松坂が再びカーテンコールを浴びるには……あと1カ月、残された時間は多くはない
恋い焦がれたプレッシャーを感じ続けるために
問題は、32歳になった今、松坂にそれができるのかどうか。結果を残したメジャーでの1〜2年目ですらも、不安定な登板は多かった。特に今季は残り約1カ月という限られたオーディション期間の中で、必ずしも容易な作業には思えないが……
「日本人のファンの方も多かったみたいですし、たくさんの人に声をかけてもらった。凄く嬉しかったのと同時に、プレッシャーもある。でもやっぱり自分はそのプレッシャーの中で生きて行きたい。これからもずっと歓迎してもらえるようなピッチャーになるために、しっかり結果を残して行きたいです」
かつて“怪物”と呼ばれた男が漏らした復帰戦後の言葉には、ひときわ実感がこもっているように思えた。高校時代から莫大な注目にさらされ続けてきた豪腕にとって、重圧の少ないマイナー暮らしは物足りなかったのだろう。
これから先、影がやや薄くなっていた元・名優に、再びメジャーの大舞台でカーテンコールを浴びる機会は訪れるのかどうか。
残された時間はそれほど多くはない。恋い焦がれたプレッシャーを感じ続けるために、ここで結果を出さなければいけないことは、誰よりも本人が理解しているはずである。