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アントニオ猪木が出馬「日本に元気を」
政界再進出の決め技は独自の外交路線

出馬理由の第一声は「日本に元気がない」

維新の会から参院選に出馬することを表明したアントニオ猪木氏
維新の会から参院選に出馬することを表明したアントニオ猪木氏【平野貴也】

 猪木出馬で「日本維新の会」に闘魂注入だ! IGFプロレスリングの会長を務めるアントニオ猪木氏が5日、日本維新の会から参院選比例代表で出馬することを明らかにした。同日午後に国会議事堂内で石原慎太郎共同代表と会談した猪木氏は国会で会見に出席した後、都内のホテルで改めて会見に臨み「(政治改革の)風を吹かした維新が失速しそうな感じ。せっかく日本を変えようという中、苦しみから立ち上がれ、と。さらなる風を維新から吹かせたい。政界に出たら、思いきり元気で暴れてみたい」と1995年以来18年ぶりの国政復帰を目指すことを宣言した。なおIGFプロレスリングの会長としての肩書きは、選挙の結果に関わらず継続する方針だ。


 猪木氏は現役レスラーだった1989年にスポーツ平和党を結成して参院選に初当選。90年に湾岸戦争直前のイラクへ出向いて「スポーツと平和の祭典」の開催で日本人人質の解放に尽力したほか、北朝鮮を訪問するなど独自の外交を発揮した。95年に落選し、98年には政界引退を宣言していた。


 出馬理由の第一声は「日本に元気がない」だった。「元気があれば何でもできる」が信条の猪木氏。「まさか政治に戻ることはないと思っていたのに、気が付いたら今日のような運びになっていた。ただ、国会の中を歩いている自分を夢に見ることが何度かあった。18年ぶりに国会の絨毯を踏んだが、そこを歩けるかどうかは選挙次第。参院選だけど何も盛り上がらないし、投票率も低迷している。日本を元気に、政治を元気に。参議院無用論も出ているけど、もっとそれぞれが役割を果たせば参議院の持ち味も出るのではないかと考えた。政治は政(まつりごと)。少し捉え方が違うかもしれないけど、皆さんに参加してもらう火付け役を背負わせてもらえればありがたい」と再び国政の盛り上げ役に名乗りを挙げた。

「逆風の維新に風をもう1回吹かせたい」

「今の日本に元気がない」が出馬の理由だった
「今の日本に元気がない」が出馬の理由だった【平野貴也】

「以心(維新)伝心、ジェット・シン。さあ、ベル(サーベル)を鳴らすのは誰か」――複数の党から出馬の打診があったとささやかれる中、維新を選んだ理由を独特の言い回しで表現した。まさかの国政復帰プランは、約1カ月前から始まっていた。維新の会の藤井孝男・国会議員団選挙対策委員長から代理人を通じて打診を受けていたという。猪木氏は「発表を抑えておこうという話だったが、昨日までよく(話が)漏れずに来たなと思う。今日は(選挙に)出る方向に変わりはないが、最後の確認をした。議事堂の控室で石原代表と話をして会見という運びになった。石原代表と面識はあったけど、(出馬の話が出てからは)今日初めてお会いした。橋下(徹)代表には昔、テレビ番組でビンタをして以来会っていないけど、大阪で松井(一郎・幹事長)さんと会った。維新の会では、こういう場合に面接をしてから候補にするかどうかという話になるそうだけど、それもなくて今日の運びになった。それもありかな。猪木の常識(は)非常識で」と笑みを浮かべながら、出馬に至った経緯を話した。


 維新の会は、共同代表の橋本大阪市長による従軍慰安婦発言などで逆風を受けているが「オレもかつてはイラクの人質解放で勢いに乗っていたらスキャンダルにたたかれた。維新に風をもう一回吹かせることができたらというのが私の思い」と巻き返しを誓った。現役時代に死闘を繰り広げたタイガー・ジェット・シン戦にひっかけた言い回しの裏側には、逆境へ立ち向かう闘志がちらついている。

「猪木の賞味期限が切れないうちに暴れたい」

プロレスラー時代のまな弟子である藤原(写真左から2人目)がIGFのレスラーを引き連れ、盛大にエールを送った
プロレスラー時代のまな弟子である藤原(写真左から2人目)がIGFのレスラーを引き連れ、盛大にエールを送った【平野貴也】

 政界再進出への「決め技」は、独自の外交路線だ。自身が育ったブラジルをはじめ、レスラーとして、政治家として、格闘技プロデューサーとして世界各地を飛び回ってきた。猪木氏は会見で「自分の足で世界を飛び回った独自の外交チャンネルがある。ロシアの鉄のカーテンが下がったときには、向こうの選手を初めてプロに転向させた。イラク(の件)もあった。先日はパキスタンでテロの巣窟と言われるペシャワールで大会を通じて平和のメッセージを送った。スポーツを通じて世界平和という、スポーツ平和党を立ち上げたときの理念は変わっていない」とスポーツイベント開催をきっかけに外交を重ねてきたキャリアを強調。北朝鮮拉致問題については「当然、公的な立場になれば避けて通れない問題。維新の会の考え方というのもあると思うが、私は25回の訪朝でテーブルを挟んだ話だけではなく、酒を飲みかわして本音の話をしてきた。私なりの本音の話をアドバイスできればいいかなという思いでいる」と積極的に助力する意向を示した。


 会見には弟子であるプロレスラーの藤原喜明が応援に駆け付け「領土問題などさまざまな問題で難しいことになっています。いよいよ我らがアントニオ猪木の出番です。よろしくお願いします」とエールを送った。猪木氏は、誰もやっていないこと、誰もできないことをやっていきたいと言い「70(歳)からの旅立ち。良い仲間と旅をしたり、食事をしたり。こんな良い時間をなぜ捨てて……そんな気もするけど、猪木の賞味期限が切れないうちに。猪木の元気が賞味期限。どこに行っても握手を、あるいは1、2、3、ダァーッ!を、あるいは(闘魂注入の)ビンタを求められる。なんでこうなっているのかなと不思議に思うが、何かの役割を背負っているのかなと実感している。せっかく親からいただいた長いアゴというか、一回見れば忘れない顔を生かして、政界に出たら思い切り元気で暴れてみたい」と飽くなき挑戦の意思を表明した。維新の会に吹き荒ぶ逆風も、猪木氏にはどこ吹く風。かつて「国会に卍固め、消費税に延髄斬り」のキャッチコピーで国会に進出した燃える闘魂が、再び国政進出へ動き出した。

平野貴也
平野貴也
1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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