取材者にとってのW杯本大会を想像する
コンフェデ杯通信2013(6月24日)

フォルタレーザに向かう機内で考えたこと

ベロオリゾンテから4時間半かけてフォルタレーザに到着。浜辺を散策すると夕日が息を飲むくらい美しかった
ベロオリゾンテから4時間半かけてフォルタレーザに到着。浜辺を散策すると夕日が息を飲むくらい美しかった【宇都宮徹壱】

 コンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)のベスト4がでそろった翌日の24日、4日間滞在したベロ・オリゾンテに別れを告げてフォルタレーザに向かう。道中、ブラジリア経由で帰国する同業者と出会った以外は、まったく顔見知りと出会うことはなかった。どうも私の旅程は、結果としていささかユニークなものになってしまったようだ。


 日本のグループリーグ敗退後も現地に残ったフリーランスの記者は、大半がそのままベロ・オリゾンテでの滞在を続けることを選んだ。そこで26日のブラジルとウルグアイの準決勝を取材し、そのまま決勝が行われるリオデジャネイロに移動する、という流れだ。あるいは26日と27日(スペイン対イタリア@フォルタレーザ)の準決勝2試合をハシゴして、さらにリオでの決勝も取材するハードスケジュールを選んだ人もいる。判断は人それぞれだが、私の場合、ずっとベロ・オリゾンテに滞在するのも面白くないし、フォルタレーザで試合だけを見てすぐに移動というのも、何とももったいなく感じられた。そんなわけで早めにベロ・オリゾンテを離れ、フォルタレーザを目指すことにした次第である。


 それにしても、ブラジルは広い。今回の移動も、サルバトーレの乗り継ぎを含めて4時間半もかかる。来年のワールドカップ(W杯)本大会も、こんな調子で移動に時間がかかってしまっては、効率的な取材など望むべくもないだろう。ちょうど機内で時間もあったので、FIFA(国際サッカー連盟)の公式サイトからプリントアウトした本大会のスケジュールとブラジルの地図を見比べつつ、来年の取材スケジュールをイメージしてみることにした。もちろん、まだ組み合わせは決まっていないので、日本が前回の南アフリカ大会と同じく、グループEの3番目(E3)になったと仮定してみる。すると、日本のグループリーグの日程はこうなる。


6月15日@ポルトアレグレ(対E4)

6月20日@サルバドール(対E1)

6月25日@リオデジャネイロ(対E2)


 ちなみにE3の日本が仮に決勝トーナメント進出となった場合、1位なら30日にブラジリアでグループF2位と、2位なら7月1日にサンパウロでグループF1位と対戦する。私の場合、日本代表の試合は前日練習も含めて絶対に外せない。となると、日本のグループリーグ3試合プラス決勝トーナメント1試合が終わるまでに、果たして何試合が取材可能となるだろうか。さっそく、シミュレーションを試みることにしたい。

開幕戦からラウンド16までに何試合見られるか?

浜辺の周辺には高層のマンションやホテルが立ち並ぶ。コンフェデ期間中のためか、ブラジル国旗をよく見かける
浜辺の周辺には高層のマンションやホテルが立ち並ぶ。コンフェデ期間中のためか、ブラジル国旗をよく見かける【宇都宮徹壱】

 まずは、それぞれの会場の位置関係を確認しておこう。初戦のポルトアレグレは、本大会で最も南に位置する会場。リオを起点として北のサルバトーレと、南のポルトアレグレは、それぞれ飛行機で2時間くらいの距離間だ。またグループリーグを突破した場合、リオからブラジリア、もしくはサンパウロまでは、空路で1時間から2時間弱。もちろん長距離バスでの移動も可能だが、サンパウロで6時間、ブラジリアまでは17時間もかかる。


 とりあえず、12日のサンパウロでの開幕戦は、問題なく観戦できるだろう。その後、サンパウロではしばらく試合がないので、翌日くらいに南下してポルトアレグレへ。問題は15日の日本戦を取材後、どのタイミングでサルバトーレに移動するかだ。翌16日に飛び、その日のグループGの試合を見るという手はある。ただしキックオフは13時。移動時間を考えると厳しいと言わざるを得ない。ここはポルトアレグレにとどまり、18日の13時から行われるグループBの試合を見て、その翌日にサルバトーレに向かうのが賢明だろう。


 では、サルバトーレからリオに飛ぶのはいつか。遅くとも22日の午後にはリオに入っておきたい。ここで1週間ほど滞在すれば、日本戦を含めて3試合を取材することができる。28日のラウンド16(グループC1位対グループD2位/17時開始)を見てからでも、ブラジリアであれサンパウロであれ、日本の試合前日には十分に間に合うだろう。以上が、開幕から日本の決勝ラウンド1回戦までの大まかな流れである。


 それではこの間、果たして何試合を観戦できるのか。数えてみると、何とたったの8試合!


12日 A1対A2@サンパウロ

15日 E3対E4@ポルトアレグレ

18日 B4対B2@ポルトアレグレ

20日 E1対E3@サルバトーレ

22日 H1対H3@リオデジャネイロ

25日 E2対E3@リオデジャネイロ

28日 グループC1位対グループD2位@リオデジャネイロ

30日 グループE1位対グループF2位@ブラジリア

(もしくは7月1日 グループE2位対グループF1位@サンパウロ)


 逆に試合が見られない日が10日以上もあるではないか(内1日はノーマッチデー)。ちなみに前回の南アフリカ大会では、開幕戦から日本の最後の試合となったパラグアイ戦までの19日間で、私は14試合を取材している。この時も移動は大変だったが、それでも拠点としていたヨハネスブルクに2会場あり、さらにプレトリアやルステンブルクも車での日帰りが可能だったので、それなりの試合数をこなすことができた。だがブラジルのような広大な国では、さすがにそうはいくまい。


 こうして考えると来年のブラジル大会は、移動の効率とコストを天秤にかけながら、限られた試合をじっくりと観戦するという取材スタイルに落ち着きそうだ。もちろん4年に一度の祭典なのだから、できるだけ多くの試合は見たいというのが人情であろう。それでも「ブラジルでの大会なのだから」と割りきってしまえば、少しゆったりとしたスケジュール感で取材するのも悪くないかもしれない。そんなことをあれこれ考えているうちに、私を乗せた飛行機はフォルタレーザ国際空港に到着した。


<了>


※日時はすべて現地時間で記載しています。

宇都宮徹壱
宇都宮徹壱

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著はスポーツナビでの連載をまとめた『J2&J3 フットボール漫遊記』(東邦出版)

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