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星野大地20歳、試練越え未来の守護神へ
千賀の背中を追い掛けて――
2010年ドラフト4巡目で指名を受けた星野大地(後列左)。試練を乗り越え、目標へ向かって歩き出している
2010年ドラフト4巡目で指名を受けた星野大地(後列左)。試練を乗り越え、目標へ向かって歩き出している【写真は共同】

 7月18日に秋田県立野球場(こまちスタジアム)で開催される「プロ野球フレッシュオールスターゲーム2013」。1992年のイチロー(当時登録名:鈴木一朗)、2002年の杉内俊哉など、数多くのプレーヤーが、このゲームへの出場をきっかけに一流選手へと成長していった。いわば “原石たちの球宴”だ。

 今年も、イースタン・リーグ、ウエスタン・リーグから21人ずつの選手が選抜され、一夜限りの真剣勝負に挑む。


 今年は一体どんな選手がその名を轟かせるのか。ウエスタン・リーグ、イースタン・リーグそれぞれの注目選手を2回に分けて挙げる。まずはウエスタン・リーグ最多の5人が選出された福岡ソフトバンクから。今季ここまで最多の11セーブを挙げている、若き守護神候補・星野大地を紹介したい。

入団直後に見舞われた試練

 星野は、岡山東商業高校時代、2年生の春に捕手から投手に転向した。甲子園出場経験はないが、マウンド度胸と投手としての伸びしろを評価され、2010年ドラフト会議で4巡目指名を受けてソフトバンクに入団した。

 しかし、ドラフト会議後のメディカルチェックで右肘関節の側副じん帯の損傷が判明し、2011年1月に手術。星野のプロ野球人生は、いきなりリハビリからスタートした。ようやくキャッチボールを再開したのが同年6月。プロ入り初の登板は、プロ入り2年目、2012年4月の3軍戦だった。

 星野は、手術に踏み切った当時のことを次のように振り返る。


「成功率が高い手術であることは分かっていたので、メスを入れる怖さはありませんでしたが、手術後に元の球速に戻れるのかという不安はありました。でも、実際には140キロ台だったストレートが、150キロを超えるようになったんです。まあ、今年はまだそのスピードは出せていませんけど(笑)」


 ソフトバンクには、今でも現役復帰を目指してリハビリを続ける斉藤和巳リハビリ担当コーチがいる。斉藤コーチが、現役登録を外れてコーチ登録となったのは2011年。奇しくも星野がリハビリからのプロ生活を始めた年だ。

 この時期から、リハビリを経てチームに戻ってきた選手たちの誰しもが、かつてのエースの必死のリハビリ姿を見て、刺激を受けたと口にしている。福田秀平のような長期リハビリを要した若手も、寺原隼人や江川智晃のようなシーズン中の短期リハビリ組も、斉藤コーチの姿に大きな勇気をもらったはずだ。星野もまた、そのひとり。けがから始まったプロ生活も、斉藤コーチの存在と、星野自身の持ち前の明るい性格で、挫折することなく歩んでこられた。

目標だったフレッシュ球宴出場

 入団2年目でようやく投手としてのスタートを切った星野は、主に3軍戦で登板して実績を積み、2軍戦にも1試合登板。一歩ずつではあるが、確実にステップアップしていった。そして、今年の宮崎春季キャンプで大きなチャンスを得た。2軍主体のB組にいた星野は、主力主体のA組の紅白戦に呼ばれ、1イニングを無安打2奪三振の好投。秋山幸二監督をはじめとする1軍首脳陣に強烈な印象を与えた。


「春季キャンプでA組の紅白戦に呼ばれて、結果を残せたことが大きな転機になったと思います。プロに入って、初めて故障がない状態で迎えたキャンプだったので、とにかく結果を残したかったんです」


 4月25日の北海道日本ハム戦で、ついに1軍登録されると、その日のうちにプロ初登板。5点ビハインドの9回、小谷野栄一、中田翔、アブレイユの主軸を、1四球1併殺打で無失点に抑えた。この1軍体験によって、星野の中で次のステップがはっきりと見えたという。それが、今回のフレッシュオールスターゲームへの出場だ。


「4月に1軍を経験できたことで、次のステップとしてフレッシュオールスターに出ることが明確な目標になりました。絶対に出てやるぞって。これまでも、チームメートの武田(翔太)や山下(斐紹)といった同世代の人間が出ていたので、自分も出たいという気持ちはありました。出場が決まった今は、喜びが半分とアピールするぞって気持ちが半分といったところですね」


 星野は、フレッシュオールスターゲームでのアピールポイントを次のように語る。


「今年はここまでセーブを積み上げてこられたので、自信はあります。名前を売るというよりも、『さすがウエスタン・リーグでセーブ数1位になっている投手の球だな』って思ってもらえるようなピッチングをしたいです。三振ですか? まあ、1個くらいは取りたいです(笑)」

試合をつくるより、試合を締めたい

 星野には、絶対的な武器になる球種があるわけではない。伸びのあるストレートを中心に、スライダー、フォーク、そして時折投げるカーブと、オーソドックスなスタイルだ。しかし、気持ちを前面に出して、打者にガンガン向かっていく。その持ち味が、1軍ではまだ十分に通用しないと語る。


「もともと(打者に)向かっていくのが、僕のスタイルです。ただ、ついストライクを取りにいってしまうんです。そのとき、2軍では抑えられる球でも、1軍ではそう簡単にはいかないな、と感じました。ただ、四球も少ない方だという自信はあるので、これからも投げっぷりの良さだけは消したくないですね」


 強い気持ちと投げっぷりの良さ。それは、抑え投手に欠かすことができない大事な要素だ。2軍首脳陣も、星野のそんな性格に期待してシーズン当初から抑えを任せた。


「入団当初は先発への憧れもありましたが、2軍で抑えを経験した今は、それもなくなりました。(先発として)試合をつくることよりも(抑えとして)試合を締めることに魅力を感じますね。できれば、フレッシュオールスターでも、最後に投げて試合を締めてみたいです」


 星野には、チーム内に千賀滉大という同じ年のライバルがいる。育成から這い上がってきた千賀は、監督推薦でのマツダオールスターゲームへの初出場が決まっている。


「千賀はライバルというより目標ですよ。こっちはフレッシュオールスターですけど、千賀は本家のオールスターですから(笑)。1軍でも、ボクが投げたいポジションで投げているし、そこまで段階を踏んできた姿を間近で見てきましたからね。本当に良い目標になっています」


 フレッシュオールスターゲームで好投したとき、星野の目には千賀の背中がさらに近づいて見えることだろう。そして、いずれは2人で「鷹の守護神」の座を争うことになるかもしれない。


<了>


(藤浦一都/ベースボール・タイムズ)

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