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瀬戸大也、最高の泳ぎで“萩野超え”を
世界水泳バルセロナ2013
初の世界選手権に臨む瀬戸。ベストパフォーマンスを披露し、メダル獲得を目指す
初の世界選手権に臨む瀬戸。ベストパフォーマンスを披露し、メダル獲得を目指す【スポーツナビ】

 瀬戸大也(JSS毛呂山)が生まれた1994年は、日本競泳界の黄金世代と言われている。スペインのバルセロナで行われる世界選手権(競泳は7月28日〜8月4日開催)に出場する日本代表31人中、8選手がこの年の生まれだ。トップを走るのは、2012年ロンドン五輪の400メートル個人メドレー銅メダリストで、今年4月の日本選手権で史上初の5冠を達成した萩野公介(東洋大)だろう。さらに昨年9月の岐阜国体で、200メートル平泳ぎの世界新記録をマークした山口観弘(東洋大)も鮮烈なインパクトを残した。


 彼らと同様、瀬戸も存在感を放っている。「夢の舞台」だったというロンドン五輪には200メートル、400メートル個人メドレーともに、選考会で派遣標準記録を切りながら、惜しくも出場できなかった。400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得した萩野の活躍に、心中穏やかではなかったはずだ。しかし、その悔しさを乗り越え、ワールドカップ(W杯)や昨年暮れの世界短水路選手権で金メダルを獲得。今年4月の日本選手権では、5種目にエントリーし、個人メドレーの代表権をつかみ取った。


 世界選手権に向けたテーマは『ベストパフォーマンス』。最高の泳ぎを披露し、ライバルと公言する萩野とともに、表彰台に上がることが目標だという。初の大舞台に臨む瀬戸に、現在の心境を聞いた。

「五輪に出場できなくて心の底から悔しかった」

――昨年4月の日本選手権、200メートル、400メートル個人メドレーともに派遣標準を切りながら3位に終わり、ロンドン五輪には出場できませんでした。そのときはどういう気持ちでしたか?


 自分にとって夢の舞台が懸かっていたので、ロンドン五輪に出場できなくて心の底から悔しかったですね。選考会が4月に終わって、7月ぐらいまでは練習にも身が入らない感じでした。本当に何もやる気が起きませんでしたね(笑)。学校に行ってもぼーっとしてましたし、「僕は何をしてるんだろうな」って感じです。


――どうやって気持ちを切り替えたのですか?


 ロンドン五輪の400メートル個人メドレーのレースを見て、自分のライバルである萩野君が銅メダルを取った瞬間に、「自分ももっと頑張らなくちゃな」と思ったんです。そこから練習でも気合いが入りましたね。


――ロンドン五輪はテレビでずっと見ていましたか?


 いや、出場できなかったのが悔しくてあまり見ていませんでした。ただ、萩野君のレースだけは見ようと思って見ました。


――昨年12月には世界短水路選手権で日本新記録を出して優勝しました。ロンドン五輪に出場できなかった悔しさを多少吹っ切ることはできましたか?


 ロンドン五輪の選考会が終わって、次はどこを目標にしようかと考えました。萩野君と対戦する国民体育大会が9月にあって、それが夏の最後の試合だったんです。銅メダリストとの対戦だったので「よし!」とそこで気合いが入りました。その大会で自己ベストを2秒くらい上回って優勝して、吹っ切れた感じです。それからは次に向けてもっと頑張ろうと思いましたね。そのままの勢いでW杯、世界短水路選手権と続き、W杯ではけっこうタフなレースができました。そして世界短水路選手権に臨んで、すごく結果が良かったので自信になりましたね。

「比較されるのは全く嫌じゃない」

――瀬戸選手が生まれた94年は黄金世代と呼ばれています。そう言われることについてはどう思いますか?


 同学年にレベルの高い選手がいるのは幸せなことですし、恵まれた環境だと思います。切磋琢磨(せっさたくま)してきたことでレベルが上がって、強い年代になっているし、自分もそこから外れないようにしたいですね。みんなもそう思っているし、本当に恵まれていると感じています。


――1番意識しているのはやはり萩野選手ですか?


 そうですね。同じ個人メドレーですし、やはり意識します。ただ、普段の生活では仲良くしています。試合と私生活は分けて接していますね。試合のときはライバルで、レースが終わったらノーサイドという感じです。あとは山口君の存在も大きいですね。日本人で唯一の世界記録保持者ですし、本当に素晴らしい選手です。個人メドレーでも平泳ぎが含まれているので、すごく刺激になります。


――萩野選手と初めて会ったのはいつごろですか?


 小学校3年か4年生のジュニア五輪で初めて会ったと思います。もうダントツで早くてすごいなと。雲の上の存在でした。何ひとつ勝てなかったですね。スタートしてすぐに体半分くらい差をつけられて、泳ぐごとにどんどん離されていく感じでした。


――この選手には勝てないなという感じでしたか?


 いや、そうは思っていなかったです。逆に「絶対勝ってやる」と思ってました。


――中学2年生のジュニア五輪で初めて直接対決で勝ちました


 その1週間前の全国大会で自己ベストが出たんです。それで1週間後にジュニア五輪があったんですけど、当時は高速水着というものがありました。友達に借りたらまたベストを10秒くらい更新して、萩野君に勝ってしまったと。


――10秒も自己ベストを更新したんですか?


 そうなんですよ。あれはすごい驚きでしたね(笑)。終わったあとはすごくうれしくて、「やっと勝った」と思ったんですけど、次から萩野君も高速水着をつけてくるだろうと思ったし、「水着で勝った」と思われないように、焦りもありました。そこからまた頑張って、次の全国大会でも勝ちました。そこで自信がつきましたね。そのころからいまのライバル関係になって、勝ったり負けたりを繰り返しています。いまは少し置いていかれた感があるんですけど、しっかり付いていきたいです。


――萩野選手は普段どういう人なのですか?


 本当にストイックで、すごく真面目ですね。頭も良いし、賢いです。自分とは真逆ですね(笑)。ただ、真逆だからこそ合うのかなと思います。お互いの良いところ、悪いところも見えてきますし、一緒にいて気も遣わないから楽しいですね。


――萩野選手と比較されることについてどう思いますか? 正直勘弁してほしいという思いはあります?


 いや、全くないですね。他の人の立場から見れば面白いんだろうなと思っています。同じ個人メドレーながら得意種目も違いますし、勝ったり負けたりしていますからね。だから、そういう意味で全然比べられるのは嫌じゃないですよ。自分は自分のできることをやるだけですし、萩野君は萩野君のできることをやっていると思いますしね。

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