エースの信頼感がもたらしたダルビッシュの7勝目=橋本清が解説

構成:スポーツナビ

ダルビッシュは8回4失点でリーグトップタイの7勝目を挙げた。味方打線がバーランダーを攻略しての勝利に、橋本氏はエースとしての信頼感を見たと話す 【写真は共同】

 レンジャーズのダルビッシュ有が現地時間16日(日本時間17日)、本拠地でア・リーグ中地区首位のタイガース戦に先発し、8回7安打4失点・6奪三振、今シーズン最多の130球を投げる粘りのピッチングで、ア・リーグトップタイの7勝目をマーク。MLBを代表する右腕エース・バーランダーとの投げ合いに全米の注目が集まった中、序盤4回までに4点を失う苦しい展開も後半持ち直しを見せ、10対4でチームは勝利した。

 スポーツナビでは、プロ野球解説者・橋本清氏に特別解説をしてもらった。巨人の中継ぎエースとして活躍し当時の長嶋茂雄監督から「勝利の方程式」として絶大な信頼を得ていた橋本氏は、エース対決となったこの試合をどう見たのか。

気合いがコントロールに誤差を生じさせた

 ダルビッシュの投球自体は良かったと思いますが、全体的にコントロールが甘かった印象ですね。三振を狙う場面でボールが真ん中に集まっていましたね。対戦相手がバーランダーだということでの意識はそれほどなかったと思いますが、それでも1点を争う勝負になるだろうとの意識はあったはずです。気合いの入り方がいつもと、多少なりとも違ったことから、微妙な力加減、コントロールの誤差が出たのだと思います。投げ急ぎや球のキレ自体は悪くなかったですから。

 ただ、タイガース打線の見極めは良かったですね。ダルビッシュをよく研究していたように思います。決め球のカットボールやスライダーに対し、際どいコースを見極めていましたし。これまで対戦したチームなら、多少甘くなっても、ストレートやスライダーを意識して、見逃してくれていましたが、超メジャー級バッターがそろうタイガース打線では見逃してくれませんでしたね。カブレラやフィルダーは1安打に抑えましたが、打ち取っていても、しっかりと(ダルビッシュの打球を)とらえていましたし、超一流のメジャーのバッターのすごさを証明していました。

ダルのリズムを崩したケリーの一発

 3回のダルビッシュの失点に関しては、前回も下位打線にやられた(編集部注:5月12日のアストロズ戦、8番・ドミンゲスに2本塁打を許す)ので、出会い頭のケリーの本塁打に「またか……」と、乗れそうだったリズムを崩したのが原因ですね。決して下位打線に対し、力を抜いて投げている訳ではないのですが、それでも先発ピッチャーは無意識に力を加減します。好投手ほどそれをうまくするものなのですが、「またも」打たれたことで、ダルビッシュ自身がイライラしたように思います。

 これにより、序盤、ダルビッシュ自らの力でリズムをつくることができませんでした。ただし、今日はレンジャーズ打線に助けられ、リズムに乗らせてもらいましたね。バーランダーが相手、3回の失点で正直「今日はもう勝てないなあ」と思ったと思いますが、気持ちが切れそうなところで、間髪入れずに同点、逆転してくれたことで、気持ちを切らさずに中盤を迎えることができました。うまく気持ちを切り替え、6回以降はダルビッシュ自らの力で試合をつくっていくことができていましたね。

 今日の試合の序盤を総括すると、メジャー屈指のエース・バーランダーとの投げ合いで最小失点に抑えなくてはという気持ちの張りの部分、ちょっとしたコントロールの甘さを見逃さないタイガース打線、そして、またも下位打線に一発を許したという3点が、失点につながったと思います。

 ただ、繰り返しになりますが、ダルビッシュの状態は悪くありませんでした。「ストライク先行で追いこむ」という基本の形はできていました。

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