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タイロン・スポーンが95kgトーナメント優勝
「グローリー9」ニューヨーク大会リポート

不可解なジャッジで残念な決勝戦に

下馬評通りの強さで95kgトーナメント優勝を飾ったタイロン・スポーン
下馬評通りの強さで95kgトーナメント優勝を飾ったタイロン・スポーン【Glory Sports International】

 立ち技格闘技「グローリー」の米国ニューヨーク大会「グローリー9」が現地時間22日、ハンマーステイン・ボールルームで行われた。目玉となった95kgトーナメントはタイロン・スポーンが下馬評通りに優勝し、トーナメント初代王者となって幕を閉じた。

 決勝はスポーンvs.イルンガで行われたが、早すぎるレフェリーストップは問題だろう。試合を止められた、いや奪われた形となったイルンガは憤懣(ふんまん)やるかたない表情でノーダメージをアピールしていた。場内からはブーイングが沸いた。

 せっかくアメリカでの、それもニューヨークでのグローリー公式大会。全体的にとてもいい雰囲気で熱もあり上出来の流れだったにもかかわらず、最後の最後でつまずいた感じで正直残念である。

 アメリカという元々キックが定着しずらい国で不可解なジャッジが原因で今後のPRに失敗するとやはりダメージは大きい。ジャッジとレフェリングに関してグローリーはもっと厳格に検討すべきだろう。


 また、ダニエル・ギダはトルコでの敗北を吹き飛ばす本領発揮。試合後にサキとの再戦を口にしたギダ。次回はトルコ以外の舞台でやってもらいたい。

 リコ・フェルフーフェンハ12年1月にフック5連発でKO負けしたエロル・スィンメルマンからうれしいリベンジ勝利。フェルフーフェンは試合のたびに成長している。

 77kg級のカナダのヴァルテリーニがいい。キックの基本通りにロー攻めで相手の動きを止めて仕留めにかかる戦法を取っている。今回はローのみで相手を粉砕した。今後が楽しみな選手だ。


 今後のグローリーのスケジュールが未定だ。8月に日本大会という噂もあったが公式には発表されていない。大きな企画を考えていると会長が言っているので今後の展開が楽しみだ。

「グローリー9」結果

早すぎるレフェリーのストップに泣いたイルンガ(右)
早すぎるレフェリーのストップに泣いたイルンガ(右)【Glory Sports International】

6月22日(現地時間) 米国ニューヨーク ハンマーステイン・ボールルーム


<トーナメント1回戦 第1試合>

○ダニオ・イルンガ(コンゴ)

(判定3−0)

●ムラド・ボウジディ(チュニジア)


 トーナメント第1試合。キャリア・年齢ともにほぼ同じで出身も両者アフリカ。イルンガは元ショウタイム王者。開始早々のっけから一歩も引かない両者のド突き合い。2Rも同様の攻防。力を温存して勝てる相手ではないことを互いに知っているのでトーナメントの先を考えない消耗戦で9分間休むことない攻防だった。うれしい判定は3−0でイルンガ。


<トーナメント1回戦 第2試合>

○ダスティン・ジャコビー(米国)

(判定2−1)

●ブライアン・コレット(米国)


 アメリカ人対決。パンチ頼りでキックボクシングらしいコンビネーションが今ひとつ。判定が割れた。2−1ジャコビーがセミファイナルへ。


<トーナメント1回戦 第3試合>

○フィリップ・フェルリンデン(ベルギー)

(判定2−1)

●スティーブ・マキノン(豪)


 ランキング2位のフェルリンデンと5位のマキノン。先に手を出すのはマキノン。フェルリンデンは機を見てまとめ反撃するが手数はマキノンが多く印象もよい。判定は割れて2−1で何とフェルリンデン。途端に場内から大ブーイング。不可解判定。


<トーナメント1回戦 第4試合>

○タイロン・スポーン(スリナム)

(1R 0分31秒 KO)

●マイケル・ドゥート(オランダ)


 開始早々10秒でドゥートの左から右フックが決まりスポーンダウン。立ち上がったスポーンをドゥートが仕留めにかかったが、スポーンは左腕を伸ばして距離をとって入り込ませず、攻めあぐねたドゥートの一瞬の隙を狙って右フックを叩き込みダウンを奪い返す。

 立ち上がったもののカウントを聞きながらドゥートは再び腰砕けとなりKOに散った。最近では珍しくスペクタクルな一戦となり場内が熱くなった。


<トーナメントセミファイナル 第1試合>

○ダニオ・イルンガ(コンゴ)

(判定3−0)

●ダスティン・ジャコビー(米国)


 1回戦とは違いイルンガには余裕がある。ただパンチが大振り。ジャコビーはイルンガにプレッシャーを受け打開策が見えない状態か。ロー、ヒザ、パンチを確かめるように当てて自由自在に攻めるイルンガ。ジャコビーに為す術無し。アメリカ人観客はローキックの怖さが分かっただろうか? 


<トーナメントセミファイナル 第2試合>

○タイロン・スポーン(スリナム)

(判定3−0)

●フィリップ・フェルリンデン(ベルギー)


 真正面から圧力をかけるスポーン。回りながら慎重になり過ぎ手が出ないフェルリンデン。ある程度のレベルの選手が倒されないようにガード固く隙を見せない場合これを仕留めるのはかなり難儀なこと。


<トーナメント決勝>

○タイロン・スポーン(スリナム)

(1R0分32秒 TKO※レフェリーストップ)

●ダニオ・イルンガ(コンゴ)


 試合開始早々スポーンの右フックでぐらついたイルンガ。スポーンが勝機を見てラッシュをかけて畳みかけに行った。左レバーフックが入ってイルンガの体がくの字に曲がった様子を見て危険と判断したレフェリーが試合を止めスポーンが初代王者となった。

 しかし判定に驚いたイルンガは両手を広げてノーダメージをアピール。場内からはあまりに早すぎるレフェリーストップにブーイング。まずはスタンディングダウンを取って様子をみるのがセオリーだろうにレフェリーが不可解な判定を下したことで試合に水を差す結末となった。いい流れの大会だったのに残念である。

ギダは本来の実力を発揮

KO勝利のギダはサキとの再戦をアピール
KO勝利のギダはサキとの再戦をアピール【Glory Sports International】

<ヘビー級スーパーマッチ>

○ダニエル・ギダ(ルーマニア)

(1R 0分48秒 KO)

●ブリス・ギドン(フランス)


 ギドンのコールにブーイングが起きたのは歴史的にフランスとアメリカの仲が悪いからか? 試合はあっさりと決着がついた。アメリカという舞台で遠慮なくギダは本来の実力を発揮した。


<ヘビー級スーパーマッチ>

○リコ・フェルフーフェン(オランダ)

(判定)

●エロル・スィンメルマン(キュラソー)


 リコにとってはリベンジマッチ。両者は互いに大嫌いらしい。スリップで倒れたエロルの後頭部にパンチを入れたリコは1ポイントロス。リコは当初ダウンを恐れる傾向があったが2度のKO負けを経験してから一皮むけた感じになった。

 序盤で試合が決着しないと失速がちになるエロルを上手くコントロールし試合の流れを自分のものにしたリコ。うれしい判定をものにしてリベンジを果たし雄叫びを上げた。


<ヘビー級スーパーマッチ>

○アンダーソン・シウバ(ブラジル)

(判定3−0)

●ダニエル・サム(イギリス)


 シウバが軽快に攻め込む。一回り大きいサムは相手の攻撃を吸収してしまうような体だが手数が少ない。終始攻め続けたシウバがうれしい勝利。


<ウエルター級77kg>

○ジョセフ・ヴァルテリーニ(カナダ)

(3R1分03秒 KO)

●フランソワ・アンバン(米国)


 ヴァルテリーニはトルコ大会でムラト・ディレキシを倒しており試合の組み立てがいい。キックのセオリー通りに右ローをこつこつ当てアンバンを倒し切った。


<ミドル級85kg>

○ウェイン・バレット(米国)

(2R KO)

●マイク・ラメール(米国)


 ボクシング出身のバレットとムエタイ選手のラメールは26歳同年齢。バレットのキックキャリアはまだ1戦。のっけから金的に苦しんだバレットだったが終盤にパンチでスタンディングダウンを奪って1R終了。2Rにはダウンを二度奪ってレフェリーストップのTKOでバレットが勝利。内容的には低レベルの一戦で大会には不必要だったと思える。

<リザーブファイト>

○アルテム・ヴァキトフ(ロシア)

(1R1分47秒 KO)

●ルイス・タヴァレス(ケープヴェルデ)


 戦績キャリアではヴァキトフを上回るタヴァレス。試合はボディー攻撃から左バックブローを顔面に決めてダウンを奪ったヴァキトフが続けざまに左レバーフックでKO。ロシアンのパンチ技術は上手い。


<リザーブファイト>

○ランディ・ブレイク(米国)

(判定3−0)

●ワタナベ・コウイチ(日本)


 大会の先陣を切ったコウイチ。両者のキャリアはほぼ同じ。6歳年上のコウイチがローで圧力をかける。パンチ主体のブレイクは時折右ハイや左右のバックスピンを繰り出す変則的な攻撃。2Rにコウイチが鼻血。バランスを崩し出す。最後まで前に前に出るコウイチだったが判定は3−0でブレイク。

遠藤文康

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