チャンスは『今』でしょ! 巨人・亀井善行、復活のときが来た

ベースボール・タイムズ

三振数の減少と取り戻した勝負強さ

5月25日のオリックス戦で4年ぶりサヨナラ打! 持ち前の勝負強さが帰ってきた 【写真は共同】

 今年の春季キャンプは2軍スタート。「他の人と違って、自分は下から這い上がらないといけない」と意気込んだが、開始2日目に左足ふくらはぎの肉離れで戦線離脱を強いられた。しかし、「最初にそういう悪いものを出したんでね」と開き直ってチャンスを待つと、5月3日の広島戦(東京ドーム)で一軍昇格を果たして今季初ヒット。さらに同10日の横浜DeNA戦(横浜スタジアム)では2本のタイムリー2塁打を放ち、自己最多タイとなる1試合4打点の活躍を披露。同15日のロッテ戦(東京ドーム)からはサヨナラ打も含めて9試合連続安打もマークした。

「今はヒットが出ている。ボール球も見極められているので状態は良いと思います」

 今季はボール球を簡単に空振りするシーンが減った。それは数字にも表れており、ここまで75打席に立って三振はわずかに5個。何打席に1回三振するかを表す「PA/K」は15.00。これは昨年の9.00、さらには09年の7.39を大きく上回る数値だ。
 さらに頼もしいのが、チャンスでの勝負強さを取り戻しつつあるということ。本人は「まぁ、たまたまですけど……」と頭を掻くが、今季はここまで得点圏に走者を置いた状態で15打数8安打の得点圏打率5割3分3厘を誇っている。

「久々に野球が楽しい」

「結果的に良いところで打てているので、今は自信を持って打席に入れているかなと思います」
 5月29日の福岡ソフトバンク戦(東京ドーム)では、08年10月11日のヤクルト戦(神宮)以来となる3番打者に座った。第3打席でチャンスを広げる四球、さらに第4打席で強烈なセカンドライナーを放ったが、結局は3打数無安打でチームも敗れた。今後、6月にはボウカー、高橋由伸といった実力者が一軍復帰予定。定位置争いは再び激しさを増す。だが、亀井の表情に悲壮感や焦りの色はない。

「ようやくというか、久々に野球が楽しいですね。とにかく続けることが一番大事になるし、僕にとっては今がものすごいチャンスなんで、しっかりとモノにしたい。あれ(25日のサヨナラ打)だけで終わらないようにしないとね」

 今やらないで、いつやるのか――。プロ9年目、亀井にとっては“今”が勝負のとき。交流戦に入って失速気味の原ジャイアンツを救うのは、俺だ。苦労は報われる。日はまた昇る。その手応えと予感は、他の誰よりも亀井自身が感じているはずだ。

<了>

(三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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