でも何でも仰せ付かりたい」という意向を見せながらも、さらに力強く続けた。


「プロもアマチュアも関係なく、今こそもっと野球の素晴らしさをアピールしていくべきだと思うんです」


 世界的視野での野球人口増加の急激的拡大は困難なこと。遠い道のりであって、容易ではないからこそ、野球先進国とも言える日本の積極的なアクションは必要不可欠だと。

「現在、私なんかはそういう場が少年野球教室くらいしかないんですが、オリンピックの話をしたら、子供たちも喜びます。日本野球連盟の会長であった故・山本英一郎さん(享年87歳)は使い古しでも野球道具をたくさん集めて、海外(野球後進国)へ贈られたりしていましたよね。そういう情熱が今こそ必要なんじゃないでしょうか」

島尻譲

 1973年生まれ。東京都出身。立教高−関西学院大。高校、大学では野球部に所属した。卒業後、サラリーマン、野球評論家・金村義明氏のマネージャーを経て、スポーツライターに転身。また、「J SPORTS」の全日本大学野球選手権の解説を務め、著書に『ベースボールアゲイン』(長崎出版)がある。

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