朝原氏ら3人が予想!夢の9秒台突入の可能性は?=陸上・日本選手権、男子100m展望

構成:スポーツナビ

日本選手権で日本人初の9秒台突入なるか!? 男子100メートルは桐生(写真中央)、山縣(同左)、江里口の3人の争いに注目だ 【写真:築田純/アフロスポーツ】

 陸上の世界選手権(8月、モスクワ)の代表選考会を兼ねた日本選手権が7日から9日まで、東京・味の素スタジアムで行われる。中でも注目は、陸上競技の花形・男子100メートルだ。4月の織田記念国際で日本歴代2位となる10秒01をたたき出したスーパー高校生・桐生祥秀(京都・洛南高)をはじめ、昨年のロンドン五輪100メートル準決勝進出の山縣亮太(慶大)、大会5連覇の懸かる江里口匡史(大阪ガス)ら実績あるスプリンターが名を連ねている。

 スポーツナビでは、2008年北京五輪400メートルリレー銅メダリストで現在は大阪ガス陸上競技部コーチを務める朝原宣治氏ら識者3人に、今大会のレース展望と、夢の9秒台突入の可能性について話を聞いた。

度胸、経験など勝る山縣が最有力(朝原宣治/大阪ガス陸上競技部コーチ)

 17歳の桐生が9秒台まであと一歩に迫っていますが、タレントは彼一人でないところが面白い。
 優勝候補は3人。筆頭に挙げるべきはロンドン五輪で日本人五輪最高の10秒07を出した山縣です。大舞台でしっかり力を出し切れる度胸があって、ピーキング(大会に向けた調整)もうまい。経験も桐生より多いし、今は山縣が一歩リードしていると言っていいんじゃないでしょうか。

 桐生もタイム的に同等の10秒0台の実力です。2月の男子短距離代表合宿で練習の質も量もこなせる様子を見ていて、昨年の時点で10秒19の世界ユース記録を出したのはうそじゃないと思いました。ラストで力みが出るようなことがなく、若さがプラスに作用したら勝利は桐生のものでしょう。

 これまでのところ、2人から0.1秒くらい後ろにいるのが江里口。ただ、大きくない体でピッチを落とさずにストライドを出す走りに取り組んでいて、それがかなりできてきている。現状、無風で(10秒)1台の実力です。1メートルの追い風で0台、もっと吹けばもう少し出るかもしれません。

 もう1人、飯塚翔太(中大)が100メートルを走ればダークホースでしたが、エントリーしませんでした。専門の200メートルで20秒21(5月、静岡国際)の好記録を出しており、コーナーの出口から直線に抜けるときのあの速さを100メートルで発揮されたら相当怖いです。

 以上を考慮すると、江里口が絶好調で臨めると、山縣、桐生との3人で結構面白いレースが見られる。トラックの条件がそろうことが前提ですが、この3人のうちの誰かが9秒台を出す可能性はあると思います。

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