苦悩の長野久義を支える阿部の言葉=8月打率は3割6分“夏男”復調なるか
再出発の12号アーチ 阿部の言葉を胸に
7月24日の広島戦、バリントンからライトスタンドにホームランを放ち、幸先良く後半戦をスタートさせた。シーズン終盤に向けて長野の力が必ず必要となる 【写真は共同】
そして迎えた7月24日の広島戦(東京ドーム)。「7番・センター」でスタメン出場した長野は、1点を追う2回1死一、二塁の場面で広島の先発・バリントンの投じた3ボールからの4球目、外角低めの138キロ直球を迷いなく振り抜いた。「ベンチからは打っていいぞというサインだったので思い切っていった」。鋭く舞い上がった打球は、オレンジ色に染まったライトスタンドへ勢い良く突き刺さる逆転の12号3ランとなった。
「後半戦最初の打席でホームランというのは最高の形。これで乗っていかないといけない」
自身の真骨頂とも言える右方向への力強い打球。チームも計4発で快勝を収め、連覇へ向けての大事な後半戦の初戦で快勝を収めた。「思い切りの良さが出た素晴らしいホームラン」と称賛した原辰徳監督も、背番号7の完全復調へ向けて「少し兆候はありましたからね。良い形でスタートを切れたし、さらに上昇していってほしい」と手応え十分に話した。
“夏男”の「シーズン本番」はここから
心強いデータもある。長野はプロ入り以降、10年8月(75打数27安打、打率3割6分)、11年8月(83打数30安打、打率3割6分1厘)、12年8月(108打数39安打、打率3割6分1厘)と過去3年間にわたって真夏の8月に大爆発。9月に2軍落ちしたプロ1年目を除いて、勝負所と言えるシーズン最後の3カ月間で11年が打率3割2分8厘(229打数75安打)、12年も打率3割3分5厘(218打数73安打)という好成績を残している。「ここからが本当に厳しい戦いになるし、何とかチームに貢献できるように頑張りたい」と語る長野。“夏男”にとっては、ここからがシーズン本番であり、巻き返しは十分に可能だ。
「ジャイアンツは必ず、もっともっと強くなります」と原監督は言う。スランプに苦しむ男が復調すれば、巨人はもっと強くなる。V9時代以来の日本一連覇へ向けて、背番号7、長野久義の力は必ず必要になる。
<了>
(三和直樹/ベースボール・タイムズ)