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メッシの体に何が起こっているのか?
世界最高のプレーヤーが直面した異変

不安視されているメッシのコンディション

メッシの体に異変が生じ始めた。けがが再発しやすくなり、常にコンディションに不安を抱えている状態だ
メッシの体に異変が生じ始めた。けがが再発しやすくなり、常にコンディションに不安を抱えている状態だ【Getty Images】

 バルセロナでは今、リオネル・メッシのコンディションが不安視されている。メッシは再発性の高いけがを抱えているのかもしれない。過去数シーズンはほぼ全試合にフル出場してきたが、今季はほかのチームメートと同様にローテーションで休みをとっていく必要があるかもしれないとの懸念が広がっているのだ。


 近年、その素晴らしいプレーと信じられない記録の数々を積み重ねてきたメッシは、チーム内における重要な決断においてほぼ常にその意向が尊重されてきた。


 4年連続でバロンドールを獲得し、若くしてフットボール史上最高の選手とまで言われるようになったクラックの希望を無視できなかったことは理解できる。だが、本人の望み通りに毎試合フル出場を続けてきた結果、とうとう彼の体には異変が生じ始めた。


 きっかけは4月の欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝、パリ・サンジェルマンとの第1レグだった。貴重な先制点を決めてほどなく、ハムストリングを痛めて途中交代したこの試合に続き、メッシは1週間後の第2レグでもけがが完治せぬまま後半途中からピッチに立ち、その左足でチームの準決勝進出を決めるゴールを挙げた。


 だが、この時に負った再発の代償は大きかった。同じくCLのバイエルン・ミュンヘンとの準決勝第1レグでは、本調子とはほど遠いパフォーマンスで完全に抑え込まれ、第2レグではベンチからチームの惨敗を見守ることになったからだ。

理に適っていた途中交代の判断

 6月に行われたワールドカップ(W杯)南米予選でも、まだ本調子になかったメッシは2試合ともに途中出場するだけにとどまった。アルゼンチンは、同予選で首位を快走しているだけに大きな問題とはならなかったものの、この2試合は共に引き分けで終えている。


 今月14日にイタリアとの親善試合が行われた際も、メッシはバチカン市国で新ローマ法王フランシスコへの訪問に参列した後、珍しく試合も見ることなくバルセロナへと戻っていった。


 それでもレバンテをホームに迎えたリーガ・エスパニョーラの開幕戦では再び素晴らしいパフォーマンスを見せ、7−0の大勝に大きく貢献した。だが、この試合では奇妙なことが起こった。特にメッシが要求したわけでもなく、ヘラルド“タタ”マルティーノ監督が後半途中に彼をベンチへ下げたのである。


 周囲を驚かせたこの決断について、指揮官はあらかじめ交代の可能性を本人と話していたことを明かし、「いくつかの試合で途中交代すれば、チームのローテーションを促進できる。彼はそれくらいのことは理解できる賢い選手だ。とはいえ、私は5試合連続で彼を交代させないよう心がけるつもりだよ」と説明している。


 確かにマルティーノの判断は理に適ったものだった。蒸し暑い気候もあり、メッシは試合中に少々気分が悪そうな素振りを見せていたし、3日後にはマドリーでアトレティコ・マドリーとの激戦(スペイン・スーパーカップ第1レグ)も控えていたからだ。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿