宝塚記念は『3強』か『1強』か――日本競馬界の未来をも占う最強馬決戦

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迫る宝塚決戦、3強か1強か――(左からフェノーメノ、ジェンティルドンナ、ゴールドシップ) 【写真:中原義史】

 6月23日に阪神競馬場2200メートル芝を舞台に争われる、JRA上半期の総決算、第54回GI宝塚記念。ファン投票1位・オルフェーヴルの回避により、“4強対決”が“3強対決”になったことで残念に思うファンも多いだろうが、それでもジェンティルドンナ、ゴールドシップ、フェノーメノの直接対決には胸を踊らされる。この3頭はいずれも現4歳馬。今後の日本競馬界を引っ張る存在として、世代最強、そして現役最強を高らかにアピールするのは誰なのか――初夏の仁川で『グランプリ』の名にふさわしい激闘を予感させている。

女王ジェンティルすでに“1強”――それほどの圧勝も可能

オルフェーヴル不在ならなおさら負けられない、ジェンティルドンナが世界最強クラスの実力を見せつけるか 【写真:中原義史】

 3強の中でも、まず名前が上がるのは牝馬のジェンティルドンナだ。昨年の牝馬三冠を制したレースもさることながら、秋の府中、GIジャパンカップが凄かった。その年の凱旋門賞僅差2着ですでにワールドクラスの実力を世界中に知らしめていたオルフェーヴルとの真っ向叩き合いに勝利。JC史上、3歳牝馬が制したのは初の快挙だった。
 主戦・岩田康誠の強引な騎乗が大きな議論も呼んだ一戦だったが、それでもジェンティルドンナのパフォーマンスに疑問を差し挟む余地はない。明けて今年3月、国際GIドバイシーマクラシックでも2着だったとはいえ、初の海外遠征に加えて、先着された相手セントニコラスアビーは米国ブリーダーズカップターフも制している現GI6勝の欧州最強クラスの1頭。オルフェーヴル同様、このジェンティルドンナもまたワールドクラスの1頭であることはもちろん、牝馬ならば“世界最強クラス”であることを、世界のホースマンは知っている。実績では1頭、抜けた存在だ。

 ドバイから帰国後、三木ホースランドパークからノーザンファームしがらきを経て、5月15日に栗東に帰厩。この宝塚記念を目標にきっちりと乗りこまれており、6月12日の1週前追い切りでは坂路で全体の3番時計をマーク。併せたベストウォーリア(16日のGIIIユニコーンSを勝利)を瞬く間に2馬身突き放す内容に、手綱をとった岩田も「ドバイよりも数段パワーアップしている」と絶賛したほどだ。
 海外遠征後の初戦というものは体調の面で何かと不安が付き物だが、中間の調整具合、陣営のコメントを聞く限り、心配は御無用といったところか。阪神コースも4戦3勝と問題なし。ただ1点、不安があるとすれば初の斤量56キロか。

 しかしながら、最大のライバル不在となった今、ひょっとするとジェンティルドンナにとって“3強”として括られるのは失礼なことなのかもしれない。オルフェーヴルが回避した時点ですでに“1強”だった――そんな絶対的な能力を存分に誇示する圧勝も十分あるだろう。

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