苦悩の長野久義を支える阿部の言葉=8月打率は3割6分“夏男”復調なるか

ベースボール・タイムズ

プロ4年目の低空飛行 湿ったバットに苦しむ日々

プロ4年目の今季、本調子といかない日々が続いた長野。得意の夏を迎え、復調なるか 【写真は共同】

「落ち込んでいますよ」

 史上4番目のスピードで関東地方の梅雨明けが発表された2013年。例年よりも早く、そして暑い夏の到来も、巨人・長野久義のバットは湿ったままだった。

「僕自身、開幕から納得のいく成績を残せていないですから……」

 プロ4年目の今季、開幕戦を「1番・ライト」で迎えると、2戦目の広島戦(東京ドーム)で今季初安打を含む2本の内野安打をマーク。6試合目の中日戦(東京ドーム)では、相手エース・吉見一起からレフトへシーズン1号アーチを放った。しかし、その後は打っても“1日1安打ペース”で思うように打率は上がらず。チームが首位を快走する中、長野は3〜4月を打率2割3分7厘で終えると、5月以降も低空飛行を続けた。

「打たないと試合に出られなくなるし、危機感は常に持ってやっています」

 強い責任感の下で試合に臨むも、状況が大きく変わることはなかった。6月を終えても打率2割4分1厘。本塁打こそ同時点で2ケタの10本を放っていたものの、昨季までのプロ3年間で通算打率3割3厘を誇る男にとっては期待をはるかに下回る数字だった。表向きは「打率が上がって来れば調子も上がって来たって言いますよ」と普段通りのひょうひょうとした態度を崩さなかった長野だが、その裏では結果が出ない日々に誰よりも苦しんでいた。

失意のWBC……生じた“ズレ”象徴する四球の減少

 不振は開幕前から続いていた。今年3月に行われた第3回WBCの日本代表に選出されたが、極度のスランプで控えに回り、最終戦となった準決勝・プエルトリコ戦でも代打で空振り三振。これまでとは異なる調整と、即座に結果を求められる中で生まれたバッティングの“ズレ”を最後まで修正できず、計7試合で18打数4安打の打率2割2分2厘というふがいない成績に終わった。
 WBCについて尋ねると「僕は行ってないです。応援に行っていただけです」と話す。失意の世界舞台。そして、そこで生じた“ズレ”はペナントレース開幕後もなかなか元に戻らず、ボール球に手を出して簡単に凡退する場面が目立った。強引さと外角球の見極めの悪さ。それを物語るのが、今季の四球の数だ。

 1番打者を務めた昨季は、「出塁するということを心掛けて、今まで以上にボールをよく見ました」と144試合でチームトップ・リーグ2位の75四球を選んだ。だが、今季は前半戦の83試合終了時点で26四球(144試合換算で45四球)。昨シーズン終了後に「四球の数が増えて出塁率を上げられたことが自分の中で一番良かった部分。来年は今年以上の四球を稼ぎたい」と話していた長野だが、現時点ではまったくの皮算用となっている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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