東アジアカップで感化された浦和の代表勢=Jリーグの舞台で見せる成長の片鱗

神谷正明

原口が韓国戦で見せた試合終盤の勝負強さ

最後まであきらめないプレーが持ち味の原口。Jリーグでも今まで以上に高い意識を持って自身をアピールする 【Getty Images】

 Jリーグで戦っていても成長できる。東アジアカップで久々の代表活動を終えた原口元気は、自分の歩んできた道のりは間違っていないという確信を得て韓国から戻ってきた。

 優勝がかかった開催国・韓国との一戦。決勝点が原口の仕掛けから生まれた。この試合は劣勢が続き、原口もずっと守備に奔走していた。得点が生まれたのは後半アディショナルタイム。疲れで足が止まっていてもおかしくない時間帯だったが、原口はスタミナ切れなど感じさせない迫力でピッチを駆け上がり、左サイドから勝負を仕掛けた。89分間沈黙させられていても、最後の1分で相手を仕留める力、そして勝負をあきらめない姿勢が光った。

「最後にああやって仕事ができたということは、日々やっていることがあるからこその成長の証(あかし)だと思う」。大仕事を終えた原口は、充実感を漲(みなぎ)らせた表情を浮かべ、胸を張った。

 試合終盤での勝負強さは、Jリーグで培ってきた原口の専売特許だ。苦しい試合展開が続いていても、その流れを一瞬にして変えるスーパープレーをこれまで何度も見せてきた。浦和サポーターにとっては決して珍しい光景ではない。「最後の最後は結構得意なので」と本人もまんざらではない。

負けず嫌いな性格がもたらす飽くなき向上心

 勝負強さの原動力となっているのは、生来の負けず嫌いな性格だ。どんな厳しい状況に追い込まれようとも、原口は試合をあきらめることはない。むしろ、自分がなんとかしてやると魂を燃やし、鬼気迫る様子で相手に襲いかかる。その強烈な熱気はときに狂気となって自身を焦がすこともあるが、その人並み外れた精神力は原口の大きな長所でもある。

 東アジアカップでも、その負けん気の強さが高いモチベーションを生み出していた。「これで優勝できなかったら、やっぱり海外組がいないと何もできないと思われるのが嫌だった。そこに関しては意地みたいなものがあった」(原口)

 一定の成果を出した手応えはある。だが、満足はしていない。海外組との競争はこれからが本番であり、今回のメンバーのなかでもMVP級の活躍を見せた柿谷から大きな刺激を受けた。もっと成長していかなければ生き残れないと。そのためには日常の場であるJリーグで、今まで以上に高い意識を持って取り組んでいく必要がある。その決意のほどを、原口はこう語ってくれた。

「普段、表現する場はJリーグだし、レッズなので、そういう試合でもっと見せないといけない。もっと点を取らないといけないし、チームを勝たせるプレーをもっとしないといけない。そこの強さをすごく感じた。優勝したけど、自分としては結果を残していないし、もう1つ結果を残すにはもっと力をつけないと。Jリーグで結果を残して満足するのではなくて、もっと高いところを目指してやっていきたい」

<了>

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著者プロフィール

1976年東京都出身。スポーツ専門のIT企業でサッカーの種々業務に従事し、ドイツW杯直前の2006年5月にフリーランスとして独立。現在は浦和レッズ、日本代表を継続的に取材しつつ、スポーツ翻訳にも携わる。

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