日本にとって“実践編”となるガーナ戦=1.5軍の相手に期待されること

清水英斗

守備に関して何度も修正指示を出した指揮官

グアテマラ戦では、守備陣に対しコーチングエリアから何度も修正指示を出していたザッケローニ監督 【Getty Images】

 90分間の中では多少その意識が緩む時間帯もあったが、アルベルト・ザッケローニ監督は、守備のやり方に関してコーチングエリアから何度も修正指示を出した。たとえば後半、3バックの左に入った今野泰幸が1対1で相手FWのマークに付いていると、すぐに身振り手振りを交えて、相手FWを今野と森重の間に挟むようにポジショニングすることを両者に求めた。また、ボールサイドへの絞りが甘いときには、手を胸元に引き寄せるジェスチャーで「もっと絞れ!」というメッセージを送り続けた。

 繰り返すが、この試合の勝ち負けのみを考えるなら、これは特に必要のない指示だ。しかし、このチームの目標はグアテマラに勝つことではない。強豪チームを相手にしたとき、どのように戦うのか。その戦術を確立することが目標だった。ザッケローニ監督、選手を含めて、何を見ながらこの試合に取り組んでいるのか、それが明確に表れた試合だったと思う。

サイドチェンジにどう対応するか

 このようにグアテマラ戦を“基本のおさらい”とするなら、ガーナ戦は“実践編”と呼ぶことができるだろう。ボールサイドに絞ってコンパクトに保つことは、カバーリングが利きやすいというメリットがある反面、絞りすぎて反対側のスペースを空けるとサイドチェンジを通されるリスクもあり、さらに攻撃に転じたときにサイドバックがタッチライン際に開くのに時間がかかるというデメリットもある。

 無論、最優先すべきは自陣ゴールへの最短距離を防ぐこと、すなわちボールサイドに絞ってコンパクトにすることだが、“基本のおさらい”ができたら、今度はそれをどのように調整していくか。グアテマラも、ザッケローニジャパンのコンパクトな守備を何度かサイドチェンジで突こうと試み、岡崎慎司らが下がって対応する場面もあった。しかし、これがガーナなら、プレスバックが間に合わないくらいのタイミングでサイドチェンジを通してくるかもしれない。

 では、そのときにどのように対応するのか。ガーナ戦はまさに実践編である。多彩な攻撃で、ザッケローニジャパンの守備を揺さぶってくれることを期待したい。

<了>

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著者プロフィール

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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