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クルム伊達×石黒賢対談 全英へ「私にしかできないテニスを」
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復帰後、5度目のウィンブルドンに臨むクルム伊達公子
復帰後、5度目のウィンブルドンに臨むクルム伊達公子【写真:Action Images/アフロ】

 今季グランドスラム第3戦の「ウィンブルドンテニス」が24日、英国・ロンドンで開幕した。大会第2日の25日には、女子シングルス1回戦にクルム伊達公子(エステティックTBC)が登場。ドイツのカリナ・ビットヘフトと対戦する。

 大会を放送するWOWOWのスペシャルナビゲーターで俳優の石黒賢氏が、現地にて独占インタビューを行った。

芝のグランドスラムへ「良い調整ができています」

石黒:ここで伊達さんの試合を見られるかと思うと幸せです。伊達さんが復帰してから、今年でウィンブルドンは5回目。芝での調整はいかがですか?


伊達:今年は完璧とはなかなか言えないですが、腰が少し悪いながらにも、良い調整がここまでできていると思います。


石黒:今年の芝の具合は去年と違ったりしますか?


伊達:今年はあまり細かいことは考えないようにしようと思っています。去年と比べて今年はこうだからとかではなく、それよりもまずは自分の体調が良い状態でコートに向かわないと自分のパフォーマンスも上がらない。“自分の良い状態”を作ることにエネルギーを注いで、他のことはあんまり考えないようにしています。イレギュラーしてもそれは当たり前。早かろうが遅かろうが、それはそこにあるものだと考えています。


石黒:なるほど。それは経験をたくさん積んできたからこそ、そのように思えるのでしょうか?


伊達:それも無いわけではないですが、今まで十分に経験もあったわけですし。そこにどこか自分に期待し過ぎたり求め過ぎたり、こうでなきゃいけないと思い過ぎているところもあったので、もう少し気楽に物事を捉える努力をしています。

 ここまでの調整がうまくいっているとはいえ、試合になるとまた試合と練習では違うので、なかなか思うようにいかないですけどね。うまく自分をコントロールしきれるとも思えないので、どうなるか分かりません。

芝で有効な伊達のプレー

石黒:僕にとっては、伊達さんというとウィンブルドンのイメージが特に強いです。1996年のグラフとの2日掛かりの試合。そして一昨年のビーナス(・ウィリアムズ/米国)とのものすごい熱戦。センターコートでの2回戦。

 伊達さんが長い間休まれて復帰した次の年(2009年)、ウィンブルドンに初めて帰ってきた時に、ウィンブルドンはワイルドカード(での出場権)をあなたに出した。あれはやっぱり僕ら日本人にとって、ありがとうという思いとともに、「ウィンブルドンはあなたのことを非常に愛している」。僕にはそう思えました。ウィンブルドンで伊達さんがいつも活躍されていますが、ウィンブルドンの芝で活躍されている大きな理由はどういうところにあると思いますか?


伊達:今の女子のテニスがパワーテニス、スピードテニスになったとはいえ、芝のサーフェス(コート)というのは弾道が低くなります。今の選手は、どんなところからでも、とにかくパワーで打ってくる選手が多い。

 でも、弾道が低くなるとそこまで思うようにコントロールしきれません。特に私のボールを嫌がる選手が多い。そういう点はあると思います。男子を含めても、芝のはげる場所を見れば分かるように、ネットプレーをする選手がいません。(コート中央付近にある)サービスラインの辺りがまったくはげないんですね。ベースラインの後ろだけがはげてくる。そういう意味でも、後ろでイレギュラーも多いですし、弾道も低くなり、スライスも有効に使える。特に私のスライスはスピードもさらに落ちるので、そういう意味で打ちたくても打ち切れない。その辺が私にとっては有効的といえるのかなと思います。

試合中の相手の表情「私は結構見ています」

石黒:ビーナスとの話です。僕は素人なのでよく分からないですが、テニスプレーヤーはどのショットも無駄ではない。常に最後をどうやって決めるかを逆算してから、すべてのショットを組み立ててやっていると思います。

 特にビーナスとやった時に、伊達さんの試合にはまったく無駄なショットがなかった。すべてハマって、それこそ囲碁や将棋のように、ここにいってここにいって最後にこれで決まる。そう思いました。

次の年、去年にインタビューさせて頂いた時に『そんな無駄な球を打っている余裕なんてないですから』とおっしゃいましたが、照れ隠しだと思います。それがほんとに見事にハマった。練習でそれがある程度できても、試合でそれができるのが難しい。


伊達:そこが難しいんです。


石黒:あれはどういう感じだったんですか?


伊達:あの時は、このウィンブルドンでなんどもチャンピオンを取っているビーナスが相手でした。ノンプレッシャーで向かっていけたことが大きなポイントでした。

 どんな状況でリードされていても、どんな状況でも私はチャレンジャーとして向かっていける。そういう立場だった。あそこでサーブアンドボレーを入れたり。少しでもボールが短くなった時に、(前に出て)アグレッシブにプレーをする。そういうことができました。そこが一番大きなポイントだったのかなと思います。あとは今の選手たちがあまりにもネットにいかないだけに、(ネットプレーに)あのビーナスでさえ戸惑った。


石黒:でしたね。あんなの見たことがなかったです。


伊達:それは私自身もコートで感じました。やったことのないタイプにどうやればいいのか。それが表れたのかなと思います。


石黒:ああいう時はやりながら、「あ、自分のやり方がハマっている」。そう思ってやるんですか?


伊達:あの時はそうですね。やっていることが間違っていないという自分の中での確信があった。それをやらないとビーナス相手に、“少ないチャンスで勝ちに行くテニス”というのをやらないといけない。


石黒:相手が盛り返してきた時、どういうふうに伊達さんは戦術を変えるのでしょうか? そういう手の内をさらすのはプロとして難しいとは思いますが。


伊達:悩みます。今までと同じことをやり通すのか、リードして追いつかれた時にも同じ事をやり続けるのか、そこで多少の変化を入れるのか。やっぱり迷う時はあります。でもその時その時で、相手の顔を見たり、自分の精神状態を感じながら何をやるか判断します。決めてから入らないと迷いが出てしまうので、その都度決めます。


石黒:相手の表情はよく見る?


伊達:他の選手は分かりませんが、私は結構見ています。相手の表情、特にラリーが終わった後の表情ですね。

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