仮想馬主となって現実の競馬を楽しむゲーム「ＰＯＧ（ペーパーオーナーゲーム）」。主に２歳馬デビューから翌年の日本ダービーまでの間、選択した競走馬の着順・獲得賞金などをポイントに置き換え、馬主気分で持ち馬の成績を競うゲームである。

　スポーツナビでは、ｎｅｔｋｅｉｂａ．ｃｏｍの協力のもと２歳馬の最新情報をお届け。２０１４年の日本ダービーを目指す若駒たちの動向に注目したい。

　実を言うと小倉の開幕週からつい昨日まで小倉に滞在して仕事をしていた。なので、サトノアラジンの調教も見ていなければ、その前の週のオリハルコンvs.ガリバルディなどの話題にはついていけていない。いやはや、こうしたコーナーを持たせてもらっているのに申し訳ない限り。ただ、この小倉でも今年は少ないながらもバラエティに富んだ話を耳にすることはできた。

　まずはサトノフェラーリを擁する藤沢和厩舎。今年はダノンゴールドが小倉に滞在したので、その担当者・松本助手にいろいろと聞いてみた。「いい馬ですが、もっとやれると思うんです。追い出してグッと沈むと思っていたので」と振り返ったのは前出のサトノフェラーリの新馬戦について。

　ゴールドが函館に滞在していた時にこの馬の秘めた素質を見抜いていたようで、２着ウェーブゴールドに２馬身半差をつける内容にもむしろ不満そうな口ぶりだった。「初戦があんな感じだったし、まだまだ良くなる余地はある」と言っていたが、続くコスモス賞を見ても、確かに同助手の言うようにまだグッと重心を沈めるところまでは力をつけていないよう。ただ、そのあたりは天下の藤沢和厩舎。しっかりと鍛えてクラシック戦線へと乗せてくるはずだ。

　また、一度函館に入って、再びノーザンＦへと戻ったトレクァルティスタについても話を聞いた。「兄のコディーノもすごくいい馬なんですよ。こんなに柔らかい馬がいるのか、ってくらい。こっちはそのふた回りくらい大きい馬。僕が見た時はまだ入ったばかりだったけど、奥はありそうでしたね」とのこと。東京デビューを予定しているというが、兄とは違うパターンで是非とも頂点を極めてほしいもの。

　また、新潟２歳Ｓを予定しているハープスターの話は、阿蘇Ｓで小倉に来ていた松田博調教師に直接聞いてみた。「前走の後も順調に来ている。アドマイヤツヨシ、タガノラルフあたりとも併せ馬でやっているが、もう少しやってもいいんだけどなあ。この馬に関してはドメも慎重なんだ」と松田博調教師。

　それなら、とドメこと中留助手にも話を聞いてみた。「夏の暑さもあるので、先週、今週（１０日）はある程度ゆっくり入って、しまいをそれなりに速くなるように乗りました。１度使って気持ちも入ってきたし、もう速いところをやったらすぐにでも仕上がりそうな感じなので。１週前追い切りをやって、レースの週にやればちょうどよくなると思います。うちの厩舎のスタンダードの調教を毎日乗っていますからね。それをこなしているだけでも大した馬だと思いますよ。息についても、もうできていると言っていい」と中間の様子を分かりやすく説明してくれた。

　となると、気になるのが新馬戦の時の接触。直線でロードストームに体をぶつけられ、大きく内に切り返した時のことだ。三つ子の魂百まで、ではないが、サラブレッドというのは若い時に経験したことをいつまでも覚えているケースがある。このハープのようにぶつけられたことで、他馬を気にするようになった、ということも少なくないのだ。

「その点についても大丈夫だと思います。併せ馬をした時でもムキになったり、気にしたりする仕草も見せませんから。そのあたりは賢い子なんでしょう」というから、ＰＯＧで指名した人、一口を持っている人もまずはご安心を。強力なライバルが顔を揃えそうだが、こちらも新馬戦を見る限りまだまだ調教で見せるような動きは見せていなかった。１度競馬を経験した上積みは大きいはずで、牡馬の強豪とどのような競馬をしてくれるのか。今から待ち遠しくてならない。

　今週は野中厩舎の期待の１頭・エイシンキサナドゥがデビュー予定。直接速い追い切りを見れていないのが残念だが、坂路の数字を見てもただ者ではないのは一目瞭然。早く栗東に戻って野中調教師の本心を聞いてみたいものだ。

▼筆者：吉田竜作
「日本一のＰＯＧ記者」との異名を持つ大阪スポーツ記者。

「ペーパーオーナーゲーム（Ｐａｐｅｒ　Ｏｗｎｅｒ　Ｇａｍｅ）」の略。競走馬の仮想馬主となり、持ち馬の成績を競うゲーム。馬主気分を味わいながら仲間で楽しむことができ、須田鷹雄氏ら愛好家が基本的なルールを提唱して普及した。一般的には、夏の新馬戦開始前に２歳馬を選び、翌年の日本ダービーまでの獲得ポイントを競うゲームとして知られている。