ファンクラブ会員2.5倍 人気復活の兆し感じる横浜DeNAの球団経営哲学とは?

「今は通過点。満足はしていません」

DeNAは今季、ホーム観客数が昨対比115%と12球団随一の伸び率を見せている
DeNAは今季、ホーム観客数が昨対比115%と12球団随一の伸び率を見せている【(C)YDB】

 今シーズンは4年ぶりに50勝を超え、例年にないチーム力向上が見られる横浜DeNAベイスターズだが、復活の兆しを感じられるのはなにもチーム力ばかりではない。

 今年は横浜スタジアムの観客動員も増えており、前年比115%(8月31日時点)と好調だ。基本的に動員は勝敗に直結すると考えられているので、今年のDeNAの奮闘を考えれば分からなくもない。しかし、ただ勝ち星が増えたから動員が増したとは言い切れない。そこには現状を打破する球団の経営方針が確実に影響している。


 オーナー企業がディー・エヌ・エーになった2年目、新体制に移ってから“100万円チケット”や9月末に行われる“『倍返し!』チケット”といった大胆なアイデアをはじめ、野球をまだよく知らない女性や子どもに来場をうながす横浜スタジアムの『コミュニティボールパーク化構想』といったインフラの再整備などを手掛けてきたわけだが、球団代表取締役社長の池田純氏は、この現状についてまだ志半ばといった表情で語る。


「数字が伸びているのは成果が出ているということなので嬉しくはありますが、今の状況を見るかぎり、ここから複数年のスパンで考えないと、やはり目指すべき目標に到達しません。ですから今は通過点。満足はしていません」

「野球への関心や興味を取り戻す」

ホーム開幕戦の観戦チケットを横浜駅構内の広告に張り付けた「ピールオフ広告」
ホーム開幕戦の観戦チケットを横浜駅構内の広告に張り付けた「ピールオフ広告」【(C)YDB】

 池田社長が目指しているのは、ファンの存在を念頭においた健全な球団経営だ。ともすればオーナー企業の認知拡大、広告媒体として存在するプロ球団は、赤字を出しても親会社から資金が投入される脆弱(ぜいじゃく)な経営体制だと思われているのが世間の常識だ。

「そもそも球団だって株式会社なのですから、赤字を親会社に補填(ほてん)してもらう割り切った考え方はビジネスとしておかしい。ディー・エヌ・エーという親会社は、その点において意識が高く、球団は球団で健全経営を目指すべきだという考えです。職員がプロ野球好きで、仕事に誇りをもっているのならば、もうかることもトコトン考えられない方がおかしいし、それができないのはどこか組織上や構造上の問題があるということ。ですから私たちは既存の野球ビジネスを速いスピードで学び、そこにDeNAならではのビジネスへ向き合うスタンス、発想やアイデアを掛け合わせるようなスタイルをとっています」


 そこでキーポイントの一つとなるのが地域社会との関係だ。今やプロ野球界は北海道日本ハムファイターズや福岡ソフトバンクホークスの盛隆を見て分かるように“ローカリズム”というものが経営上、重要なファクターになっている。DeNAがホームを置く横浜市の人口は約370万人、さらに神奈川県の人口は900万人にものぼることから、巨大で潜在力の高い魅力的なマーケットだと言える。


「集客や収益の増減は、地域社会と密接な関係があるのは言うまでもありません。以前が地域社会においてどのような状態だったのか詳しくは知りませんが、私たちが加わったときは少なくとも、うちの球団は横浜の地域社会、経済界で存在感を示せなくなってしまっていました。プロ野球が放映権ビジネスで潤っていた時代は、そこまで営業努力をしなくても、広告が入ったり、年間シートが売れるので地域での営業努力を含め、積極的な経営努力を必要としなかったのだと思います。しかし、今は時代が違う。ですから私たちは地域社会の一員として、地元経済界の方々ともウィン・ウィンの関係になるような経営を心掛けています。

 またチームが弱かったということもあり、地域内の人々の野球への関心や興味も徐々に薄れてきてしまっていたとも思います。そこを取り戻すのが私たちの本質的な部分であり、挑戦になります。横浜という街の中、神奈川という地域の中で、もっともっと横浜DeNAベイスターズという球団の存在が意識してもらえるようになればと思っていますし、そうなるように戦略的に努力を続けていかなくてはならないと考えています」

石塚隆

スポナビDo

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