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高野氏、朝原氏ら解説 日本の収穫と課題
世界陸上・男子400mリレー総括
エース山縣が不在の中、6位入賞を果たした日本リレーチーム。高野氏や朝原氏らは今回の結果をどう評価するのか?
エース山縣が不在の中、6位入賞を果たした日本リレーチーム。高野氏や朝原氏らは今回の結果をどう評価するのか?【写真:築田純/アフロスポーツ】

 陸上の世界選手権最終日が18日、ロシアのモスクワで行われ、男子400メートルリレー決勝では、日本は38秒39で6位入賞となった。


 エースの山縣亮太(慶応大)をけがで欠く中、予選をシーズンベストとなる38秒23の2着で通過した日本。決勝も予選と同じ1走・桐生祥秀(洛南高)、2走・藤光謙司(ゼンリン)、3走・高瀬慧(富士通)、4走・飯塚翔太(中央大)で臨んだが、バトンパスでミスが出るなど、予選よりもタイムを落としてのゴールとなった。


 スポーツナビでは、男子400メートルの日本記録保持者でもある東海大の高野進教授、北京五輪男子400メートルリレー銅メダリストの朝原宣治さん、スポーツライターの加藤康博さんの3人に、男子400メートルリレーの総括と男子短距離の今後の可能性について解説をしてもらった。

決勝進出を評価、世界に出て自信深めて(高野進)

 山縣選手が肉離れのけがで離脱した後、チームを再編成し直して、非常に危機感を持って予選に取り組んだと思います。それが良い方向に出て、予選はバトンパスもきれいでしたし、2着で通過したので、良いムードになったと思います。ただ、予選通過で安心してしまったように感じました。「予選は通って当たり前」というところから、山縣選手の離脱で、「予選を通ってほしい」という気持ちに変わったことによって、予選を通過できたという安堵(あんど)感は隠しきれない様子でした。決勝が同じ日にあるというスケジュールでしたので、決勝レースまでにもう一段、集中力を高めていくのに苦労したのではないでしょうか。


 さらに、決勝は8レーン、内側からのプレッシャーを非常に感じるレーンです。2レーンだった予選は、前をどんどん詰めていく感覚があります。前を詰めていく時というのは、走りがかみ合うというか、非常に力が出ます。しかし、決勝は内側からほかのチームが迫ってくるのを、どうしても意識してしまいます。「予選通過による安心感」と「決勝でもいけるかもしれないという期待感」という複雑な心理状態の中で、8レーンによる心理的プレッシャーが影響して、予選で見せた集中力が出ませんでしたね。


 1走の桐生選手ですが、高校生で決勝の8レーン、内側から来る選手たちの中でほぼ同着で走れていたのは立派だと思います。

 2走の藤光選手は、予選で非常に良い走りをしていましたが、決勝では出遅れてしまい、桐生選手とのバトンパスで詰まってしまいましたね。日本の場合、このようなミスをすると、上位に食い込めなくなります。その後の藤光選手のバックストレートは非常に焦った走りになっていました。

 そして、3走ですが、世界大会の3走となると、非常に速い選手がエントリーされます。高瀬選手も伸び伸び走れていて頑張っていましたが、一気に後ろから抜かれていって、差が開いた格好になりました。

 アンカーの飯塚選手は下位に沈んでいた中で順位を7位(着順時)に上げたことは立派だったと思います。欲を言えば、もう少し上の順位にいけたと思いますが、今回は非常に若いチーム、それも山縣選手の離脱があり当初のオーダーから急きょ変更したことを踏まえると、決勝に残ったという点を評価したいと思います。100点満点とはいかないと思いますが、どんな状態であっても決勝に残れるという雰囲気があることが重要だと思います。


 ロンドン五輪が終わり、伊東浩司短距離部長の体制になって最初のレース。まだスタート地点に立ったばかりです。(銅メダルを獲得した)北京の時は、ベテランの選手たちを中心に、同じチームで何度も失敗を繰り返してようやく勝ち取ったものでした。桐生選手は初の世界大会ですし、これからいろいろな戦いを繰り返していって、本当に強いチームになっていってくれれば良いと思います。


 2年後の世界選手権やリオ五輪に向けては、非常に楽しみな選手たちがそろっています。山縣選手や桐生選手への9秒台、飯塚選手の19秒台への期待もありますが、欲を言えば、海外のレースで記録を出してほしいと思います。海外で出さないと、本人たちが「世界で戦える」という手応えを持てないので、世界に出ていって、目標とする選手たちに打ち勝って、記録も出して、自信を深めていってほしいと思います。

構成:スポーツナビ

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

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