初戦で激突、王者対決の展望は!?=名物監督2世も登場 8日開幕、夏の甲子園

松倉雄太

19年ぶり「毎回抽選」方式 大阪桐蔭は初日登場

優勝候補の仙台育英と浦和学院が初戦で激突。勝負の行方はどうなる!? 【写真は共同】

 第95回全国高校野球選手権記念大会が明日開幕する。出場49校は、今月2日から4日間にわたって30分ずつ甲子園の感触を確かめた。
 史上7校目の夏連覇を目指す大阪桐蔭、8校目となる春夏連続優勝がかかる浦和学院(埼玉)など、今大会も注目校が多く顔をそろえた。
 昨年までは3回戦の組み合わせを最初の抽選で決めていたが、今大会では夏の大会の伝統とも言うべき「毎回抽選」を19年ぶりに復活させた。
 各校は初戦の相手だけが決まり、勝ち上がったチームが次回の抽選を行う。大阪桐蔭の西谷浩一監督が、「先を見た戦い方から、より一戦必勝の戦い方になる」と話すように、各校監督の頭脳が試される大会になりそうだ。

 その大阪桐蔭は初日の第2試合に登場。相手は2007年春に同じ初日第2試合で対戦した日本文理(新潟)と決まった。
 試合が行われる8月8日は、森友哉主将(3年)の誕生日。
 「誕生日に開会式で優勝旗を返せて、試合もできる。勝って良い日にしたい」と抽選後に意気込んだ。
 課題と言われていた投手では、エースの葛川知哉(3年)が大阪大会決勝で履正社相手に好投。西谷監督の言う「一戦必勝」にマッチした姿を見せた。
 打線はチーム打率3割1分6厘。今夏から1番に座る峯本匠(2年)を起点に、日本文理の2年生エース・飯塚悟史にどう挑むか?

仙台育英の強さと懸念点 浦和学院は投打ともに好調

 抽選会で最も沸いたのが。3日目第4試合に入った仙台育英(宮城)と浦和学院。昨秋の明治神宮大会と今春の選抜優勝校同士が初めて初戦で対決する。
 仙台育英はチーム打率3割2分6厘。主将の上林誠知(3年)が宮城大会で2本塁打を放つなど打線が好調。準々決勝と決勝で1回の5失点を跳ね返したように、逆境での強さも備わっている。その反面、不安なのがディフェンス。宮城大会ではチームで12失策を喫し、失点「15」に対して投手の自責点が「0」という珍しい数字となった。甲子園練習でも守備の不安が垣間見えたのが気になる所。
 浦和学院はエースの小島和哉(2年)が埼玉大会準々決勝で完全試合を達成するなど絶好調。春からさらに精度を上げたスライダーは絶品だ。打線も甲子園練習で快音を連発。選抜3試合連続本塁打の4番高田涼太(3年)を中心に、好調さを伺わせた。チーム全体では1年生の津田翔希が二塁のレギュラーを奪うなど底上げが見られており、現状では不安要素は極めて少ない。小島が崩れない限りは、浦和学院に分があると見る。

 甲子園練習では、関東のチームが目立っているように感じた。
 日大三(西東京)はチーム打率トップの4割1分5厘。伝統の打力は健在の上、今年は中距離ヒッターが多い印象だ。バットに当たる音の鋭さも、甲子園練習で群を抜いていた。投手ではエースの大場遼太郎(3年)が西東京大会決勝で2安打完封。本人も「最高のピッチング」と話すように、絶好調の状態で甲子園入りしてきた。
 3年連続出場の作新学院(栃木)は、1年生時からレギュラーの山下勇斗(3年)が主将として引っ張る。栃木大会決勝で9回2死走者なしまで追い込まれながら、1番鈴木将史(3年)が出塁し、直後に盗塁。そして2番添田真海(1年)の一打で本塁まで還ってきた。土壇場で見せた驚異の攻撃は、本番でも対戦相手の戦略に影響を与えそうだ。

安楽ら好投手の活躍に期待 名物監督2世にも注目

 今大会も今後が楽しみな好投手が顔をそろえた。
 瀬戸内(広島)の右腕・山岡泰輔(3年)は、決勝でドラフト候補左腕・田口麗斗(広島新庄・3年)との壮絶な投手戦に投げ勝った。評判のスライダーは甲子園練習でも抜群のキレを見せており、本番での投球が楽しみ。昨夏ベスト4の明徳義塾(高知)が相手になるが、大会6日目と日程が後ろになったのは、疲労回復という面で好材料となりそうだ。
 福井商のエース・中村文英(3年)は、敦賀気比の岸本淳希、春江工の坪田和希(ともに3年)といったライバルに投げ勝って甲子園出場を決めた。最速146キロの直球には重さが感じられ、対戦相手からすればそう多くの得点は見込めないタイプの投手だ。
 そして右投手で最大の注目はやはり済美の安楽智大(3年)。愛媛大会準決勝では、自己最速を大きく更新する157キロを計測。観衆の度肝を抜いた。本番でも、「皆さんがどよめくようなストレートを投げたい」と話しており、甲子園でのピッチングが非常に楽しみだ。

 29年ぶり出場の箕島(和歌山)は、故・尾藤公氏の長男である強監督がチームを率いる。春に監督となって1年目で、和歌山を勝ち上がった。6年ぶり出場の星稜は、山下智茂元監督の長男・智将氏が部長としてベンチ入り。自由ケ丘の赤嶺琢監督は、かつて沖縄水産を率いた故・栽弘義監督の長男。こういった甲子園の顔とも言われた名物監督2世にも注目だ。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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