宝塚記念「先行スピード重視の総合力勝負」=柏木集保の展望

netkeiba.com

2200mはジェンティルドンナのベストに近い

ジェンティルドンナにとって宝塚記念の舞台はベストに近い 【写真:中原義史】

 心配された雨の影響はほとんどなくなり、ここ2年と同様のスピード決着だろう。こういう組み合わせだから、もちろん総合力勝負ではあるが、阪神の内回り2200mを制するために必要な自在の先行スピードをとくに重視したい。行くしかないシルポートは、この距離ならマイペースが可能。今回の状態は決して悪くないが、さすがに予測される2分10秒台でまとめる能力は現在もうないと思える。

 3頭の有力馬を揃えたディープインパクト産駒の中では、断然、ジェンティルドンナ。桜花賞を勝ちながら、オークスは3番人気どまり。明らかなマイラーに出たドナウブルーの全妹で、ファミリー全体にスピード色が濃い。距離不安をささやかれたのは仕方がなかった。3代母の父におよそ成功したとはいえない輸入種牡馬ジュニアスの出てきたりするのも、せいぜい桜花賞どまりと思わせるに十分だった。

 ところが、ディープブリランテ=フェノーメノの日本ダービーを上回る2分23秒6のオークスレコードで、5馬身差の独走。評価まさに一変。秋になったジェンティルドンナは、ジャパンCを2分23秒1で制した。オルフェーヴルを弾き飛ばし、そのあとは逆に怒ったオルフェーヴルに執拗に外から馬体を併せられたが、競り勝ったのはジェンティルである。非力なマイラーどころではない。オルフェーヴルを倒した迫力の牝馬は、心身ともにたくましいのである。距離2200mは、スピード色の濃いファミリーを考えるとおそらくベストに近い。阪神で3勝。自力でスパートできるから、先行馬向きの高速決着も望むところ。480キロ近くなった体つきは、桜花賞のころのジェンティルドンナとは思えない。あまりタメないレースをしたい。凱旋門賞のためにも。

 ディープインパクト産駒の中では、2000mに1分57秒台が2回もあるトーセンラーが2番手か。

 直線、インにもぐり込む予定のダノンバラードも、大きくよれてAJCCを勝ったころより、体に切れが出てきたように映る。

粘り強いスピード、フェノーメノはバテない

粘り強いスピードが強化された血統、フェノーメノは簡単にはバテない 【スポーツナビ】

 ステイゴールド産駒3頭の中では、大きく変わってきたフェノーメノが筆頭。現在のステイゴールドはビッグレースに特に強いことと、母の父メジロマックイーンとのニックスが注目を集めて大変な人気種牡馬になり、さらには自分を超える産駒を送る本物の種牡馬となった。しかし、最初は相手の牝馬のレベルに物足りなさもあり、マックイーンの牝馬だけを好むわけではない。凱旋門賞2着ナカヤマフェスタの母の父はタイトスポット。ナカヤマナイトの母の父はカコイーシーズ。シルクメビウスの場合はポリッシュネイビー。母の父モガンボも、ザビールもいた。本当はお助けゴールドなのである。

 フェノーメノの母はリボーのクロスを持ち(ナカヤマフェスタと同じ)、きわめてタフな中距離系。そこに世界をリードするデインヒル(父ダンチヒ)が加わったから、粘り強いスピード能力が強化されている。
 2000m1分57秒4の時計はNO.1、2200m2分10秒8の持ちタイムもトーセンラーに続くNO.2。フェノーメノは、ジェンティルドンナと同じように、いや、むしろ一歩早くスパートすると思える。フェノーメノはバテない。

 ステイゴールド・メジロマックイーンのゴールドシップは、菊花賞3000m、有馬記念2500mを制しているから、スタミナあふれる長距離型のようなイメージが濃くなったが、それはレース運びからの連想。本当は中距離スピード競馬に不安の大きいタイプではないように思える。実際、2000m以下【4−2−0−0】であり、これはスピード不足の長距離型の成績ではない。

 馬券は、フェノーメノから、ステイゴールド組と、ディープインパクト組をうまく組み合わせたい。

(文:柏木集保/提供:netkeiba.com)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント