英競馬紙が驚嘆「オルフェは恐ろしい」=合田直弘の凱旋門賞 前哨戦回顧

JRA-VAN

圧巻! 馬なりのまま3馬身突き放す

オルフェーヴルが凱旋門賞の前哨戦を圧勝! 英競馬紙もその実力を驚嘆混じりに報じた 【photo by Tomoya "J" Moriuchi】

 オッズ1.8倍という圧倒的1番人気に推されたオルフェーヴル(牡5、父ステイゴールド)が、期待にたがわぬ圧巻のレースを披露してくれた。

 逃げ馬がおらず、キズナの帯同馬として遠征中のステラウインド(牡4、父ゼンノロブロイ)が押し出されるようにハナを切ったこのレース。序盤のペースは超の字がつくスローペースになった中、3番手内ラチ沿いできっちり折り合ったのがオルフェーヴルだ。序盤で何度も頭を上げる仕草を見せた昨年のこのレースと比べれば、別馬のような落ち着きである。

 前半のペースを考えれば逃げ切りもあるかと思われたステラウインドの外に、馬なりのままオルフェーヴルが並びかけたのが残り300m付近で、鞍上クリストフ・スミヨンが軽く手を動かすと一気に後続を引き離し、最後は3馬身差の快勝となった。
 春のG1ドバイシーマクラシック(芝2400m)3着馬ベリーナイスネーム(牡4、父ウィッパー)が2着で、吉田照哉氏が所有する昨年のG1ヴェルメイユ賞(芝2400m)2着馬ピリカ(牝5、父モンズン)が3着。良く頑張ったもののステラウインドは5着に終わり、オッズ6倍の2番人気に推されたG1・3勝馬デュナデン(牡7、父ニコバー)は精彩なく8着に敗れている。

 スミヨンが一度もムチを使わずに相手馬を一蹴したオルフェーヴルの強さを、英国の競馬日刊紙レーシングポストは“Awesome(=恐ろしい)”という形容詞を用いて報じている。前哨戦の内容としては昨年よりも遥かに良かっただけに、本番でも昨年を上回る結果を残すことを期待したい。

キズナ意義大きい内容、本番に向けて視界開ける

武豊キズナは内容・結果ともに本番へ視界が大きく開ける前哨戦だった 【photo by Tomoya "J" Moriuchi】

 欧州初見参となった今年の日本ダービー馬キズナ(牡3、父ディープインパクト)が、大目標であるG1凱旋門賞(芝2400m)へ向けた意義ある試走を完遂した末に、勝利も手にするという、期待以上の結果を出してくれた。

 1番人気に推されたG1パリ大賞典(芝2400m)勝ち馬フリントシャー(牡3、父ダンシリ)陣営が先導役として用意したプリエンプト(牡3、父ダンシリ)がペースを作ったこのレース。キズナは5番手につけたフリントシャーを3馬身程前に見る8〜9番手で競馬を進めた。

 直線に向くと追い出しにかかったフリントシャーを、馬なりのまま見ていたキズナの鞍上・武豊騎手の手が動いたのが残り300m付近で、前半好位から直線内を伸びたパリ大賞典3着馬オコヴァンゴ(牡3、モンズン)をかわして残り100m付近で先頭へ。最後は、前半中団からゴール寸前で強襲したG1英ダービー(芝12F10y)勝ち馬ルーラーオブザワールド(牡3、父ガリレオ)との競り合いになったが、これを短頭差制してキズナが優勝を飾った。人気のフリントシャーは4着に敗れている。

 初コースだったロンシャンで、しかも重馬場となった中、仏国や英国の精鋭を向こうにまわしての優勝。しかも、本番を意識した「85パーセントの仕上がり(陣営談)」で、なおかつ消耗の少ないパフォーマンスで制した意義は非常に大きい。本番に向けて視界の開ける前哨戦となった。

 G1英ダービー後のG1愛ダービー(芝12F)で5着に敗れたため、ここは6番人気と評価を落としての出走だったルーラーオブザワールドのレース振りも印象的だった。エンジンのかかりが遅く、トップスピードに乗るまで時間がかかる競馬振りは相変わらずだったが、ゴール前で繰り出した鋭い切れ味はこの馬にとっては新境地で、本番でも要注意の1頭と言えそうである。
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