ホンダF1復帰、伊東社長「技術を結集」=15年からマクラーレンにエンジン供給

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2015年からのF1復帰を発表し、握手するホンダの伊東社長とマクラーレンのウィットマーシュCEO 【スポーツナビ】

 ホンダが16日、都内で記者会見を行い、自動車レースの最高峰であるF1シリーズへの復帰を発表した。2015年からマクラーレンにエンジンを供給する。会見に出席した伊東孝紳社長は「ホンダはこれまでレースに参戦し、勝利してきたことで発展してきました。世界一を目指し、ホンダの技術力を集結させたい」と語り、復帰への意気込みを語った。

 また会見にはマクラーレンCEOのマーティン・ウィットマーシュ氏も同席。「我々はこのパートナーシップを必ずや成功させ、最終目標である優勝を手にしたいと思っている」と、ホンダとの新たな挑戦に期待感を示した。

 以下は、伊東社長、ウィットマーシュ氏、新井康久氏(本田技術研究所専務)のコメント。

伊東社長「撤退に悔しい思いがあった」

ホンダの伊東社長は「技術力を駆使して世界一を目指したい」と大きな野望を語った 【スポーツナビ】

登壇者
ホンダ代表取締役社長:伊東孝紳
マクラーレンCEO:マーティン・ウィットマーシュ
本田技術研究所専務:新井康久

伊東 このたび、私どもはFIA(国際自動車連盟)フォーミュラ1世界選手権に参戦することを決定しました。2015年シーズンからマクラーレンとジョイントプロジェクトのもと、パワーユニットサプライヤーとして参戦いたします。ホンダがエンジン、またエネルギー耐性システムを開発、製造、供給する一方、マクラーレンは車体の開発、製造およびチーム運営を担当し、マクラーレン・ホンダとして活動していきます。

 ホンダは四輪販売を開始した翌年の1964年にF1に初参戦し、世界最高峰の四輪レースという厳しい競争の場で、自らの技術を磨き、人材を育ててきました。そうしたなか、前回の参戦において、満足のいく結果を得られないまま、やむをえず撤退に踏み切ったことは、私自身も大変悔しい思いがあり、同時にファンの皆様の期待に応えられなかったことをとても残念に思っています。当時、F1に携わっていた約400人の技術者はそのあと、環境技術を中心にした量産車の開発に加わり、特にハイブリッドや電気自動車など電動化した技術において、短期間でホンダの競争力を大幅に向上させることに貢献してくれました。

 一方でF1においても、ダウンサイジング過給エンジンやエネルギー耐性エンジンなど、市販車の環境技術に呼応するレギュレーションが導入されることになり、これまで以上にレースから市販車技術へのフィードバック、加えて市販車からレースへのフィードバックも期待できるようになります。このように、F1の新たな技術の方向性とホンダが目指している開発の方向性が合致していくなかで、将来ホンダを担う若い技術者からもF1に挑戦したいという言葉が上がってくるようになりました。世界中の自動車メーカーがし烈な競争を繰り広げるなか、ホンダが勝ち残っていくためには、これからも卓越した技術開発を続けていかないといけません。そのためには若い技術者は、自らの技術を世界で試し、磨く場が必要です。これからのF1はそれを実現するのに最適な場だと考えました。

 そして何よりもホンダは創業以来、レースに参戦し、勝利することで成長してきた企業です。これまで世界中のお客様が応援してくれたのも、我々がレースに挑み、勝つ姿に共感してくれていることを、あらためて認識しなければならないと考えています。ホンダのコーポレート・スローガンは「The Power of Dreams」です。このスローガンには、人々とともに夢を求め、夢を実現していくという強い思いが込められています。この意思を持って、ホンダはかつての盟友でF1界を代表する名門チーム、マクラーレンとともに再びF1にチャレンジします。世界一を目指し、ホンダの技術力を結集して、F1で1年でも早く勝ち、皆様とともに夢を実現したいと考えています。

 ホンダにとって、今年は四輪車販売開始50周年にあたります。この大きな節目の年に、新たな活動をご報告できたことをうれしく思います。

ウィットマーシュCEO「いかなる挑戦にも自信」

会見に同席したマクラーレンのウィットマーシュCEOは、ホンダの技術力を高く評価。パートナーシップを結ぶ2015年を心待ちにしている 【スポーツナビ】

ウィットマーシュ 本日、歴史に残るホンダ・マクラーレンのF1パートナーシップの新たな幕開けを発表でき、大変光栄に思う。ホンダ・マクラーレンのパートナーシップといえば成功そのもの。1980年代から90年代にかけて、ともにGP44勝、ワールドチャンピオン18回の栄光に輝いた。88年には歴代最強のF1カーであるマクラーレン・ホンダMP4/4を生み出し、アイルトン・セナとアラン・プロストのドライブのもと、16戦で15勝を挙げた。

 マクラーレンとホンダが、また新たな非常にエキサイティングな冒険を始める。マクラーレンおよびF1を愛する人々を代表し、ホンダのF1参戦を心より歓迎したい。両者にとって、過去の栄光を背負っての門出となる。マクラーレンと同様、ホンダにはモーターレーシング・スピリッツが脈々と流れている。我々は業界をリードする技術、イノベーション、そして性能への揺るぎないコミットメントを共有している。世界有数の研究開発力と技術力に下で支えされ、サーキットで結果を残し、永続的なパートナーシップを築きあげていきたい。

 ホンダは世界の技術の巨匠と言われているが、その熱意や専門性は、エンジン開発にあると言っていいだろう。ホンダは過給エンジンに関して、他を寄せ付けない実績を残している。F1でさらなる成功を追い求めるマクラーレンにとっては、最良のパートナーだ。

 F1は非常に過酷なスポーツであり、年々競争が激化している。しかし、我々はこのパートナーシップを必ずや成功させ、最終目標である優勝を手にしたいと思っている。強い意思と卓越した技術力をもっていさえすれば、いかなる挑戦もできる自信がある。両者には誇るべき実績、素晴らしいパートナーシップのもと世界の最高峰に立った実績がある。あれから数十年の時間が流れたにもかかわらず、共に刻んだあの瞬間はいまだに語り継がれている。ホンダとマクラーレンはこの栄えある歴史を胸に、再度栄光を手にすることに向かい、まい進していきたい。

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