ダルビッシュ、300Kの達成は可能=吉井理人が指摘する新たな引き出しの存在

構成:スポーツナビ

メジャー2年目、12勝を挙げ、207奪三振を挙げているダルビッシュ。ここまでの活躍を吉井氏はどう見るのか 【写真は共同】

 ア・リーグ1位の207奪三振、防御率は同4位の2.64、勝ち星は同6位の12勝と好成績を残しているレンジャーズのダルビッシュ有。シーズンも後半戦に入り、地区優勝争いを続けるチームをエースとしてけん引している。研究が進んでいるにも関わらず、メジャー2年目のダルビッシュはなぜ活躍し続けることができるのか、そして注目される300奪三振は可能なのか――福岡ソフトバンク、千葉ロッテ、オリックスの主催ゲーム全試合を完全生中継するFOX SPORTS「BASEBALL CENTER」のメーンアナリストを務め、現役時はメッツやロッキーズなどでも活躍、北海道日本ハム時代にはコーチとしてダルビッシュを見ていた吉井理人氏に話を聞いた。

※成績は8月13日時点

フォーシーム“解禁”は「あえて取っておいた」

ダルビッシュがフォーシームを使うようになったと指摘する吉井氏。「自分の引き出しとして取っておいたのでは」と話す 【スポーツナビ】

――メジャー2年目のダルビッシュ、ここまでをどう評価されますか?

「成績としては十分過ぎるほど頑張っていると思いますよ。後半戦、ピッチングスタイルが明らかに変わりましたよね。それまで70パーセントほどが変化球だったのですが、50パーセントほどが真っすぐになりましたよね。よりすごみのあるピッチングを最近はしていますよね。この兆候はオールスターの前、数試合から見られました。

 去年と今年の前半はフォーシーム、日本で言うストレートはほとんど投げていなかった。ファストボール系でもカットファストボールとツーシームを中心に投げていたのですが、ここ何試合かはフォーシームを投げています。ひょっとしたら自分の引き出しとして取っておいた可能性もありますよね。想像でしかものはしゃべれないですけど」

――「あえて」取っておいたのでしょうか?

「そういう計算ができるピッチャーですね。ダルビッシュは150キロ後半の真っすぐを持っていますが、どちらかと言うと、変化球でバッターを翻弄させながら打ち取るのが楽しいというタイプです。それを今、ちょっと我慢して、オーソドックスな速い球を中心に緩急を使ったり、横に曲げたりして、ピッチング内容を変えていますね。このピッチングをしていれば、誰も文句を言わない。今までは変化球が多いのでキャッチャーのサインに首を振る回数が多く、ダルビッシュはキャッチャーにボールをもらってから投げるまでの秒数が(チームで)一番長いとか、アメリカで文句を言われていました。しかし、今はそんなことはないのでね。見ていて楽しいピッチングをしてくれていますね」

――フォーシームの数が増えたということですが、フォーシーム自体の変化は感じますか?

「フォーシームは日本にいる時と変わってはいないですね。ただ、アメリカではほとんど投げていなかった。投げても意表をついて、『ズドーン』という感じで投げていましたが……。

 今はカウントボールでも真っすぐを投げています。本当に真っ向勝負を挑んでいますよね。僕らとしては、ダルビッシュの真っすぐはメジャーでも通用すると思っていたのですが、ダルビッシュは投げなかった。それはダルビッシュ自身が、自分の成長を認識していく中で、段階を踏んで変えていこうとしていたのかもしれないですね」

――オールスターの時、バーランダー(タイガース)と話しているダルビッシュの姿が見られましたが、それも影響があったのでしょうか?

「オールスター前の2試合くらいから明らかに変わったと思いますので、バーランダーと話す前からだと思います。その時は、あまりに周囲が『変化球が多い』とうるさいから『ちょっと黙らせてやろうか』という感じで、わざと真っすぐを投げていたのかなと思っていたのです。しかし、違った。最近もそういうピッチングしているんでね。何かきっとあったのでしょうね。

 ただ、オールスターでのバーランダーとの会話は気になりますね。すごく仲良く話していましたから。バーランダーがダルビッシュに興味があるような印象をうけました」

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