ブラジル人から感じたコンフェデ杯への熱=長蛇の列が予兆する大会の盛り上がり

中田徹

手間がかかってしまったチケット入手

コンフェデ杯チケットピックアップに並ぶファンの列からも現地の熱気を感じる 【中田徹】

 6月12日、ブラジル・リオデジャネイロのセントロにあるウインドソルホテルにコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)のチケットを受け取りに行ったら、発券を拒否されてしまった。長い列に2時間以上並んだにも関わらず、手ぶらでホテルへ引き上げることになり、少しだけ落ち込んだのだが、落ち度はこちらにあった。

 チケット購入者に対しFIFA(国際サッカー連盟) から「チケットを受け取る都市、ピックアップセンター(リオには3カ所ある)、日にちをあらかじめ登録しておくように」とメールが送られていたのだが、僕はこれを甘く見て無視してしまった。なぜかというと、2002年日韓大会、10年南アフリカ大会のワールドカップ(W杯)では、発券マシーンにクレジットカードを差し込むだけで簡単にチケットを入手することができたので、FIFAからのメールを「大げさだなあ。行けば何とかなるだろう」とセルフジャッジしてしまったのだ。

 カウンターの係員は優しい声で、しかしキッパリと「今日だけで何千人と登録しているのだから、登録をしてないあなたへの発券はできません」と断った。「それでも、あなたの登録を私のコンピュータを使って一緒に手伝ってあげましょう」とヘルプしてくれることになったのだが、ここで予約可能なのは最短で6日後とのこと。その間に、日本対ブラジルやスペイン対ウルグアイは終わってしまう。

 そこで教えてもらったのが、バーハ・ダ・チジュカのピックアップポイントセンターだった。リオデジャネイロのセントロからバスで1時間半と、行くのにちょっと時間がかかるものの、ここなら事前に登録をしてなくてもチケットを発券してもらえるし、ウインドソルホテルよりも空いているという。翌13日、僕はバーハ・ダ・チジュカへ行き、晴れてチケット7枚を入手することができた。

 確かにバーハ・ダ・チジュカは、ウインドソルホテルより空いていたが、それでも列に並び始めてからチケットの受け取りまで1時間半以上かかった。というのも、列は“事前予約をしている人”と“何もしてない人”の2つに分かれており、当然のことながら前者が先へ進む優先権があったからだ。

 幸い、リオデジャネイロ以外のチケットピックアップセンターは、どこも1日後の予約から登録できる。登録作業そのものは非常に簡単なので、日本からコンフェデ杯へ出掛ける人は現地でのトラブル回避のためにもしっかりやっておきたいところだ。

他国の試合もチケットの売れ行きは大盛況

 こうしてチケット発券だけのために半日掛かりの労働を2日もしてしまったが、ブラジル人のコンフェデ杯を楽しみに待つ思いも感じることができたのは収穫だった。ウインドソルホテルのチケットピックアップセンターの前にできた長い列は300人以上はいそうで、最後尾を探すのが大変なほどだった。バーハ・ダ・チジュカのチケットピックアップセンターではチケットの販売も行っていたが、取引されているチケットはスクリーンに映し出されていた。メキシコ対イタリア、スペイン対タヒチは、地元リオデジャネイロの試合だから当然として、タヒチ対ナイジェリア、ナイジェリア対ウルグアイといった他都市開催の、しかもブラジルとは関係のない試合がけっこう売れていた(注:ブラジル絡みのチケットはしばらくソールドアウトが続いていたが、最近になってからチケットの再販売が行われた)。

 実はリオデジャネイロの旧市街やイパネマ海岸を歩いていても、コンフェデ杯の開催を感じさせるものは非常に少ない。しかし、新聞を売っているキオスクの親父は「今週末は絶対にブラジルが勝つからな」、ポルトガル語の先生は「昨日、日本代表がブラジルに到着したね! テレビに徹が映っているんじゃないかと探したよ」などと、何気ない世間話にサッカー大国ならではの会話のオートマチズムを感じる。

 コンフェデ杯は所詮(しょせん)、来年のW杯の予行演習だ。これが盛り上がるかどうかはブラジル人次第。チケットを受け取るためにウインドソルホテルの前に現れた長い行列は、盛り上がりの予兆となるだろうか。

<了>
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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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