日本にとって“実践編”となるガーナ戦=1.5軍の相手に期待されること
最大の注目ポイントは?
本当の意味で守備陣の出来が試されるザックジャパン。吉田らは成果を見せることができるのか 【写真:アフロ】
ところが、6日に行われたザンビア戦でアフリカ最終予選進出を決めたガーナは、攻撃の主力選手であるケビン=プリンス・ボアテング、アサモア・ギャン、クワドウ・アサモア、アイェウらが離脱。来日するメンバーは1.5軍のような位置付けになるため、肩透かしの感もある。しかし、ガーナの控えの選手にとっては、今回の日本戦はスタメンを獲得するための絶好のアピールの場にもなるだろう。考えようによっては、モチベーションを失った主力が丸々来日するよりも、手強い相手かもしれない。
ザッケローニジャパンが目指す、「攻撃のスタートを意識した守備」を実践しつつ、失点を最小限に抑えることができるか。ここはやはり、最大の注目ポイントになる。
強豪チームには通じない“緩み”
しかし、そのような結果ベースの話だけではなく、ここでは試合の中身に目を移し、選手個人が取り組んでいた課題にも注目したい。たとえば、右サイドバックでフル出場を果たした酒井高徳は試合後に次のように述べた。
「(今日はディフェンスラインがボールサイドに絞る(寄る)意識がかなり強く、選手間の距離がいつもより近いように見えたが?) あえて大げさなくらいに絞って、クセをつけるのが大事だと思ったので。意識しなくても、できるようにとやりました」
ボールサイドに絞り、選手同士の距離を近くし、自陣ゴールへの最短ルートをコンパクトに縮めて守る。それによって何が起こるのか? 距離が近くなったことで最終ラインはお互いのカバーリングが利きやすくなり、簡単に一発で裏を取られるリスクが減る。森重真人と吉田麻也の間にもこのような連係が見られ、ウルグアイ戦と比較すると、明らかに強い修正の意志が見て取れた。
とはいえ、この試合でそこまでやる必要があったのかといえば、疑問符は付く。つまり、グアテマラと日本の個の力の差を考えた場合、1対1の局面で日本がすでに有利なのだから、カバーリングの体制をそこまでコンパクトに整えなくても、守ることは充分に可能だったはず。
しかし、それは“緩み”なのだろう。グアテマラには通じても、強豪チームには通じない“緩み”だ。今までは相手のレベルによって、ミスがミスとして現れず、吉田の言葉を借りるなら「なあなあでごまかしてきた部分」があった。しかし、それを相手どうこうではなく、自分たちの守備戦術として今一度、しっかりと遵守していくという意識。それがグアテマラ戦では感じ取ることができた。この点が非常にポジティブだったと思う。