高橋秀人、ボランチ争いの開始地点に立つ=韓国戦はポスト遠藤への試金石
生き残りが厳しいボランチ争い
日本代表のボランチを支える遠藤ら実績ある選手に加え、若手が台頭しつつあるボランチ争いはし烈なものになりそうだ 【Getty Images】
ただ、「ここからがホントのスタート」と本人は気を引き締めるように、1年後のブラジルW杯へのサバイバルはここからが佳境といえる。高橋の先にはご存じの通り、遠藤や長谷部誠、細貝萌という実績あるボランチが陣取っている。加えて、中国戦でパス出しが光った青山、際立ったボール奪取力を見せた山口、オーストラリア戦でワイドな展開力を示したレフティー・扇原という今大会初招集組も、1年後のブラジルW杯へのボランチ争いに本格参戦してきた。誰よりも冷静に自分を客観視できる高橋には、生き残りがいかに厳しいか、十分すぎるほど分かっている。
「オーストラリア代表はメンツも落ちていたし、もっと高いレベルでやれないとダメ。ヤットさんを見ていると止める蹴るのプレーがすごくうまい。自分はまだまだなので、オン・ザ・ボールのところをもっと磨いて、個人で打開できるように成長しないといけないと思います。今大会に参加してみて、国内組の能力も海外組とそん色ないと強く感じている。みんな動けるし、テクニックがある。対戦相手でやっていたときも嫌だなと思っていたけど、同じピッチでやるともっとすごい」と彼はより一層、危機感を募らせている。
今後やるべきことは整理されている
6月のコンフェデレーションズカップ(ブラジル)でも露呈した通り、国際Aマッチ133という日本最高記録を誇る百戦錬磨の遠藤といえども、ブラジルのようなハイプレッシャーの相手には思うようにボールをコントロールできなくなる。そのレベルで高橋が余裕を持ってプレーするのは現状では難しいが、そこに挑んでいかなければ、熾烈(しれつ)な競争を勝ち抜き、遠藤のポジションを脅かすような存在になることはできない。
「自分の中では今後、何をやっていくべきかはきちんと整理されています。話し出したら3時間とか話せるんで……」と彼が大げさに言うのも、克服しなければいけないテーマが山積しているから。地に足を着けてそれを一つ一つ確実にクリアしていくことが肝要なのだ。
28日の最終戦の韓国は、その第一歩としては格好の相手。韓国も欧州組不在だが、かつてFC東京のチームメートだったキム・ヨングォン(広州恒大)、現在の同僚であるチャン・ヒョンスなど熟知する選手がそろうだけに、高橋としても負けられない。
「キム・ミヌ(サガン鳥栖)さんやグギョン(ハン・グギョン=湘南ベルマーレ)とかがいて、彼らとそれぞれの国を背負ってやれるのは感慨深いものがある。僕らも日々、成長している実感があるし、韓国戦はもっとよくなる。そこは期待してもらって大丈夫だと思います。とにかく勝ちにいくつもりで頑張ります」と意気込みを新たにしていた。
「今大会の結果を求められていたら、遠藤や今野(泰幸=ガンバ大阪)を呼んでいた。今回は多くの選手を見てみたかった」とザック監督は国内組の見極めを最優先に位置づけるが、大会初優勝の懸かる宿敵との最終戦で現状のベストメンバーを送り込まないはずがない。そのスタメンに高橋が名を連ねるのか。そしてオーストラリア戦以上の安定感とバランス感覚を示せるのか……。この大一番は彼の代表での今後を大きく左右する試金石になる。今こそ本田ら代表の主力たちから1年がかりで学んだものをいかんなく発揮してもらいたい。
<了>