ナダル、フェレール悲願を一蹴し史上初の全仏8度目V=全仏テニス最終日

WOWOW

止まない雨、上がらない気温の中、初の決勝進出となったフェレール(左)を破り、8度の優勝を決めたナダル 【Getty Images】

 テニスの全仏オープン最終日は現地時間9日、パリのローランギャロスで行われ、ラファエル・ナダルがダビド・フェレールとのスペイン対決を制し、全仏では2度目の4連覇、通算8度目の優勝を飾った。グランドスラムの同一大会での最多優勝はこれまで7度が最高で、ナダルの全仏8度は史上初の快挙となった。

「赤土の王者」が雨中決戦を制する

 いつ雨が降り出してもおかしくない空模様で始まった決勝戦。昨年のナダルとノバック・ジョコビッチ(セルビア)によるファイナルも同じ状況で途中順延になっており、初めて決勝の舞台に立つフェレールには不利な条件と言えただろう。だが、ここまで失セット0で勝ちあがってきた挑戦者は果敢に「赤土の王者」に立ち向かった。

 第1セットの第3ゲーム、ナダルは得意のフォアハンドからのスピンボールをフェレールのバックサイドに弾ませ、サービスブレークに成功。それでもフェレールは持ち前のしぶとさを発揮、すぐ第4ゲームでブレークバック。ナダルが回り込んで打ち出すフォアハンドに、よく追いつき、反撃のチャンスをうかがった。細い雨が落ちだした第7ゲーム、ナダルが再びブレークして先手を奪う。これに対し、フェレールも第8ゲーム、よく打ち合いを制してデュースからブレークポイントを握ったが、この日のナダルは大事な場面でサーブがさえた。時速201キロの最速サーブでここを切り抜けると、第9ゲームを15−40でブレークして第1セットを奪った。

 止まない雨、加えてこの日は気温が上がらない。一気に決着まで持ち込みたいナダルに対し、フェレールはなんとかもつれた展開に持ち込みたかっただろう。

 第2セット、ナダルがフォアハンドで攻め立て、フェレールのサービスだった第2ゲーム、30−15から連続3本のストローク・ウイナーを決めてブレーク。第5ゲーム、ドロップショットを多投して揺さぶりにきたフェレールにブレークポイント4本を握られる場面があったが、疲れを見せないフットワークで逃げ切ったのが大きかった。次の第6ゲームでスタンドから2度の妨害行為が発生する難しい場面にも集中力を切らさず、プレーを続行。逆にフェレールは第8ゲームにダブルフォールト2本で自滅的にこのセットを落とした。

 2セットアップとなれば、これまでの実績が浮かぶ。2人の対戦成績(ナダルの19勝4敗)で、ナダルはクレーで16連勝という圧倒的な結果を残している。本降りになりかけた雨脚にも、コートに飛び出す勝利への意欲、全仏タイトルへのこだわりが、僚友フェレールの悲願を先送りにした。

「チャンピオンはどれくらい立ち直るか」

 今年の全仏は、世界1位に君臨するジョコビッチが生涯グランドスラム達成へ、残された最後のタイトルに向けて照準を合わせてきた。一方、ローランギャロスを牙城とするナダルは昨年のウィンブルドン後から7カ月余りの故障休養を余儀なくされた。4月のモンテカルロ決勝で、ナダルはジョコビッチに敗れ、今大会に入っても1、2回戦続けて第1セットを落とすという初めての苦しい戦いを続けてきた――。

 セリーナ・ウイリアムズ(米国)がよくこんなことを言う。
「チャンピオンというのはどれくらい勝つかじゃない、どれくらい立ち直るかよ」

 これでナダルの全仏は初出場以来、59勝1敗。すごいとしか言いようがない。

<了>

文・武田薫
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント