“五輪翌年”の面白さ味わえた世界陸上=リオ五輪の“原石”若手選手が台頭
ブレーク、ゲイ……有力選手が相次いで欠場
陸上の世界選手権が閉幕。五輪翌年で有力選手が欠場する中、若手選手の活躍が光った 【写真は共同】
ウサイン・ボルト(ジャマイカ)のライバルで前回大会100メートル覇者のヨハン・ブレーク(ジャマイカ)は春から抱えているハムストリングの故障が治らず欠場。男子800メートルでロンドン五輪王者のデービッド ・ルディシャ(ケニア)はひざ、女子七種競技の五輪王者、 ジェシカ・エニス(英国)もアキレスけんを痛めており、それぞれ欠場を発表した。その他、日本でもよく知られている110メートルハードルの劉翔(中国)、過去2大会、男子マラソンを制しているアベル・キルイ(ケニア)も今回はエントリーに名前がなかった。
五輪の翌年は休養やリフレッシュにあてる選手が多く、故障している場合は無理をして合わせてこない場合がほとんど。同時に練習環境を変えたり、コーチを変えたりと、3年後に向けて新たな取り組みを始めるのにも絶好のタイミングだ。先を見据えれば焦って出る必要はないのである。
加えて、今回は大会前に100メートルの米国記録を持つタイソン・ゲイ(米国)、前世界記録保持者のアサファ・パウエル(ジャマイカ)などが薬物検査で陽性反応が出てしまい、さらに有力選手が減ってしまった。
ジュニア大会の覇者が見せた活躍
男子400メートルハードルを制したジェフエ・ゴードン(トリニダード・トバゴ)は2010年の世界ジュニア選手権の覇者でまだ21歳。男子走高跳で2位に入ったムタズ・エサ・バルシム(カタール)も同大会の王者で、その後も順調に記録を伸ばし、今大会もボーダン・ボンダレンコ(ウクライナ)とハイレベルな戦いを見せた。男子200メートルで5位に入ったアダム・ジェミリ(英国)に至っては昨年の世界ジュニア選手権100メートルの覇者でまだ19歳だ。
もちろんこの大会だけでその種目の勢力図が変わることはない。しかし3年後に向けて、ここから世界的なキャリアを積み上げていく選手も多いことは事実だ。今大会を観戦したファンは、16年リオデジャネイロ五輪での活躍が期待できる“原石”を探すことができたのではないだろうか。