コンピューター制御のクルマは諸刃の剣=赤井邦彦の「エフワン見聞録」第11回
ヨハンソンが語るハイテクマシンの落とし穴
自らがデザインした時計のプロモーションのために来日したステファン・ヨハンソン 【AUTOSPORTweb】
ヨハンソンはこう切り出した。
「われわれの時代には、コーナーに飛び込むときにクルマが予想を超えた動きをする可能性を常に考えていた。ブレーキングでクルマのリアが跳ねるかもしれないとか、フロントが取られるかもしれないとか、コーナーの立ち上がりでリアがグリップを失うかもしれないとかね」
タイムを大きく左右する“コーナリング”
しかし、現在はどうだろう。ヨハンソンはこう付け加える。
「現代のレーシングカーはコンピューター制御で誰でも乗ることができる。コーナーに突っ込みすぎてもABS(アンチロック・ブレーキシステム)が働いてくれるし、出口でアクセルを踏みすぎてもトラクションコントロール(発進・加速時のタイヤの空転の防止)が働いて理想的なグリップを与えてくれる。何から何までコンピューター制御だ。レースを始めた時からこうした電子デバイスの付いたクルマに乗っていれば、それが普通であり、クルマのコントロールはそうしたデバイスが助けてくれるものとして行うことになる。ニキ・ラウダが『今のF1は猿でも運転できる』と言った意味が分かるだろう?」