ザック監督「W杯までは新たなステージ」=ウルグアイ戦メンバー発表会見
今回未招集でも、脱落というわけではない
ザッケローニ監督は、「コンフェデ杯を終えてチーム作りの新たなステージに入った」と語った 【宇都宮徹壱】
原技術委員長 13人にレターを出しました。その間に時間があったので、各選手のコンディションの情報を収集して、今回はこの10人を招集しました。現場の意向もありますし、チームやシステムが変わった選手もいますし、コンディション面で違和感がある選手の情報も集めました。今回は1試合だけということも考慮して、東アジアカップのメンバーとも調整して10人になりました。
ザッケローニ監督 原委員長の言葉もあったが、早めにレターを出さないといけなかったこともあり、得られない情報もあった。その中でクラブの意見も踏まえて招集を見送ったメンバーもいる。シングルマッチなので、試合の1日前まで入れない。長旅を避ける価値もあると考えた。
ただ同時に、新しい選手をトライしてくことも可能なので、海外組に無駄足をさせたくないということもあったし、国内組がどのくらいできるかも見てみたかった。東アジアカップで選ばれたメンバーはよくやってくれたが、全員を呼ぶことはできない。次回以降に呼ばれる可能性もある。ただ、招集メンバーに入ったからといって出場できるわけでもない。さらに1〜2日手元で見てみたい選手もいたし、選ばれた選手はチームやり方に慣れる必要もある。当然、チームの成長を考えてこのメンバー構成になったが、選ばれなかった選手も諦めることなく頑張ってほしいし、選ばれなかったからといって東アジアカップで悪いパフォーマンスだったというわけでもない。私自身は代表のメンバー全員に満足している。東アジアカップもよくやってくれた。すぐにではないかもしれないが、メンバーのほとんどが代表に選ばれる能力ある。日本には才能あふれる人材がたくさんいるということを、サポーターの皆さんも満足しているのではないか。
――今回、常連だった1トップの前田遼一とハーフナー・マイクが選出されなかった。代わりに豊田と柿谷が選出された。2人の持ち味についてと試合での先発の可能性は?
ザッケローニ監督 (豊田と柿谷の)2人についてだが、まだ若いし、ゴールの数だけでなく所属チームへの貢献度というところで輝きを放っている。異なるタイプの選手なので、代表でも違ったバリエーションを出してくれると思っている。当然、試合でも使っていきたいが、いろいろな面を見て判断して決めたい。前田とマイクについては、今回招集されなかったからといって脱落というわけではない。彼らは2人とも代表チームの選手だが、マイクはけが明けだし、前田はまだコンディションが上がっていない。今はコンディションを高めている時期なのでそっとしておこうと思った。東アジアカップに出場し、今回選ばれたメンバーは、DF、MF、FWのそれぞれのポジションからバランスよく入っている。
――今回、東アジアカップで無得点だった豊田を選んだ理由について
ザッケローニ監督 ゴールだけが選考基準というわけではない。選手の特徴を見極めて選んでいる。豊田だが、東アジアカップの大会期間の10日間を見て、彼の特徴を見極めていた。確かにノーゴールだったが、チームメートにスペースや得点のチャンスを作り出す動きや、自分もチャンスに絡んでいく、得点を奪いにいく動きのところを評価している。また、ほかのメンバーのコンディション上がっていないということもあり、招集した。
――東アジアカップから森重、青山、山口、工藤を引き続き選んだ理由について
ザッケローニ監督 共通して言えるのは代表が新しいステージに入っているということだ。国内で良いプレーをしている選手が今回選ばれた選手たちだと言えるし、これまでの計算できる選手だけでなく、新しい選手たちを見たいということでこの名前が挙がった。この選手たちに共通することは、東アジアカップの前から良いパフォーマンスを見せていたし、大会中も良い活躍をしてくれた。東アジアカップ後のJの視察でも良いレポートが入ってきている。例えば、青山に関しては一度だけ短期合宿に呼んだことがあったが、その後は招集をしていなかった。しかし、その後の3年間も見ている。けがで呼べないこともあったし、非常に気に入っている選手だ。
柿谷の成長を見守ってほしい
ザッケローニ監督 若い選手にはこの代表に入ってすぐに活躍どうこうというよりも、ここで可能性をつぶしたくない。ゆっくりでもいいので、成長を見せてほしいし、早くチームに馴染んでほしい。まだ準備ができておらず、代表で活躍できないという状況になるくらいならば、遅すぎるくらいしっかりと準備をした上で、メンバー入りさせることも大事だと思う。
柿谷に関して、彼は若くて才能のある選手だ。最近のJリーグを見ていて言えることは、少しずつではあるが確実に成長を続けている。そういった印象を持ったので、今回のメンバーにも選んだ。C大阪の監督や方針も良く、ゆっくり成長を遂げているし、良い方向に進んでいる。その道を継続してほしいし、ここであまりプレッシャーをかけたくはないと思っている。成長を続け、完成度を高めていけば、攻撃のパートならば1列目でも2列目でもどこでもこなせる能力がある。ただ、あくまでも完成型になった時ということで、今は成長を見守ってあげてほしいと思う。
――新しいステージに入る中で、引き出しを増やすということだが、まず力を入れるところは?
ザッケローニ監督 3年前に監督に就任してから、バリエーションは徐々に積み上げてきた。さらにいろいろと組み合わせていきたいと思うのだが、成長のために3つのことを挙げたい。1つは個が成長すること。2つ目は技術の連係を高めること。3つ目はプレーの精度を上げること。こういうことを具体的にやっていきたい。
――東アジアカップのメンバーに関して、試合で起用して常連組との融合を図るつもりか?(元川悦子/フリーランス)
ザッケローニ監督 新しいメンバーに関しては、段階を踏んで使っていきたい。その中でトレーニングでも代表の常連組とどう絡んでいくか見ていきたいが、メンバーに関してはまだ決めていない。どういったコンディションで代表に合流してくるのか想定できていないし、選手たちが集まった時に自分の判断の基準で決めていきたい。大切なのは、常連組の選手たちと3日間をともに過ごすということだ。現在のチームは非常に固い結束で結ばれたチームなので、その輪の中に入ってきてほしい。チームの空気を味わってほしいし、リーグ戦を戦い、疲れた中でも試合にフレッシュな意識で臨むという姿勢を見てもらいたい。
――失点が多い中で、ウルグアイ戦に関しては、ディフェンスラインや守備の再建についてどういうテーマで臨むか?
ザッケローニ監督 われわれは、まずは自分たちがゴールを狙うチーム。監督としてはゴールを多く決め、失点を少なくするというシステムを探しているのだが、現状としてそういったものは存在しないのではないかと考えている。攻撃的にいくチームというのは、当然失点のリスクが存在する。そのリスクを踏まえて、失点しても相手より多く奪うという意識がチームの根底にある。だからと言って守備を疎かにするということではなく、しっかり守備組織を作っていきたいし、ミスを減らせるようにトレーニングを積んでいきたい。就任直後は得点力不足が指摘されていたがね(笑)。
<了>
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