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「人魚になれる」水中最速競技、フィンスイミングの魅力
モノフィンを手に持つ藤巻紗月。サーフィス50メートル予選では19秒47の日本新をマークした
モノフィンを手に持つ藤巻紗月。サーフィス50メートル予選では19秒47の日本新をマークした【スポーツナビ】

 イルカか、はたまた人魚かと見間違うほど優雅でありながら、50メートルをわずか14秒というハイスピードで泳ぎ切る“水中最速競技”――。「フィンスイミング」と呼ばれるスポーツがそれである。初めて名前を聞く人も多いだろう。2年ほど前、テレビのバラエティ番組で、当時14歳の“天才フィンスイマー”藤巻紗月(NLS)が芸能人とフィンスイミングで競い合う姿が放送されて以来、徐々にその知名度を上げてきている。


 そんなフィンスイミングの日本選手権が、5月11、12日に横浜国際プールで行われた。世界選手権(8月、ロシア)の代表選考会も兼ねており、藤巻をはじめとした有力選手が日本記録やユース記録を次々に更新する白熱したレースを繰り広げた。しかし、この大会に出場したのは若いアスリートばかりではない。下は小学生から上は定年退職したリタイア組まで実に幅広く、その誰もがキラキラと目を輝かせてレースに臨んでいたのが印象的だった。彼らを引きつけてやまないフィンスイミングとは、果たしてどのようなスポーツなのだろうか。

速さは水泳の1.5倍!見えるのは「別世界」

サーフィスではシュノーケルの使用が認められている。フィンの着用と並んで、競泳と大きく違う点の1つだ
サーフィスではシュノーケルの使用が認められている。フィンの着用と並んで、競泳と大きく違う点の1つだ【スポーツナビ】

 フィンスイミングとは、フィンと呼ばれる足ひれをつけて泳ぐスポーツである。フィンには、イルカの足ひれのような1枚のフィンを両足そろえて着用する「モノフィン」と、ダイビングのように片足ずつ2枚のフィンを履く「ビーフィン」の2種類がある。もともとは、ヨーロッパを中心にビーフィンが発展したが、1970年代に旧ソビエトでよりスピードが出るモノフィンが考案され、現在は多くの種目がモノフィンで行われている。

 競技は、水面にシュノーケルを含む体の一部を出して泳ぐ「サーフィス」、息継ぎなしで進む「アプニア」、空気ボンベを手に水中を泳ぐ「イマージョン」の3つ。両腕を頭上で組みイルカのごとく体をしならせるのが基本の泳法で、腕や足を複雑に動かす水泳と比べると実にシンプルだ。ちなみに、これとは別にビーフィンを用いた種目もあり、こちらはクロールと同様に腕で水をかきながら進む。


「フィンスイミングの魅力とは何か」とフィンスイマーに尋ねると、真っ先に返ってくるのはなんと言っても“水中最速競技”と呼ばれるにふさわしいそのスピードだ。最もスピードの出るアプニア50メートルの世界記録は13秒98。対して競泳の自由形の世界記録は20秒91なので、単純計算で水泳のおよそ1.5倍もの速さになる。「泳ぐときに見えるのは『別世界』。道具をつけるだけですごく速く泳げる」と笑顔を見せる選手の言葉もうなずける。


 フィンの着用で推進力が出るため、体力に自信のない人でも水泳よりも楽に、そして速く泳げるのも魅力だ。日本選手権の参加者の年齢層が幅広いのも、この点が大いに関係していると言えるだろう。中には、ほとんど泳げない状態から始める人もいるというが、そうであっても「人魚になったみたい」という不思議な感覚を味わえるのだ。

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