日本戦勝利がブラジルにもたらした安堵=コンフェデ杯開幕に見る各国の現状

対照的な歩みを進める2つの伝統国

コパ・アメリカ優勝以降、下降気味のウルグアイ。スアレス(左)らタレントは多く擁しているのだが 【Getty Images】

 同じく伝統国であるイタリアとウルグアイは対照的な状況で今大会を迎えた。

 10年W杯南アフリカ大会のグループリーグ敗退における落胆を経て、イタリアはチェーザレ・プランデッリ監督の招へいとともにプレースタイルを一変させた。人数をかけてゴール前を固めながらカウンターを仕掛ける守備的なスタイルを伝統としてきた彼らは、テクニックとボールポゼッションを重視するチームへと生まれ変わった。スペインとの決勝では大敗したものの、その変化は昨年のユーロ2012を通して明確に表れていた。

 対照的に、ウルグアイは11年のコパ・アメリカ(南米選手権)を制したオスカル・タバレス監督のサイクルが終わって久しい印象をぬぐえない。

“ロス・セレステス”(ウルグアイ代表の愛称)は残り4節となったW杯南米予選で大苦戦を強いられている。先日ベネズエラを1−0で下すまで6試合も未勝利が続いていた彼らは大会出場権を得られる4位のチリと勝ち点5差の5位に位置している。

 移籍市場をにぎわす2人のストライカー、ルイス・スアレスとエディンソン・カバーニのポテンシャルは疑いないものだ。しかし、チームとして攻守に機能しなかったスペイン戦を見る限り、今大会では準決勝進出すら危ういのではないか。

1年後に本番を控えたミニ・W杯

 一方、アフリカ王者のナイジェリアの前評判は高い。同国サッカー協会との金銭トラブルによりチームがブラジル行きを拒否するなど、相変わらずピッチ外では多くの問題を抱えている。それでもW杯アフリカ予選でもグループ首位を保っている“スーパー・イーグルス”(ナイジェリア代表の愛称)は侮れない存在だ。初戦ではオセアニア王者のタヒチを6−1で粉砕している。

 また北中米カリブ海王者のメキシコもW杯予選では苦戦を強いられているが、強豪ぞろいのグループAをかき回す可能性を秘めている。

 これら8チームで争われる今回のミニ・W杯は、アルゼンチンやドイツ、オランダといった強豪国が不在とはいえ、1年後に迎える本番を前にサッカー界の勢力図を測る大会となるはずだ。

<了>

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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