ナダル、フェレール悲願を一蹴し史上初の全仏8度目V=全仏テニス最終日
止まない雨、上がらない気温の中、初の決勝進出となったフェレール(左)を破り、8度の優勝を決めたナダル 【Getty Images】
「赤土の王者」が雨中決戦を制する
第1セットの第3ゲーム、ナダルは得意のフォアハンドからのスピンボールをフェレールのバックサイドに弾ませ、サービスブレークに成功。それでもフェレールは持ち前のしぶとさを発揮、すぐ第4ゲームでブレークバック。ナダルが回り込んで打ち出すフォアハンドに、よく追いつき、反撃のチャンスをうかがった。細い雨が落ちだした第7ゲーム、ナダルが再びブレークして先手を奪う。これに対し、フェレールも第8ゲーム、よく打ち合いを制してデュースからブレークポイントを握ったが、この日のナダルは大事な場面でサーブがさえた。時速201キロの最速サーブでここを切り抜けると、第9ゲームを15−40でブレークして第1セットを奪った。
止まない雨、加えてこの日は気温が上がらない。一気に決着まで持ち込みたいナダルに対し、フェレールはなんとかもつれた展開に持ち込みたかっただろう。
第2セット、ナダルがフォアハンドで攻め立て、フェレールのサービスだった第2ゲーム、30−15から連続3本のストローク・ウイナーを決めてブレーク。第5ゲーム、ドロップショットを多投して揺さぶりにきたフェレールにブレークポイント4本を握られる場面があったが、疲れを見せないフットワークで逃げ切ったのが大きかった。次の第6ゲームでスタンドから2度の妨害行為が発生する難しい場面にも集中力を切らさず、プレーを続行。逆にフェレールは第8ゲームにダブルフォールト2本で自滅的にこのセットを落とした。
2セットアップとなれば、これまでの実績が浮かぶ。2人の対戦成績(ナダルの19勝4敗)で、ナダルはクレーで16連勝という圧倒的な結果を残している。本降りになりかけた雨脚にも、コートに飛び出す勝利への意欲、全仏タイトルへのこだわりが、僚友フェレールの悲願を先送りにした。
「チャンピオンはどれくらい立ち直るか」
セリーナ・ウイリアムズ(米国)がよくこんなことを言う。
「チャンピオンというのはどれくらい勝つかじゃない、どれくらい立ち直るかよ」
これでナダルの全仏は初出場以来、59勝1敗。すごいとしか言いようがない。
<了>
文・武田薫
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