渋く長く――「松坂世代」木佐貫洋の奮闘=新天地・北海道で愛される33歳の実直さ

ベースボール・タイムズ

松坂世代「気になる…一緒に頑張りたい」

 今年33歳。かつてのような剛球で打者を切る姿は見られなくなったが、得意球のフォークを軸に打者を翻弄(ほんろう)する投球術は年々円熟味を増してきている。

 今季、総じて苦しんでいる同期の選手たちの動向については「同い年なのでやはり気になります。成績の事もそうですね……一緒に頑張っていきたいです」と、言葉少なに心配そうな表情を浮かべる。さらに、先ごろメジャー復帰を果たした世代の代表、松坂大輔については「輝かしい成績を残して海を渡ったわけですから、楽しく投げてほしいですね」とエールを送った。苦しむ同期たちの姿に自らを重ねながらも、木佐貫は少しずつ、そして淡々と自らの仕事を果たし続けている。

 思えば、チームの顔である稲葉篤紀も05年に33歳でファイターズに加入し、その後、打率や本塁打でキャリアハイの成績を記録した。アスリートとして花開くには、弛まぬ努力もさることながら、その土地独特の風土や環境面が影響を与えることも少なくない。
『晩成』という言葉は彼のキャリアにはふさわしくない言葉かもしれない。しかし、いまの彼にはかつての自分を追い求めてもがき苦しんでいる様子はない。

 渋く、長く――。

 輝かしき世代の中で、木佐貫が丁寧に投げ続けている。彼はいま、ようやく自身が最も輝くのに適した場所に根を下ろしたのかもしれない。

<了>

(八幡淳/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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