代理人が明かすボルトのイメージ戦略=桐生を育てるなら「パートナー探しから」

構成:スポーツナビ

日本の新星・桐生を売り出す方法なら……

ボルトの代理人を務めるシムス氏。桐生を売り出すなら「パートナー探しが第一」だという 【スポーツナビ】

――日本から、17歳の新星・桐生祥秀(洛南高)というアスリートが出てきました。もし彼の代理人を担当するなら、どのように育てていきますか?

 残念ながら彼のことはよく知らないですが、もしそれだけ若いのであれば、まずはスポンサーを探すことから始めますね。トレーニングやそのほかの資金を援助してくれるようなパートナーを探すことが第一だと思います。
 また、メディア対応を教えることになると思います。大きな大会ではメディアからの取材を受けますし、プレッシャーの大きさも全然違うと思います。メディアの前で緊張せずに対応できるよう、一歩ずつ教えていきます。もし、メディアの方が選手の能力を見すかすようなら、彼は成功しないでしょうね。

 さらに、さまざまなレースに参加させますね。先日、バーミンガムの試合(ダイヤモンドリーグ、6月30日)に出ていましたよね? まずはそのようなレースに参加させて、海外選手とのレースの経験を積ませることが、本番のレースで緊張しなくなるために大事なことです。そして、そのレースで活躍することで、日本に限らず、多くの海外メディアに注目させるようにします。

――今までに日本人選手でアプローチした選手はいますか?

 今のところはいません。基本的には代理人の依頼を受けて、それに対応しています。ただ、10年前に日本人のランナーが海外の試合に出たいということで、依頼を受けたことはあります。今回、女子マラソンで銅メダルを獲得した福士加代子選手(ワコール)からも、トラックレースにいくつか出るために依頼されたことがあります。ただ、日本人選手の代理人になったことはありません。日本語がしゃべれませんので(笑)

――では先ほど紹介した17歳の桐生選手については、代理人を担当してみたいと思いますか?

 やはり、この後の成長を見てから判断したいですね。1年、2年で成長をあきらめるようなら、私たちも面倒を見ることはできません。ただ、良いコーチにつき、良い練習を行い、競技を続けていきたいという意思があるなら、最後までサポートしたいとは思います。

「16年リオ五輪への出場は確実」

――来年は大きな陸上の世界大会がありませんが、ボルト選手の来年の活動はどのように考えていますか?

 基本的に10月以降にスケジュールを決めるので、まだ決まっていません。ただ、世界大会がなく、ピークを合わせる必要もないので、ダイヤモンドリーグのようなサーキット戦に出場することになると思います。その中で世界記録を狙っていくことになるでしょう。ただ、来年7月に英国グラスゴーで行われるコモンウェルスゲームズには、まだ参加したことがないこともあり、出場するかもしれません。

――ボルト選手が一線を退く時期についてはどう考えていますか?

 16年のリオデジャネイロ五輪に出場することは確実です。もし、リオでもペストパフォーマンスができるのであれば、翌年の世界選手権ロンドン大会にも出場してもらうと思います。まだそこまでは話していませんが、多分、そこは柔軟な対応をすると思います。そして、彼はトップのまま引退することになるだろうと思います。彼はサッカーをやりたいらしいので、(引退後は)もしかしたら日本でサッカーをするかもしれないですよ(笑)

――東京が招致活動を行っている20年の五輪で、ボルト選手の走りを見たいと考えている日本のファンも多いと思います

 それはないかもしれませんね。少し年齢を取り過ぎていると思うので。もちろん観戦には行くかもしれませんが。

――最後に、世間で噂になっている彼が英国のサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドに入りたいというのは本当ですか?

 本当ですよ。世界中のサッカー少年がそのように願っていますよね? 彼もいつかマンチェスターでサッカーをしたいと思っています。

――代理人として、それは許可しているのですか?

 走った後なら、いいですよ(笑)

<了>

(取材・尾柴広紀/スポーツナビ)

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