全日本の足がかりとなる「若手の登竜門」=2013V・サマーリーグ見どころ
33回目を迎える伝統のサマーリーグ
島村は昨季のサマーリーグでの活躍を機に、全日本代表候補まで昇りつめた 【写真提供:日本バレーボールリーグ機構】
今年で33回目を迎えた伝統あるサマーリーグ。今大会は「若手の登竜門」としてバレーボールファンに広く知られている。各チームが、ここで今季のVリーグを見越して若手選手を積極的に起用するからだ。一方、選手にとっては今後のステップアップを目指すための絶好のアピール場となる。その証拠に、昨年のサマーリーグで最高殊勲選手賞を受賞した島村春世(NEC)は、その活躍で自信を得てVリーグでも躍動、2013年度の全日本女子代表候補に選出された。今大会も未来の全日本選手となる可能性を秘めた選手が、数多く存在する。
若手の台頭が目立った東部リーグ
昨季、かつて全日本男子のエースとして活躍した泉川正幸を監督に迎えたトヨタ車体は、レギュラーラウンドで4強を逃し、セミファイナルラウンドには進出できなかったが、積極的な若手起用でチームに改革をもたらした。今オフには司令塔(セッター)の藤田夏未が全日本の海外遠征に召集され、実績と経験を積んだ。攻撃面ではジャンプ力が武器の藤原亜紀、パワーの高本佳澄、高さのあるセンター衛藤智美など「攻撃力」を売りとした泉川監督らしい若手の起用で更なるレベルアップを図っている。
大会2連覇中のNECは、前回大会で優勝に貢献した白垣里沙、大野果奈、島村らの若手を勢いそのままにVリーグでも積極起用。2011/12シーズンの8位から、12/13シーズンは4位へと躍進した。NECの武器は全員攻撃・全員守備の「トータルバレーボール」。決勝リーグでも、キャプテン・内田暁子を中心に更なるレベルアップを目指し、大会3連覇を狙っている。
今大会のダークホースとも呼ぶべき日立は、昨季のチャレンジマッチ(入替戦)でデンソーエアリービーズにきん差の勝利を収め、5年ぶりにVリーグへ昇格。その立役者となったのは、全日本でも活躍するウイングスパイカーの江畑幸子と、リベロの佐藤あり紗だ。それに加え、春先の全日本のヨーロッパ遠征でレギュラーを務めた高橋沙織、世界ジュニア選手権で準優勝に輝いた173センチの大型セッター・細川絢加らが国際経験を積んで大きく成長。江畑、佐藤の二枚看板を欠く中、高橋らに懸かる期待も大きい。
年間タイトル制覇を狙う久光製薬
全日本招集メンバーを欠く中、久光製薬を支える野本。その魅力は外国人選手のようなダイナミックなプレーにある 【写真提供:日本バレーボールリーグ機構】
久光製薬は、7名もの選手を全日本に送りながらも西部大会で優勝を果たした。注目は、パワーと高さのポテンシャルを生かす野本梨佳。外国人選手のようなダイナミックなプレーが魅力だ。また、昨年のサマーリーグでセッターとしてデビューした狩野舞子の成長ぶりにも注目が集まる。その選手たちを陰で支える村田しおりは、攻守に安定感があり、167センチと小柄ながら大きな仕事をやってのけ、前回大会は敢闘賞を獲得している。
前回大会決勝でNECにフルセットで敗れて以来、国体、皇后杯、Vリーグ、日韓トップマッチ、黒鷲旗と主要大会を総なめにした久光製薬。今大会で優勝すると年間大会の全てを制覇する。
JTは、1次リーグを少数精鋭で戦わざるを得ない状況だったが、尾崎候新監督はそれを逆手に取り、守備の安定を図った。ボールを床に落とさないバレーで勝ち星を重ね、決勝リーグへと駒を進めた。決勝リーグでは、中村亜友美、山口かなめ、奥村麻依らユニバーシアード代表に召集されていた大型アタッカーとセッターが復帰。1次リーグで見せた堅い守備に、若い選手の高い攻撃力を融合させて優勝を狙う。
最後に、岡山シーガルズだが、昨季のVリーグではこれまでの最高順位となる3位に入った。粘り強く拾ってコンビネーションに持ち込むバレーを信条としていたが、昨季はそこに攻撃型の栗原恵と守備型の佐々木侑、萌姉妹というアタッカーが加わり、サイド攻撃に厚みをもたらした。決勝リーグでは、さらに精度を高めてくることが期待される。また、ロンドン五輪メンバーである山口舞が今シーズンからキャプテンに就任。プレーでチームを引っ張る姿にも注目だ。
未来の全日本選手を発見せよ
<了>
2013V・サマーリーグ女子大会
【写真提供:日本バレーボールリーグ機構】
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