田中将大、シーズン「25勝0敗」の現実味=元楽天・山村宏樹が解説
開幕21連勝を達成した楽天・田中。連勝記録はどこまで伸びるのか、元楽天の山村氏が解説する 【写真は共同】
メリハリのついた投球、自己管理の徹底が素晴らしい
勝ち星もすごい数字ですが、何より負けていないということがすごいですね。昨季まではすべてのバッターを力でねじ伏せるピッチングだったのですが、今季はゲームをつくって、打たれても「0」で抑えられればいいという考え方に変わったように思います。ゲーム展開の中での力の出し入れ、メリハリをつけたピッチングができていることが連勝記録につながっていると思います。
また、相手バッターをよく観察していますね。自分の調子、相手の調子をよく見極めてマウンドに上がっているように思います。昨季までは自分の調子ばかり気にしている様子でした。
――ランナーなしと得点圏に進んだ時とでギアが一段階上がるピッチングが見られますね。
そうですね。「0」で抑えられればいいという考えからだと思いますね。得点圏でギアを上げると、球速やキレも上がりますから、それまでのピッチングで慣れていたバッターは打ちづらくなりますよね。昨季までは1〜9回まで同じような力で投げていたのが、今季は要所で力を出しているところが見られます。
――ローテーションを守りながら、かつ勝ち続ける難しさをどう感じますか?
1年間、調子が良く投げられるわけではないですから、体調管理ができているというのが素晴らしいと思います。特に今季は春先、あまり状態が良くなかっただけに、その後、試行錯誤しながら調整法も変えていたように思います。
毎試合毎試合、フォームが変わらず、バランス良く投げられています。季節対応、屋外・ドームの違い、移動もある中で、自己管理を1年間通して続けるのは非常に難しいですが、よくやっていると思います。
――今季の田中投手の変化について、何がきっかけだと思われますか?
田中投手よりも年下の選手がローテーションに入ってきていることが影響していると思います。後輩たち、田中投手に続いていく選手に示さなくてはいけないという気持ちでやっていると思います。私がいっしょにプレーしていた頃はそれほど年下の選手が多くなかったです。しかし、昨季あたりから辛島航投手や釜田佳直投手、同級生の塩見貴洋のような若い投手がローテーションに入るようになってきました。その中で、「俺が引っ張らなければ」という部分で、調整法やマウンドでのしぐさ、投球技術を学んでもらいたいというのがあるのだと思います。
また、家庭を得たというのも大きかったのではないでしょうか。落ち着いた生活ができ、ホッとする瞬間・場所ができたことも一つのきっかけになったように思います。