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イチローを襲うレギュラー落ちの危機
打開の答えはシンプルに“自分次第”

好調から一転、20打席連続ノーヒット

再び絶不調に陥ったイチロー、レギュラーも脅かされている今の立場を打開できるか
再び絶不調に陥ったイチロー、レギュラーも脅かされている今の立場を打開できるか【写真は共同】

 2013年は、イチローにとって実に波の大きいシーズンとなっている。4月23日〜5月10日までは55打数20安打と打ちまくって上昇気配かと思われたものの、11日以降はメジャー自己ワーストに並ぶ5試合連続で無安打。これでなんと20打席連続ノーヒットとなり、打率は.238まで落ち込んでしまった。


 岩隈久志との対決となった現地時間5月15日のマリナーズでは、第1打席は真ん中低めの変化球を上手く捉えたものの、伸びを欠いてセンターフライ。2死3塁に走者を置いて迎えた4回の第2打席でも、悪くない当たりながら2塁ゴロ。さらに第3打席でも走者を2人置きながら2塁ゴロに倒れ、マリナーズ時代の元同僚の前に完敗という結果となった。

「丁寧に投げるよね、状況がどうであっても。それは去年の最初にしんどい思いをしていたからね、そういうことかなと思うけど。不用意な感じはしないよね、点差はあっても」

 試合後には昨季前半に苦しい思いを味わった後輩に言葉を捧げたが、防御率1.84と絶好調の岩隈と低迷するイチローのコントラストは鮮やか。9回裏には代わったティム・ウィリヘルムセンに対しても投ゴロに終わり、2対12の大敗を喫したヤンキースの打線の中でも内容の悪さが目立った。

今季序盤はインパクトが薄かった感は否めない

 15日こそ敗れたものの、イチローの好不調に関わらず、ヤンキース自体はここまで意外にも安定したペースで勝ち続けて来た。

 デレク・ジーター、アレックス・ロドリゲス、マーク・テシェイラらが不在ゆえに心配されたが、現時点でア・リーグ東地区首位を快走中。オフの間の補強はさっぱり進まず、“時代の終わり”と騒いだ周囲の懸念は、今のところ取り越し苦労に近くなっている。

 CC・サバシア、黒田博樹、アンディ・ペティットの3本柱を中心とした先発投手陣は確実に試合を作り、守護神マリアノ・リベラは16度のセーブ機会にすべて成功。開幕直前に駆け込み移籍して来たバーノン・ウェルズ(打率.301、10本塁打)、トラビス・ハフナー(6本塁打、チーム1位の出塁率.383)、ライル・オーバーベイ(6本塁打、チーム2位の24打点)といったベテランたちも意外な働きを続け、駒不足に思えた打線を支えている。


「このチームにはまだ良い選手がたくさんいる。馴染みの名前ではないかもしれないけど、経験豊富なものたちだ。そして、日々異なる選手たちが日替わりで大きな貢献を果たしてくれている」

 14日のマリナーズ戦に逆転勝利を挙げたあと、ジョー・ジラルディ監督もそう語って目を細めていた。

 スクランブル体制の中で、外野手のウェルズが急きょ三塁手を務めたこともあった。より選手起用の難解なナ・リーグで最優秀監督賞を受賞(2006年のマーリンズ時代)した実績もあるジラルディは、例年より層の薄いロースターで苦しむどころか、水を得た魚のように采配を振るっているイメージすらある。


 そんなチームに、イチローがまったく貢献して来なかったわけではない。4月23日のレイズ戦では、同点で迎えた9回2死満塁から貴重な決勝打を放った。5月10日のロイヤルズ戦では5打数3安打、1本塁打、2打点と爆発し、敵地での大勝の主要因となった。5盗塁はブレッド・ガードナーに次いでチーム内2位だし、守備面でも随所に好守で魅せてはいる。

 ただ、それらのハイライトは片手で数えられる程度。特に鮮やかだった昨季終盤の活躍と比べると、今季序盤はインパクトが薄かった感は否めない。

杉浦大介
杉浦大介

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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